「被相続人の同一性の証明に関する不動産登記事務の取扱いについて(通知)」〔令和5年12月18日付法務省民二第1620号〕が発出されている。
アップを失念していた・・。本件の取扱いは,極めて便宜であると思われる。
相続による所有権の移転の登記の申請において,所有権の登記名義人である被相続人の登記記録上の住所(戸除籍謄本に記載された本籍と異なる場合)と最後の住所が異なる場合は多い。
この場合,相続を証する市区町村長が職務上作成した情報(不動産登記令(平成16年政令第379号)別表の22の項添付情報欄)の一部として,被相続人の同一性を証する情報の提供が必要となる。
戸籍の附票等で同一性の証明をすることができればよいが,それができない場合,何らかの補完措置が求められることになる。
かつては上申書至上主義的な取扱いであったが,近年,相続登記の促進策による柔軟化が図られ,例えば,所有権に関する被相続人名義の登記済証の提供があればよいこととされた。
cf.
平成29年4月4日付け「被相続人の同一性を証する情報として住民票の写し等が提供された場合における相続による所有権の移転の登記の可否について(通知)」
そして,本件民事第二課長通知である。
例えば,相続物件に関して,名寄帳等に被相続人の住所及び氏名の記載があれば,同一性を証する情報として認められるものである。
「下記1又は2の場合においては、被相続人の同一性を確認することができ、「所有権の登記名義人と戸籍上の被相続人とは同一である」旨の相続人全員の上申書の提供を求めることなく当該申請に係る登記をすることができる。」
1 被相続人の同一性を証する情報として、被相続人の住民票の写し(住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第7条、第12条)又は戸籍の附票の写し(同法第17条、第20条)(以下これらを「住民票の写し等」という。)、固定資産税の納税証明書又は評価証明書(地方税法(昭和25年法律第226号)第20条の10。以下これらを「納税証明書等」という。)並びに不在籍証明書及び不在住証明書が提供された場合において、登記官が、登記記録上の不動産の表示及び所有権登記名義人の氏名が
納税証明書等に記載された不動産の表示及び納税義務者の氏名と一致し、納税証明書等に記載された納税義務者の住所及び氏名が住民票の写し等に記載された被相続人の住所及び氏名と一致し、かつ、住民票の写し等に記載された被相続人の本籍及び氏名が被相続人に係る戸籍、除籍又は改製原戸籍の謄本(以下「戸籍等の謄本」という。)に記載された本籍及び氏名と一致していると認めるとき。
2 登記原因証明情報として、遺言公正証書(民法(明治29年法律第89号)第969条)が提供された上、被相続人の同一性を証する情報として納税証明書等が提供された場合において、登記官が、登記記録上の不動産の表示及び所有権登記名義人の氏名が納税証明書等に記載された不動産の表示及び納税義務者の氏名と一致し、納税証明書等に記載された納税義務者の住所及び氏名が遺言公正証書に記載された遺言者の住所及び氏名と一致し、かつ、遺言公正証書に記載された遺言者及び相続人の氏名及び生年月日が戸籍等の謄本に記載された被相続人及び相続人の氏名及び生年月日と一致していると認めるとき。