第23回規制改革推進会議
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/250528/agenda.html
「規制改革推進に関する答申」が公表されている。
〇 超高齢社会に対応した親族間での信託の活用による柔軟な財産管理の推進(80頁)
【a,c:令和7年度措置、b:aの措置後、速やかに措置】
a 法務省は、国民が認知症などに備えた財産管理を行うに当たり、民事信託(親族間で活用する信託をいう。以下同じ。)が有効であるものの、信託制度自体が国民に十分認知されておらず、また、認知されていても信託制度の内容の理解が十分でないため、活用が進んでいないとの指摘があることを踏まえ、金融庁と連携し、国民向けに信託制度や民事信託の活用方法を分かりやすく解説したパンフレットを作成し、法務省ウェブサイトに当該パンフレットを掲載することなどを通じ、広く周知する。
その際、弁護士や司法書士などの士業が依頼者のニーズに合わせて適切に民事信託の活用を案内することも可能となるよう、民事信託の活用例(親族間の財産管理、承継への活用など)や、民事信託が法定後見制度、遺言など他の財産管理等の手段と併せて活用可能であること、民事信託の開始から終了までの流れ、民事信託を活用する上での注意点など、民事信託を活用するに当たって参考となる情報を盛り込むものとする。
b 金融庁は、金融機関において民事信託が十分に認知されておらず、また、認知されていても民事信託の活用方法の理解が十分でないため、民事信託において利用されている信託口口座の開設に金融機関が消極的であるとの指摘があるほか、信託口口座では受託者に加え、委託者及び受益者の情報も把握しておく必要があるなど他の預金口座に比べて口座管理に手間がかかることや、民事信託終了時の口座解約手続などにおける信託口口座の取扱いが不明確であるとの声があることも踏まえ、金融機関において信託口口座の開設を円滑に行うことができるよう、aの措置によるパンフレットなども活用し、金融機関に対し、民事信託が認知症などに備えた財産管理として有効な手段であることを、その制度の趣旨及び内容と併せて周知するとともに、信託口口座の開設に積極的な金融機関の実態を踏まえ、信託口口座の口座名義人の管理方法や、民事信託終了時の口座解約手続における留意点など、円滑かつ適切な信託口口座の管理に資する情報などについて周知する。
c 法務省は、民事信託において活用される公正証書について、その作成に係る一連の手続のデジタル化に当たり、民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和5年法律第53号)の趣旨を踏まえ、関係する政省令の整備、システムの構築支援など、手続のデジタル完結を可能とするための環境整備を行う。
その際、デジタル化のためのシステム構築を担う日本公証人連合会に対し、次に掲げる事項を要請する。
・ 利用者がオンラインで円滑に公正証書の作成に係る手続を行うことができるよう、利用者の立場に立った分かりやすい利用方法や利用手順などを広く周知すること。
・ オンライン手続全般に関する利用者からの相談に対応するための相談窓口を日本公証人連合会ウェブサイト上に整備すること。
・ 公証役場においてオンライン手続のための環境整備が円滑に行われるよう、公証役場側で必要となるシステム整備の支援や業務手順の周知を行うこと。
・ オンライン手続導入後も、公証人に対し、業務手順や操作方法等に関して継続的に研修を行うこと。