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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

登記申請中に会社等の印鑑証明書を取得することができる?

2025-07-16 12:29:18 | 会社法(改正商法等)
登記申請中の会社・法人の印鑑証明書を取得することができる場合、できない場合
https://shiodome.co.jp/js/blog/8376

 登記申請中に会社等の印鑑証明書を取得することができる場合があるという取扱いであったが,最近では,印鑑証明書の記載事項に変更がない場合においても,「登記申請中は,一切発行しない」という登記所が増えている(?)ようである。

 京都地方法務局においては,発行されないようである。
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新しい民事局長

2025-07-15 13:57:50 | 会社法(改正商法等)
時事通信社
https://news.yahoo.co.jp/articles/b5ad45fc8246e6c6153480eecb3a888ff6237b20

 新しい法務省民事局長(令和7年7月18日付け)は,商業登記ハンドブックの松井さん(現司法法制部長)。

 商事課長になられた時は,長期安定期になるかと思われたが,残念ながら,逆に短期間(約11か月)であった。

 今後何となく,商業登記関係の「通達」の重みが増すような感である。
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「事業提携契約の実務と理論的展開」

2025-07-14 13:18:35 | 会社法(改正商法等)
髙井章光編著「事業提携契約の実務と理論的展開」(商事法務)
https://www.shojihomu.co.jp/publishing/details?publish_id=6086&cd=3167&state=new_and_already

 事業提携契約の実務を,弁護士や研究者が理論的に検討したものであり,近年においては稀有の書籍である。
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有価証券報告書を株主総会の前日までに開示した企業は上場企業全体の58%

2025-07-09 23:16:00 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOTG084F40Y5A700C2000000/

「2025年3月期の有価証券報告書を株主総会の前日までに開示した企業は上場企業全体の58%にあたる1310社だった。総会後に提出を予定していた企業のうち、70社は総会前の開示に前倒しした。東証プライム上場企業に限れば全体の70%が総会前に開示しており、大企業ほど早期開示に積極的だった。」(上掲記事)

 あずさ監査法人の和久友子パートナー・・・会社法の立案作業の頃に,法務省民事局に調査員として在籍していた方である。
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会社法等の研修会

2025-07-08 07:51:24 | 会社法(改正商法等)
今後の講師等の予定。

 8月21日(木)某会会員研修会(東京)※会社法
 8月30日(土)某会会員研修会(栃木県宇都宮市)※会社法
 9月 5日(金)某会某支部会員研修会(東京)※会社法
 9月27日(土)某会某支部会員研修会(岐阜市)※会社法
10月18日(土)某会会員研修会(鹿児島市)※会社法

 その他,日程調整中が3団体ほど。
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代表者住所の非表示措置,設立時の利用は約3.2%

2025-07-06 10:52:30 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD198EV0Z10C25A6000000/

「登記統計や法務省のまとめによると、制度導入以降の半年間で株式会社の新規の設立登記4万8687件に対し、設立登記に伴う住所一部非表示の申し出は1564件。単純計算で制度の利用率は3.2%になる。」(上掲記事)

 まあこんなものか。

cf.  令和7年7月2日付け「代表取締役等住所非表示措置の申出による実施件数」
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韓国で改正商法が成立

2025-07-04 17:06:02 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM033FS0T00C25A7000000/

「上場企業のガバナンス強化や株主への利益還元を促す商法改正案が韓国国会の本会議で3日、与野党の賛成多数で可決、成立した。上場企業の取締役の責務を「会社」に加えて「株主」まで拡大し、電子株主総会の導入を義務付けた。慢性的に株安状態にある「コリアディスカウント」の克服を図る。」(上掲記事)

 少数株主の利益を守り,財閥などの大株主を中心とした従来の企業統治をけん制することを目指すそうだ。

cf. KBS WORLD
https://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=90599
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代表取締役等住所非表示措置の申出による実施件数

2025-07-02 15:41:39 | 会社法(改正商法等)
代表取締役等住所非表示措置について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00210.html#4

 令和6年10月から令和7年3月までの6か月間の累計で,

設立登記と併せてされた申出による実施件数 1564件
設立登記以外の登記と併せてされた申出による実施件数 4975件
合計 6539件

ということである。

 まあこんなものか。

 この6月には急増しているものと思われるが。
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大安売り(?)の株主提案

2025-06-17 03:09:27 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0512D0V00C25A6000000/

 投資単位の引下げにより,株主提案がしやすくなっている反面,濫用と見受けられる事例も多くなっているというお話。

「堀江貴文氏を社外取締役に」という株主提案がされたことで話題の株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループにおいても,その他諸々。商号中の「・」(中点)を削れという提案も。

cf. 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
https://www.mufg.jp/ir/stock/meeting.html?link_id=investors_stock
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日本製鉄,米国政府に対して黄金株を発行

