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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

父母の離婚後の子の養育に関する民法等改正法のQ&A

2025-09-09 16:13:29 | 民法改正
父母の離婚後の子の養育に関する民法等改正法の施行準備のための関係府省庁等連絡会議
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900355_00001.html

 改正法に関するQ&Aによると,次のとおり。

Q 共同親権下において、新民法824条の2第1項又は第2項の例外事由がないにもかかわらず、一方の親が他方に無断で、子を代理した場合には、その代理の効果は子に帰属するか。

A 親権の共同行使を要する場面において、父母の一方が他方に無断で子の代理権を行使した場合には、無権代理としてそ の代理の効果は子に帰属しない。もっとも、父母の一方が、父母の「共同の名義」で子の代理権を行使した場合には、相手方が悪意でない限り、代理の効力は妨げられない(民法第825条)。
 これに対し、「単独の名義」で子の代理権を行使した場合には、相手方は民法第825条によっては保護されないが、相手方が父母の一方に権限があると信ずべき正当な理由があるときは、民法第110条によって保護される。


Q 民法第824条の2第3項の親権行使者の指定は、家庭裁判所の調停・審判以外によってもすることは できるか。

A 民法第824条の2第3項の親権行使者の指定は、家庭裁判所の審判等によってされるものであり、私的文書で同項の指定をすることは想定されていない。
 ただし、通常の取引の場面では、共同親権下の子について、父母間で当該子の親権行使を父母の一方が専ら行うことを事実上合意している場合には、当該親が他方親の同意を得た上で共同名義によって代理行為等を行うことができるし、単独名義で代理行為等をすることもできると考えられる。
 他方で、例えば、裁判手続の場面では、裁判手続の安定性の観点から別途検討されることとなり、例 えば、少なくとも裁判を開始する行為(訴訟提起、家事審判の申立て等)については、共同親権者双方の名義で行うか、家庭裁判所の審判等によって当該裁判手続に係る親権行使者の指定を受けた父又は母が行う必要があるものと考えられる。
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「民法第308条の2の規定による子の監護費用の先取特権に係る額の算定等に関する省令案」

2025-09-04 15:52:29 | 民法改正
「民法第三百八条の二の規定による子の監護費用の先取特権に係る額の算定等に関する省令案」に関する意見募集
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&Mode=0&id=300080330

 いわゆる「法定養育費」の額に関する法務省令案に係るパブコメである。

〇 民法第308条の2の規定による子の監護費用の先取特権に係る額の算定等に関する省令
 (子の監護費用の先取特権に係る額の算定)
第1条 民法第308条の2に規定する法務省令で定めるところにより算定した額は、一月当たり八万円に同条に規定する定期金により扶養を受けるべき子の数を乗じて得た額とする。

 (子の監護に要する費用の分担の定めがない場合の特例に係る額の算定)
第2条 民法第766条の3第1項に規定する法務省令で定めるところにより算定した額は、二万円に同項の規定による請求をする父母の一方が離婚の時から引き続き監護を主として行う子の数を乗じて得た額とする。
2 民法第766条の3第2項の規定による日割計算は、離婚の日の属する月又は同条第一項各号に掲げる日のいずれか早い日の属する月の日数を基礎としてこれを行う。
3 前二項の規定は、民法第749条、第771条及び第788条において同法第766条の3第1項及び第2項の規定を準用する場合について準用する。

附則
 (施行期日)
1 この省令は、民法等の一部を改正する法律(令和六年法律第三十三号)の施行の日から施行する。
 (検討)
2 この省令の規定については、この省令の施行後、この省令の施行の状況、社会経済情勢の変化等を勘案しつつ検討するものとし、必要があると認められるときは、所要の措置を講ずるものとする。

〇 改正後の民法
 (子の監護費用の先取特権)
第308条の2 子の監護の費用の先取特権は、次に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権の各期における定期金のうち子の監護に要する費用として相当な額(子の監護に要する標準的な費用その他の事情を勘案して当該定期金により扶養を受けるべき子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額)について存在する。
 一 第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
 二 第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
 三 第七百六十六条及び第七百六十六条の三(これらの規定を第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
 四 第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務
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「相続における死亡保険金-遺留分侵害請求」

2025-09-03 16:53:33 | 民法改正
ニッセイ基礎研究所
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=83022?site=nli

「被相続人が加入し、相続人が保険金受取人となっていた生命保険契約の死亡保険金は、相続人が直接取得した財産となるため、相続財産に含まれないとするのが確定した判例である。」

しかし,

「死亡保険金がこの特別受益に準ずるものとして持戻しの対象となるかどうかは、個別事情を勘案して、死亡保険金を受け取った相続人と他の相続人との不公平が是認できないほど著しい特段の事情がある場合であるかどうかで判断される。
 下級審では相続財産全体と比較して2割程度の死亡保険金は特別受益に準ずるものとは判断されなかった判決がある一方で、相続財産全体と比較して4割を超える死亡保険金は特別受益に準ずるものとして持戻しを認めた判決がある。」(上掲記事)

