司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

民法及び不動産登記法の見直し(部会資料17について)

2019-11-30 14:55:01 | 民法改正
備忘としてのメモ書き。部会資料17についての個人の感想です。

第1 通常の共有における共有物の管理
第2 遺産共有における共有物の管理
【意見】
 いずれも基本的に賛成。

第3 持分の売渡請求権等
1 通常の共有における不明共有者の持分の売渡請求権等
【意見】
 いわゆる所在不明株主の株式売却制度(会社法第197条)に類似する制度を設けようとするものであり,賛成。

第4 共同相続人による取得時効
【意見】
 採り上げるのは難しい感。

cf. 部会資料17
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00001.html
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配偶者居住権の設定の登記の申請方法

2019-11-30 14:32:31 | 民法改正
 平成30年改正民法(いわゆる相続法の改正)で創設された配偶者居住権(令和2年4月1日施行)の設定の登記の申請方法や如何。

 基本的には,第1段階として所有権について相続登記がされた後に,第2段階として,登記権利者(配偶者)及び登記義務者(建物所有者)が共同して申請することになる(不動産登記法第60条)。

 したがって,例えば,被相続人がその配偶者に配偶者居住権を遺贈する旨の遺言を残して死亡した場合であっても,

(1)建物の所有権を相続により取得した者が第1段階の相続登記を行わないとき。
(2)建物の所有権を相続により取得した者が第1段階の相続登記を行ったが,配偶者居住権の設定の登記の申請に協力しないとき。
(3)建物の所有権の帰属が確定していないとき。

等々の場合には,配偶者は,配偶者居住権の設定の登記を受けることができず,第三者に対抗することができない(改正後の民法第1031条の規定が準用する第605条第2項)という事態が生じ得る。

 このような事態は,配偶者の居住権を保護する観点から配偶者居住権を法制化した立法趣旨に反するのではないか。

 ところで,民法及び不動産登記法の見直しの議論における部会資料19によれば,次のような論点が提示されている。


第1 相続の発生を登記に反映させるための仕組み
3 相続等に関する登記手続の簡略化
(1)遺贈による所有権の移転の登記手続の簡略化
 相続人が受遺者である遺贈による所有権の移転の登記手続を簡略化するため,共同申請主義(不動産登記法第60条)の例外として,次のような規律を設けることについて,引き続き検討する。
 相続人が受遺者である遺贈による所有権の移転の登記は,登記権利者が単独で申請することができる。


 この議論を一歩進めると,配偶者が受遺者である遺贈による配偶者居住権の設定の登記の申請に関しても,所有権に関する相続登記を経ずに,あるいは「遺産共有に関する登記」を経た上で,登記権利者である配偶者が単独で申請することができるという規律を設けることも十分に考えられるし,そのような規律を設けなければ,配偶者が先に登記を受けた第三者に対抗することができない場面が往々にして生ずるのではないだろうか。

 大胆な試論かもしれないが,十分検討に値すると思われる。

 なお,上記「(3)建物の所有権の帰属が確定していないとき」については,例えば,被相続人が「配偶者が居住する建物は,長男に遺贈する」「当該建物に関する配偶者居住権を配偶者に遺贈する」という遺言をしたが,被相続人よりも先に長男が死亡しており,建物の所有権に関して遺産分割協議に委ねられることになった場合が考えられる。決して稀とはいえない程度に生ずる可能性があると思われる。
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日本登記法学会第4回研究大会

2019-11-30 13:01:04 | いろいろ
 本日は,日本登記法学会第4回研究大会が開催。

 入会につきましては,随時募集しております。

cf. 日本登記法学会
http://www.toukihou.jp/

入会のご案内
http://www.toukihou.jp/entry.html
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民法及び不動産登記法の見直し(部会資料24について)

2019-11-30 10:55:31 | 民法改正
備忘としてのメモ書き。部会資料24についての個人の感想です。

部会資料24について
第1 裁判による共有物分割(民法第258条関係)
【意見】
②イの全面的価格賠償の方法を採用することにつき賛成。柔軟な対応が可能となる。

第2 遺産共有等に関する訴訟
【意見】
民事訴訟法上の特別代理人(同法第35条)のような位置付けであり,相続人の全部又は一部が不明の場合はともかく,このような場合に,相続財産管理人を制度化することはなじまないのではないか。

cf. 部会資料24
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00002.html
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民法及び不動産登記法の見直し(部会資料23について)

2019-11-30 10:54:12 | 民法改正
備忘としてのメモ書き。部会資料23についての個人の感想です。

第1 遺産分割の期間制限
【意見】
(注)の考え方に賛成。

第2 遺産分割手続の申立て等がされないまま長期間が経過した場合における遺産を合理的に分割する制度
1 特別受益又は寄与分の主張の制限
【意見】
提案によると,特別受益を得ていた者が遺産分割の協議に応じないまま長期間が経過した場合に,当該者に有利に働くことになる点は,不合理ではないだろうか。もちろん期間内に遺産分割の調停の申立てをせよということになるわけであるが,法律を知らない一般人にとっては,酷な結果となる。

