備忘としてのメモ書き。部会資料19についての個人の感想です。
第1 相続の発生を登記に反映させるための仕組み
1 登記所が他の公的機関から死亡情報を入手する仕組み
【意見】
(1)①については賛成。
(1)②については,「定期的に」をどのような頻度と考えているのであろうか。照会を行う登記所側の手間と,これに回答する自治体側の手間は,相当の負担となるはずである。
(2)について,登記簿上の住所に居住していないケースが多いと思われる。このような場合には,相続人を調査した上で,相続人に対して直接通知する方がよいと思われる
2 相続登記の申請の義務付け
【意見】
(1)①について,過度的な権利関係を公示する登記として,持分を記録しない登記を創設することに賛成。「遺産共有」状態が長期化する場合,これを公示することには意義がある。
相続による所有権の移転の登記を申請しなければならない期間については,
(1)②③については3年,①については5年程度が妥当であると考える。
(2)遺言書を発見した日,又は遺言執行者から通知を受けた日等の等の取得の事実を知った日の証明が困難である。
(3)相続のフラグを立てるようなものである。登記事項をどのようにするのかが問題である。
(4)特になし
3 相続等に関する登記手続の簡略化
【意見】
(1)について賛成。配偶者居住権の設定の登記は,原則として,配偶者と建物所有者の共同申請によるが,建物所有者の協力が得られない場合が問題と考えられているところ,遺贈を原因とする場合には,配偶者の単独申請が可能となると考えられ,便宜である。
(2)過度的な権利関係を公示するという考え方からすれば,①及び④については,更正ではなく「変更」の登記によるものとすべきである。
4 所有不動産目録証明制度の創設
【意見】
賛成であるが,一部事項の証明として,ある法務局又は地方法務局の管轄内の不動産のみを証明する制度を設けるべきである。
第2 登記名義人の氏名又は名称及び住所の情報の更新を図るための仕組み
1 氏名又は名称及び住所の変更の登記の申請の義務付け
【意見】
賛成
2 登記所が他の公的機関から氏名又は名称及び住所の変更情報を入手し,不動産登記に反映させるための仕組み
【意見】
(1)自然人に関して,申し出制度については賛成であるが,登記所のアクションについては,難しいと思われる。
(2)法人に関して,会社法人等番号を登記事項とすることについては賛成。(注2)の後段については,任意ではなく,義務付けすべきである。また,この場合,会社法人等番号の提供のみならず,不動産を取得した時点以降の商業登記簿の履歴を証明する必要がある。
3 被害者保護のための住所情報の公開の見直し
【意見】
DV加害者とは無縁の債権者等については,自らの権利行使の阻害となり得ることから,公開しないこととした場合に,逆に証明書に記載することができる事由を明確にすべきである。
第3 相続以外の登記原因による所有権の移転の登記申請の義務付け
【意見】
別案に賛成。
第4 登記義務者の所在が知れない場合等における登記手続の簡略化
【意見】
1及び2 いずれも反対。
第5 その他の見直し事項
1 登記名義人の特定に係る必要な登記事項の見直し
【意見】
登記名義人となる者に関しては,抵当権者(法人でない場合に限る。),抵当権の債務者等についても,住民票の写しや会社法人等番号の提供をしなければならないものとすべきである。
2 外国に住所を有する登記名義人の所在を把握するための方策
【意見】
①について,不動産の所有権の登記名義人と連絡先として登記された者との委任関係が解消された場合の抹消の登記等が困難なケースが想定される。
②について,いわゆる宣誓供述書等を除外する趣旨?
3 附属書類の閲覧制度の見直し
【意見】
正当な理由があれば公開になじむ書類と,利害関係があれば閲覧させてもよい書類と,申請人以外は一切閲覧に供することができない書類の区別を厳格にすべきである。
cf. 部会資料19
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00002.html