2025-06-16 09:31:22 | 会社法(改正商法等)
朝日新聞記事
https://digital.asahi.com/articles/AST6H213CT6HUSPT00JM.html

「USスチールの経営の重要事項を拒否できるように」ということらしい。

 その細目は,

「USスチール本社のペンシルベニア州ピッツバーグからの移転▼USスチールの社名変更▼(日鉄による)USスチールへの140億ドルの投資の削減・放棄・遅延▼生産や雇用の米国外への移転▼猶予期間を設けない工場の閉鎖や休止――などについて、米大統領が黄金株を根拠に「発生を防止する」」(上掲記事)

 しかし,米国商務長官が自らのSNSで公表というのも,どうなんだ。

cf. 日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO89375090V10C25A6EA2000/
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法人の登記を書き換えて「勝手に物件売却」,防ぎようがない?

2025-06-15 11:29:11 | 会社法(改正商法等)
楽待新聞
https://www.rakumachi.jp/news/column/372166

 商業登記制度においても,不動産登記制度においても,「不正登記防止申出」の手続が用意されているので,防ぎようがないことはない。

 ただし,3か月ごとに更新を続ける必要があるが。


○ 商業登記等事務取扱手続準則
 (不正登記防止申出)
第49条 不正登記防止申出は、登記の申請人となるべき者又はその代表者若しくは代理人(委任による代理人を除く。)が登記所に出頭してしなければならない。ただし、その者が登記所に出頭することができないやむを得ない事情があると認められる場合には、当該登記の申請人となるべき者の委任による代理人が登記所に出頭してすることができる。
2 不正登記防止申出は、別記第27号様式又はこれに準ずる様式による申出書を登記官に提出してするものとする。
3 前項の申出書には、登記の申請人となるべき者又はその代表者若しくは代理人が記名押印するとともに、代理人によって申出をするときは、当該代理人の代理権限を証する書面を添付するものとする。この場合において、申出書又は委任状に押印された印鑑(登記所に提出された印鑑と同一のものを除く。)につき市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市にあっては、市長又は区長若しくは総合区長とする。)の作成した証明書を添付しなければならない。
4 登記官は、不正登記防止申出があった場合には、当該申出人が申出に係る登記の申請人となるべき者本人であること、当該申出人が申出をするに至った経緯及び申出が必要となった理由に対応する措置を執っていることを確認しなければならない。
5 登記官は、不正登記防止申出を受け、規則第34条第3項第7号の規定により不正登記防止申出書類つづり込み帳に第2項の申出書及びその添付書面等をつづり込んだ場合には、不正登記防止申出書類つづり込み帳の目録(別記第28号様式)に、申出に係る登記の申請人となるべき者の氏名又は商号若しくは名称及び住所、申出人の氏名又は商号若しくは名称並びに申出の年月日を記載するものとする。
6 登記官は、不正登記防止申出があった場合において、これを相当と認めるときは、前項の目録に本人確認の調査を要する旨を記載するものとする。
7 不正登記防止申出の日から3月以内に申出に係る登記の申請があったときは、速やかに、申出をした者にその旨を適宜の方法で通知するものとする。本人確認の調査を完了したときも、同様とする。
8 登記官は、不正登記防止申出に係る登記を完了したときは、第2項の申出書を不正登記防止申出書類つづり込み帳から除却し、申請書と共に保管するものとする。この場合には、不正登記防止申出書類つづり込み帳の目録に、登記を完了した旨及び除却の年月日を記載するものとする。