2 分割方法等
【意見】
甲案に賛成。

3 遺産共有における不明共有者の持分の売渡請求権等
【意見】
賛成。

cf. 部会資料23
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00002.html
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民法及び不動産登記法の見直し(部会資料22について)

2019-11-30 10:52:52 | 民法改正
備忘としてのメモ書き。部会資料22についての個人の感想です。

第1 不在者財産管理制度の見直し
【意見】
賛成。スポット財産管理人の選任については,運用として行われているところであり,明文の規定をおくことは,実務上有益であると思われる。

第2 相続財産管理制度の見直し
【意見】
 超高齢社会で,相続開始時の共同相続人も皆高齢者で相続財産の管理等が難しいケースも増加する一方であることから,「相続財産の保存を目的とする財産管理」の制度を設けることは,有用である。

第3 相続放棄をした放棄者の義務
【意見】
甲案に賛成。放棄者は,本来,放棄によって「相続人ではなかった」ことになるのであり,損害賠償義務を負担させることは背理である。

cf. 部会資料22
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00002.html
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民法及び不動産登記法の見直し(部会資料21について)

2019-11-30 10:51:34 | 民法改正
備忘としてのメモ書き。部会資料21についての個人の感想です。

第1 所有者不明土地管理制度の創設
1 土地管理人による管理を命ずる処分
【意見】
賛成
2 土地管理人の権限等
【意見】
土地管理人が土地の管理処分権を有することにつき賛成。そうであれば,登記申請の権限も有するのは当然の帰結であり,登記上公示する必要はないと思われる。

3 土地管理人の義務
4 報酬等
特になし。

5 供託等
【意見】
賛成。供託&公告後に職務は終了という趣旨?

6 土地上の建物の取扱いについて
【意見】
乙案に賛成。土地及び建物を一体として管理させるのが合理的。

7 土地上の動産について
【意見】
賛成

第2 管理不全土地管理制度の創設
【意見】
賛成。空き家問題等の解決に有用である。

cf. 部会資料21
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00002.html
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民法及び不動産登記法の見直し(部会資料20について)

2019-11-30 10:50:17 | 民法改正
備忘としてのメモ書き。部会資料20についての個人の感想です。


第1 土地所有権の放棄を認める制度の創設
【意見】
 本来的には,不動産の所有権の放棄は認められないものとして,所有者が国等に対して,寄附を請求することができる制度として構築すべきである。法人についても同様の制度を認めるべきである。

第2 土地所有権の放棄の要件及び手続
【意見】
 要件が厳格に過ぎる。民法に書き込むべきことではなく,別に法律を制定すべきである。

第3 関連する民事法上の諸課題
1 共有持分の放棄
【意見】
 賛成。共有持分の放棄に関する不動産登記の申請は,他の共有者との共同申請であり,事実上,他の共有者の同意が必要となっている。

2 その他
【意見】
(1)に関して,建物の所有権の放棄については,認められない旨を明記すべきである。
(2)に関して,別に制定した法律で定めるべきである。

cf. 部会資料20
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00002.html
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民法及び不動産登記法の見直し(部会資料19について)

2019-11-30 10:48:27 | 民法改正
 備忘としてのメモ書き。部会資料19についての個人の感想です。

第1 相続の発生を登記に反映させるための仕組み
1 登記所が他の公的機関から死亡情報を入手する仕組み
【意見】
(1)①については賛成。
(1)②については,「定期的に」をどのような頻度と考えているのであろうか。照会を行う登記所側の手間と,これに回答する自治体側の手間は,相当の負担となるはずである。
(2)について,登記簿上の住所に居住していないケースが多いと思われる。このような場合には,相続人を調査した上で,相続人に対して直接通知する方がよいと思われる

2 相続登記の申請の義務付け
【意見】
(1)①について,過度的な権利関係を公示する登記として,持分を記録しない登記を創設することに賛成。「遺産共有」状態が長期化する場合,これを公示することには意義がある。
 相続による所有権の移転の登記を申請しなければならない期間については,
(1)②③については3年,①については5年程度が妥当であると考える。
(2)遺言書を発見した日,又は遺言執行者から通知を受けた日等の等の取得の事実を知った日の証明が困難である。
(3)相続のフラグを立てるようなものである。登記事項をどのようにするのかが問題である。
(4)特になし

3 相続等に関する登記手続の簡略化
【意見】
(1)について賛成。配偶者居住権の設定の登記は,原則として,配偶者と建物所有者の共同申請によるが,建物所有者の協力が得られない場合が問題と考えられているところ,遺贈を原因とする場合には,配偶者の単独申請が可能となると考えられ,便宜である。
(2)過度的な権利関係を公示するという考え方からすれば,①及び④については,更正ではなく「変更」の登記によるものとすべきである。

