民事月報平成20年第8号に、民事局付吉野太人「『一般社団法人等登記規則』及び『一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う関係省令の整備及び経過措置に関する省令』の解説」が掲載されている。
ポイントをまとめると、次のとおり。
○ 省令の適用関係
「一般社団法人等登記規則」の適用対象となる法人は、一般社団法人及び一般財団法人のほか、旧有限責任中間法人及び特例民法法人である。
特例無限責任中間法人について、及び、整備法により「なお従前の例による」こととされる場合においては、当該場合における登記の手続については、旧法人登記規則が適用される。
○ 名称譲渡人の債務に関する免責
事業の譲受人である商人である一般社団法人及び一般財団法人については、名称譲渡人の債務に関する免責の登記をすることができる。
※ 「一般社団・一般財団法人法は、商法総則の一部規定の適用除外を定めているが(法第9条)、これは、適用除外されていない規定は一般社団法人及び一般財団法人にも適用されうること、見方を変えれば、一般社団法人及び一般財団法人も商人となりうることを前提とした規定である」(大村敦志「基本民法Ⅰ 総則・物権総論(第3版)」(有斐閣))。
○ 公告方法
会社と同様の方法のほか、主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法を公告方法として定めることができる(法第331条第1項第4号、施行規則第88条第1項)
○ 一般財団法人における監事を置く旨の登記
解散前の一般財団法人については、必ず監事を置かなければならない(法第170条第1項)が、監事を置く旨は登記事項とされていない(法第302条第2項参照)。これに対し、清算一般財団法人では、定款の定めにより、監事を置くことができ(法第208条第2項)、この場合には、監事を置く旨を登記しなければならない(法第310条第1項第4号)が、定款の定めを置かない場合には、既存の監事について任期満了による退任の登記をすることとなる。したがって、一般財団法人が清算一般財団法人となった場合における監事に関する登記については、職権抹消の対象とはされていない。
○ 商業登記規則の準用
一般社団法人及び一般財団法人の「代表理事」が就任を承諾したことを証する書面の印鑑につき市区町村長の作成した証明書を添付しなければならない(「一般社団法人等登記規則」第3条、商業登記規則第61条第2項、第3項)。また、代表理事の選定方法に応じ、「代表理事」の選定を証する書面につき、印鑑証明書を添付しなければならない(「一般社団法人等登記規則」第3条、商業登記規則第61条第4項)。
なお、理事会を置かない特例民法法人における理事の登記手続については、なお従前の例による(整備法第48条第2項、同第154条第3項)。
○ 清算法人における会計監査人に関する登記
清算法人については、会計監査人を置くことができない(法第208条第4項)。したがって、解散して清算法人となった場合には、会計監査人を置く旨の定款の定めは効力を失い、会計監査人はその地位を失うこととなる。そのため、登記官は、当該登記を職権により抹消する(「一般社団法人等登記規則」第3条、商業登記規則第72条第1項第4号)。
○ 行い得る事業
一般社団法人及び一般財団法人が行い得る事業は、株式会社が行い得る事業をも含むあらゆる事業であり、その行い得る事業は極めて広汎である。
【参照条文】
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則(平成19年4月20日法務省令第28号)
第88条 法第331条第1項第4号に規定する措置として法務省令で定める方法は、当該一般社団法人等の主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法とする。
2 前項の方法による公告は、次の各号に掲げる公告の区分に応じ、当該各号に定める日までの間、継続してしなければならない。
一 法第128条第1項(法第199条において準用する場合を含む。)の規定による公告 当該公告の開始後一年を経過する日
二 法第249条第2項の規定による公告 同項の変更前の効力発生日(法第244条第2号に規定する効力発生日をいう。以下この号において同じ。)(変更後の効力発生日が変更前の効力発生日前の日である場合にあっては、当該変更後の効力発生日)
cf.
平成20年8月15日付「一般社団・一般財団法等の施行に伴う登記等に関する経過措置(1)(2)」