○ 不動産登記事務取扱手続準則
 (不正登記防止申出)
第35条 不正登記防止申出は、登記名義人若しくはその相続人その他の一般承継人又はその代表者若しくは代理人(委任による代理人を除く。)が登記所に出頭してしなければならない。ただし、その者が登記所に出頭することができない止むを得ない事情があると認められる場合には、委任による代理人が登記所に出頭してすることができる。
2 不正登記防止申出は、別記第53号様式又はこれに準ずる様式による申出書を登記官に提出してするものとする。
3 前項の申出書には、登記名義人若しくはその相続人その他の一般承継人又はその代表者若しくは代理人が記名押印するとともに、次に掲げる書面を添付するものとする。
 (1)登記名義人若しくはその相続人その他の一般承継人又はその代表者若しくは代理人(委任による代理人を除く)の印鑑証明書。ただし、前項の申出書に当該法人の会社法人等番号(商業登記法(昭和38年法律第125号)第7条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人番号をいう。第2号、第3号及び第46条第2項において同じ。)をも記載したときは、登記申請における添付書面の扱いに準じて、その添付を省略することができる。
 (2)登記名義人又はその一般承継人が法人であるときは、当該法人の代表者の資格を証する書面。ただし、前項の申出書に当該法人の会社法人等番号をも記載したときは、その添付を省略することができる。
 (3)代理人によって申出をするときは、当該代理人の権限を証する書面。ただし、登記名義人若しくはその一般承継人又はその代理人が法人である場合において、前項の申出書に当該法人の会社法人等番号をも記載したときは、登記申請における添付書面の扱いに準じて、その添付を省略することができる。
4 登記官は、不正登記防止申出があった場合には、当該申出人が申出に係る登記の登記名義人又はその相続人その他の一般承継人本人であること、当該申出人が申出をするに至った経緯及び申出が必要となった理由に対応する措置を採っていることを確認しなければならない。この場合において、本人であることの確認は、必要に応じ規則第72条第2項各号に掲げる方法により行うものとし、登記名義人の氏名若しくは名称又は住所が登記記録と異なるときは、氏名若しくは名称又は住所についての変更又は錯誤若しくは遺漏を証する書面の提出も求めるものとする。
5 登記官は、不正登記防止申出を受けたときは、不正登記防止申出書類つづり込み帳に第2項の申出書及びその添付書面等の関係書類をつづり込むものとする。
6 前項の場合は、不正登記防止申出書類つづり込み帳の目録に、申出に係る不動産の不動産所在事項、申出人の氏名及び申出の年月日を記載するものとする。
7 登記官は、不正登記防止申出があった場合において、これを相当と認めるときは、前項の目録に本人確認の調査を要する旨を記載するものとする。
8 不正登記防止申出の日から3月以内に申出に係る登記の申請があったときは、速やかに、申出をした者にその旨を適宜の方法で通知するものとする。本人確認の調査を完了したときも、同様とする。
9 登記官は、不正登記防止申出に係る登記を完了したときは、第2項の申出書を不正登記防止申出書類つづり込み帳から除却し、申請書(電子申請にあっては、電子申請管理用紙)と共に保管するものとする。この場合には、不正登記防止申出書類つづり込み帳の目録に、登記を完了した旨及び除却の年月日を記載するものとする。
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会社法の見直し

2025-06-02 17:30:31 | 会社法(改正商法等)
第23回規制改革推進会議
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/250528/agenda.html

「規制改革推進に関する答申」が公表されている。

キ 株式対価M&Aの活性化に向けた会社法の見直し(106頁)
【(前段)措置済み、(後段)令和6年度検討開始、令和8年度内を目途にできるだけ早期に結論、結論を得次第速やかに措置】
<基本的考え方>
 株式対価M&Aは、買収者の株式又は株式と現金を組み合わせて対価とすることで、手元に十分な現金がないスタートアップ等が買収者となる場合であっても、その成長力を担保にして、効率的に大規模な事業再編を行うことが可能となる。また、逆に、他社に買収された後も当該他社の株式の保有を通じて経営に参画することによるシナジーの創出などが期待でき、特にスタートアップにとってはIPOによらないエグジットを活性化できる可能性もある。
 他方で、会社法(平成17年法律第86号)に規定された株式対価M&Aの一類型である株式交付は、外国会社を買収する場合には活用できないなど活用範囲が狭く、また、株式と現金を組み合わせた混合対価によるM&Aにおいて株主総会が不要となる場合が限定されているなど手続負担が重いといった指摘がある。
 このため、我が国企業による海外企業に対するM&Aの手法の多様化や我が国スタートアップのエグジットの多様化を図る観点から、現行制度を見直す必要がある。
 以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>
 法務省は、以下の内容等の株式対価M&Aの活性化に向けた会社法の改正を検討し、法制審議会への諮問を行う。法務省は、法制審議会(同審議会から調査審議を付託された会社法制(株式・株主総会等関係)部会を含む。)において、以下の内容等の会社法の改正を検討し、令和8年度内を目途にできるだけ早期に結論を得て、結論を得次第速やかに必要な法案を国会に提出する。

① 株式交付を外国会社の買収にも利用可能とするに当たっては、外国会社を日本の株式会社に相当する会社のみとすると対象となる会社が限定され、会社法改正の意義が減殺されるとの指摘を踏まえ、外国会社の定義について、株式会社に加え、米国のLLCなどの持分会社やこれに類似する会社も含まれるものとする。あわせて、日本においても、株式の譲渡に当たり会社の承諾を必要とする株式会社であっても株式交付の対象とされており、持分の譲渡に当たり他の社員の承諾を必要とする持分会社を対象としても支障は生じないとの指摘を踏まえ、合同会社を株式交付の対象とすること。