 この点に関しては,最高裁平成16年10月29日第2小法廷決定もあるところである。

cf. 平成26年8月22日付け「相続人が保険金受取人である場合の特別受益該当性の判断における相続人の経済状況」
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全国一斉「子どものための養育費相談会」

2025-08-29 13:23:04 | 民法改正
弁護士JPニュース
https://www.ben54.jp/news/2617

 全青司主催の相談会が,明日(8月30日)開催される。
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法定養育費,月額2万円に

2025-08-27 18:47:11 | 民法改正
共同通信記事
https://news.yahoo.co.jp/articles/e570dae1701130470612dcef1e97b6c71f63e4f1

「養育費の不払い対策として新設され、離婚時の取り決めがなくても相手に請求できる「法定養育費」を、法務省が月2万円とする方向で検討していることが27日、関係者への取材で分かった。」(上掲記事)

 ん~,最低ラインとはいえ・・。
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中央大学オンライン講座「あらためて養育費不払い問題を考える~民法・民事執行法改正がどのようなインパクトをもたらすのか?」

2025-08-14 09:56:31 | 民法改正
あらためて養育費不払い問題を考える~民法・民事執行法改正がどのようなインパクトをもたらすのか?
https://www.yomiuri.co.jp/choken/seminar/academia/20250812-OYT8T50129/

 令和7年9月17日(水)19:00~20:30 です。
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自治体は,遺留金を埋葬費や火葬費に充当できる

2025-08-01 15:53:06 | 民法改正
時事通信記事
https://news.yahoo.co.jp/articles/51206c1d29f070c941446d08ebda2f24f4f868a6

「政府は、引き取り手のない遺体の火葬や埋葬費用について、相続人の意思を確認しなくても、市区町村が死亡者の預貯金から充当できることを自治体と金融機関宛てに通知した。」(上掲記事)

「遺留金」の取扱いについては,以前から問題になっているが,改善の方向である。

「※2)預貯金の取扱いについては、(1)と同様に、市町村は、行旅法第11条(墓埋法第9条第2項において行旅法を準用する場合を含む。)を根拠として相続人及び死者の債権者等に優先して遺留金を火葬等の費用に充当することができます。行旅法及び墓埋法において、亡くなった方の預貯金の引き出しの手続に関しては何ら特別な定めがなく、また、相続人及び死者の債権者等との関係に留保をつけることなく、引き出しに当たって相続人及び死者の債権者等への意思確認を求めているものではないため、引き出しに当たって相続人及び死者の債権者等への意思確認は不要です。」(手引12頁)

cf.  身寄りのない方が亡くなられた場合の遺留金等の取扱いの手引き(令和7年7月改訂)
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001321293.pdf

厚生労働省「墓地・埋葬等のページ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000123872.html
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民法(遺言関係)等の改正に関する中間試案

2025-07-29 07:13:46 | 民法改正
「民法(遺言関係)等の改正に関する中間試案」に関する意見募集
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&Mode=0&id=300080326

 意見募集は,令和7年9月24日(水)まで。
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民法(遺言関係)等の改正に関する中間試案の取りまとめ

2025-07-25 11:04:22 | 民法改正
法制審議会民法(遺言関係)部会第11回会議(令和7年7月15日開催)
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00297.html

 民法(遺言関係)等の改正に関する中間試案の案が公表されている。近々パブコメがスタート。
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法務大臣閣議後記者会見の概要「遺言制度の見直しを議論する法制審議会に関する質疑について」

2025-07-17 17:17:17 | 民法改正
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和7年7月15日(火))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00634.html

〇 遺言制度の見直しを議論する法制審議会に関する質疑について
【記者】
 遺言制度の見直しを議論する法制審議会の部会で、中間試案の取りまとめに向けた詰めの協議が進んでいます。複数の案が挙がっていますが、いずれにおいても、パソコンやスマートフォンでの作成が可能になる新たな方式の創設が大きな方向性となっています。日本は高齢化社会を迎え、遺言の利用機会はますます増える可能性があります。法制審の議論の方向性に対する大臣の所感と、制度の利便性向上や選択肢の拡大の必要性についてお考えを教えて下さい。

【大臣】
 今御指摘をいただいた法制審議会民法(遺言関係)部会の会議ですが、本日開かれ、中間試案の取りまとめに向けた議論がされる予定と承知しています。中間試案が取りまとめられた場合、その後、パブリックコメントの手続をとる予定と聞いています。
 遺言制度は国民生活上極めて重要な意義を有する相続制度を支える法制度であり、御指摘のようなデジタル技術の進展を踏まえた制度の在り方についての検討が必要であるということ、そして、高齢化の進展という社会状況の中で、遺言者が自らの意思を示し、円滑な財産の承継を実現する観点から、その重要性も増している、そういった認識を我々としてもしています。
 法制審議会においては、パブリックコメントで寄せられる御意見も踏まえながら、遺言制度について遺言の信頼性を確保しつつ、国民の皆様方の利便性にも配慮したものとなるよう、引き続き、充実した議論がされることを私どもとしても期待しているところです。
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遺言制度の見直し,中間試案の取りまとめ

2025-07-15 17:50:46 | 民法改正
朝日新聞記事
https://digital.asahi.com/articles/AST7H2G35T7HUTIL021M.html