4 所有不動産目録証明制度の創設
【意見】
 賛成であるが,一部事項の証明として,ある法務局又は地方法務局の管轄内の不動産のみを証明する制度を設けるべきである。

第2 登記名義人の氏名又は名称及び住所の情報の更新を図るための仕組み
1 氏名又は名称及び住所の変更の登記の申請の義務付け
【意見】
賛成

2 登記所が他の公的機関から氏名又は名称及び住所の変更情報を入手し,不動産登記に反映させるための仕組み
【意見】
(1)自然人に関して,申し出制度については賛成であるが,登記所のアクションについては,難しいと思われる。
(2)法人に関して,会社法人等番号を登記事項とすることについては賛成。(注2)の後段については,任意ではなく,義務付けすべきである。また,この場合,会社法人等番号の提供のみならず,不動産を取得した時点以降の商業登記簿の履歴を証明する必要がある。

3 被害者保護のための住所情報の公開の見直し
【意見】
 DV加害者とは無縁の債権者等については,自らの権利行使の阻害となり得ることから,公開しないこととした場合に,逆に証明書に記載することができる事由を明確にすべきである。

第3 相続以外の登記原因による所有権の移転の登記申請の義務付け
【意見】
 別案に賛成。

第4 登記義務者の所在が知れない場合等における登記手続の簡略化
【意見】
1及び2 いずれも反対。

第5 その他の見直し事項
1 登記名義人の特定に係る必要な登記事項の見直し
【意見】
 登記名義人となる者に関しては,抵当権者(法人でない場合に限る。),抵当権の債務者等についても,住民票の写しや会社法人等番号の提供をしなければならないものとすべきである。

2 外国に住所を有する登記名義人の所在を把握するための方策
【意見】
①について,不動産の所有権の登記名義人と連絡先として登記された者との委任関係が解消された場合の抹消の登記等が困難なケースが想定される。
②について,いわゆる宣誓供述書等を除外する趣旨?

3 附属書類の閲覧制度の見直し
【意見】
 正当な理由があれば公開になじむ書類と,利害関係があれば閲覧させてもよい書類と,申請人以外は一切閲覧に供することができない書類の区別を厳格にすべきである。

cf. 部会資料19
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00002.html
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運転免許証も旧姓併記が可能,12月1日から

2019-11-29 10:34:30 | いろいろ
時事通信記事
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019112800891&g=soc

「旧姓」といっても,いろいろバリエーションがありそうである。

cf. 平成27年7月27日付け「商業登記における旧姓併記」

 離婚によって戸籍上は復氏した方が,職務上使用している「離婚前(婚姻中)の氏」を併記して欲しいというニーズもあるかも。
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会社は誰の物か? 日銀がユニクロの所有者?

2019-11-28 11:55:03 | 会社法(改正商法等)
ダイヤモンドオンライン
https://diamond.jp/articles/-/142941

「日銀が“異次元緩和”政策の中で進めるETF(上場投資信託)購入。巨額の買い入れを進めることによって、日銀が実質的に上場企業の「大株主」となってしまっている。」(上掲記事)

 本日の参議院法務委員会で,

桜井允参議院議員「会社は誰の物ですか?」
森まさこ法務大臣「所有者は,株主です」
桜井允参議院議員「日銀が株主の場合は,日銀が所有者?」

という質疑があった。

 日銀が,ファーストリテイリング(ユニクロ)の実質的大株主となっているんですね。
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不動産登記における本人確認情報の2号書類に関する異聞(その後)

2019-11-28 10:08:17 | 不動産登記法その他
 「後期高齢者医療の被保険者証」及び「介護保険の被保険者証」の2点添付の問題であるが,本日から旧に復したそうである。やれやれ。

cf. 令和元年11月26日付け「不動産登記における本人確認情報の2号書類に関する異聞」
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「弁護士だけでは食えぬ 法律事務所が探るコンサルの道」

2019-11-27 20:58:43 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52401450Q9A121C1I00000/

 どの士業もコンサルティングの方向性を模索するが,これに堪え得るかは,個々の力量次第であろう。

 しかし,大手事務所は,体力がありますよね。
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板橋宿にてほか

2019-11-27 19:01:18 | 会社法(改正商法等)
 一昨日(25日)は,東京司法書士会板橋支部研修会で,「知っておくべき会社法改正と商業登記実務 」についてお話ししました。

 お世話になった先生方,ありがとうございました。板橋宿近辺の散策は適わず,帰路につきました。

 また,昨日(26日)は,京都司法書士会会員研修会で,「役員変更登記について(会社法改正のおさらい) 」についてお話ししました。

 研修部の諸兄姉,お世話になりました。
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一般社団法人ODR事業者協会

2019-11-27 18:25:04 | 民事訴訟等
INTERNET Watch
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1220/443/index.html?fbclid=IwAR1O3HyIT4WqZ5qBj0_T9a35tKfdFO1wOhE-glELU98UxqQnqz-WTVTXwuI#click=https://t.co/zKz90jYS8w

「ODR事業者の日本国内での普及や研究、2者間での紛争の調停を行う人員の育成を行うための業界団体として「一般社団法人ODR事業者協会(ODR Business Association of Japan)」の設立が発表された。」(上掲記事)

 着々と普及の準備が進んでいるようである。

cf. ODR活性化検討会
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/odrkasseika/index.html
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