 本日開催の部会で,中間試案の取りまとめがされたようである。

「法務省は月内にもパブリックコメントを始め、法制審の答申を経て、来年の通常国会への法改正案提出をめざす。複数案を採用する可能性もあるという。」(上掲記事)
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遺留分減殺に基づく土地の持分の現物返還請求を受けた受遺者に対して当該持分の価額の支払を命じた原審の判断に違法があるとされた事例

2025-07-11 17:17:45 | 民法改正
最高裁令和7年7月10日第1小法廷判決
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=94263

【判示事項】
遺留分権利者から遺留分減殺に基づく土地の持分の現物返還請求を受けた受遺者に対して当該持分の価額の支払を命じた原審の判断に違法があるとされた事例
※ 平成30年改正前民法下の事案

「遺留分権利者から遺留分減殺に基づく目的物の現物返還請求を受けた受遺者が民法1041条1項の規定により遺贈の目的の価額を弁償する旨の意思表示をした場合において、遺留分権利者が受遺者に対して価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をしたときは、遺留分権利者は、遺留分減殺によって取得した目的物の所有権及び所有権に基づく現物返還請求権を遡って失い、これに代わる価額弁償請求権を確定的に取得するが(最高裁平成18年(受)第1572号同20年1月24日第一小法廷判決・民集62巻1号63頁)、遺留分権利者が上記意思表示をするまでは、遺留分減殺によって取得した目的物の所有権及び所有権に基づく現物返還請求権のみを有するものと解するのが相当である。
 これを本件についてみると、本件各持分について、上告人が価額を弁償する旨の意思表示をしたのに対して、被上告人らが価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をしたことはうかがわれないから、被上告人らは、価額弁償請求権を確定的に取得したとは認められず、共有持分権及び共有持分権に基づく現物返還請求権のみを有するものである。
 したがって、本件各持分の価額の支払を命じた原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法がある。」
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父母の離婚後の子の養育に関する民法等改正法のQ&A

2025-07-11 16:35:08 | 民法改正
父母の離婚後の子の養育に関する民法等改正法の施行準備のための関係府省庁等連絡会議
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900355_00001.html

 第4回会議資料が掲載されている。

 共同親権に係る令和6年改正民法に関して,下記Q&Aが詳細である。

cf. Q&A形式の解説資料
https://www.moj.go.jp/content/001442329.pdf
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遺言制度の見直し,近々,中間試案のパブコメへ

2025-07-09 22:23:38 | 民法改正
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA061430W5A700C2000000/

「法制審議会(法相の諮問機関)はパソコンなどで作成した「デジタル遺言書」の導入に向けた制度案を近く取りまとめる・・・7月中にも中間案として取りまとめ、法務省がパブリックコメント(意見公募)にかける。2026年をめどに関連法の改正を目指す。」(上掲記事)

 自筆証書遺言のデジタル化と,その他の遺言の方式全般の見直しである。

 とまれ,従来の方式が否定されるわけではないようである。

 なお,次回の部会は,令和7年7月15日(火)に開催予定である。
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法務大臣閣議後記者会見の概要「選択的夫婦別氏をめぐる議員立法の法案が継続審議となることに関する質疑について」

2025-06-25 02:57:54 | 民法改正
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和7年6月20日(金))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00627.html

○ 選択的夫婦別氏をめぐる議員立法の法案が継続審議となることに関する質疑について
【記者】
 国会が会期末を迎えまして、選択的夫婦別姓の法案は継続審議となりました。このことについて、大臣の御所感と今後の対応について、お考えがあれば聞かせてください。

【大臣】
 まず、今日国会が実質的に最終日ということで、6月22日に会期末を迎えるに当たってということでありますけれども、今国会についてまず申し上げますと、私ども法務省が提出した5本の法案については、長時間にわたる大変充実した深い御審議をいただいて、いずれの法案も成立するに至ったところです。関係する全ての皆様方に、その点について、深く感謝申し上げたいと思います。
 私どもとしては、この審議の中で御指摘いただいた課題をしっかりと受け止めた上で、成立した法案については、それぞれ適切に施行され執行されるよう万全を尽くしてまいりたいと考えています。
 今御指摘がありました、選択的夫婦別姓法案ということですが、これは、私どもとしては3つの法案が提出されたと承知しています。各党各議員の各会派からの提出でもあり、そういった意味では、まさに今、国民の間に様々な議論があることを受けて、提出されたと考えています。
 そういった中にあって、これは繰り返し申し上げているところですが、国民各層の皆様方の御意見や本国会での衆議院法務委員会での御議論、これは参議院の方でも一般質疑の中でも御審議いただきましたが、そういったことを含めた国会での御議論を踏まえ、これから対応を検討していく必要があるんだろうと考えています。
 まずは、本国会でそういった法案が提出され、議論されたという状況ですので、これはおそらく継続審議ということになろうかと思いますが、国民の間はもちろん、国民の代表者である立法府において、国会議員の間でも議論がしっかりと深まっていくことができるように私どもとしては、積極的に引き続きしっかりと情報提供してまいりたいと考えています。
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