② 株式交付が、会社法第5編に規定する合併、株式交換等(以下「組織法上の行為」という。)の一類型として一度の制度利用で買収会社が買収対象会社を子会社化する場合のみの利用に限られている点について、(ⅰ)単に親子会社関係を新たに創設する場合のみを組織法上の行為と位置付けるのではなく、組織法上の行為に位置付けられる行為が有する性質に着目してその対象となる範囲を決すべきであること、(ⅱ)株式交付が会社法上、組織法上の行為に位置付けられる理由は、株式交付における買収対象会社に関する情報を開示して、株式交付をする株式会社の株主総会決議を経ている点にあるとの指摘を踏まえ、当該決議を経る子会社株式の追加取得も株式交付の対象とすること。

③ 株式交付の承認のための買収会社における株主総会決議に関して、買収対象会社の株主に交付する株式と現金の合計が買収会社の純資産額の5分の1を超えないときに株主総会を不要とする会社法の規定について、株式と現金を組み合わせた混合対価によるM&Aの活性化のため手続の簡素化を求める意見を踏まえ、買収会社における株主総会決議の要否は、買収対象会社の株主に交付する株式のみによって判定を行うものとすること。

ク 非上場株式の発行・流通の活性化
【令和7年度結論、結論を得次第速やかに措置】
<基本的考え方>
 我が国のスタートアップを含む非上場企業は、ユニコーンやグローバル企業への成長促進や、地域経済活性化への貢献等の観点から、適切な投資家保護を確保しつつ、株式の発行及び流通を活性化すること等を通じて、円滑な資金調達の途を確保する必要がある。令和6年6月の規制改革実施計画において、非上場株式の発行市場及び流通市場の活性化並びにそのための制度の継続的な改善を図るためのPDCAサイクルを回す上で適切なKGI・KPIの設定について取り組むこととされているが、現時点において、検討に必要な実態調査の結果が公表されておらず、KGI・KPIが設定されていないことも含め未対応の事項が数多く残っていること、また、東京証券取引所においてグロース市場の上場維持基準の引上げが検討されており、スタートアップの成長のための資金調達環境の改善、スタートアップのエグジットに関する議論を早急に進めることが従前にも増して極めて重要な局面になっていることを踏まえ、取組を加速する必要がある。
以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>
 金融庁は、投資家保護の要請を踏まえつつ、スタートアップへの資金供給の拡大の観点から、令和6年6月の規制改革実施計画に基づく、非上場株式の発行市場及び流通市場の活性化に係る以下の事項について検討の加速化を行い、令和7年度中に結論を得る。当該結論を得次第、速やかに必要な措置を講ずる。

① 事業者において株式による資金調達を行う際に過大な手続コストがかかるという指摘を踏まえ、令和7年度中に実施する当該資金調達時にかかる手続コストなど事業者負担に関する実態調査の結果も踏まえた上で、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。以下「金商法」という。)第4条第1項第5号に基づく有価証券届出書の届出免除基準について、当該基準の引上げを含めた制度の在り方及び同法第5条第2項に基づく少額募集における段階的かつ合理的な開示制度の在り方(例えば、少額募集の上限を20億円程度まで引き上げ、1億円から5億円未満、5億円から10 億円未満、10億円から20億円未満の金額帯で開示を簡素化する案等)。

② スタートアップ等が株式による資金調達を行いやすくする観点から、金商法第2条第3項第1号及び金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号)第1条の5に基づく少人数私募における人数要件(49名以下)の緩和並びに人数計算を勧誘者基準から取得者基準に変更する等の私募の在り方。

③ スタートアップ・エコシステムを進化させ、特定投資家の裾野拡大を通じて資金調達環境を整備する観点から、金商法第34条の4に基づき特定投資家以外の顧客である個人がその投資判断能力・リスク許容度に応じて特定投資家とみなされる場合の要件の在り方。

ケ バーチャルオンリー株主総会の活用に向けた環境整備
【a:(前段)措置済み、(後段)令和6年度検討開始、令和8年度内を目途にできるだけ早期に結論、結論を得次第速やかに措置、b:令和6年度検討開始、令和8年度内を目途にできるだけ早期に結論、結論を得次第速やかに措置】
<基本的考え方>
 場所の定めのない株主総会(以下「バーチャルオンリー株主総会」という。)は、地方など遠隔の居住者を含む株主による株主総会への参加を容易にするものであり、上場会社では産業競争力強化法(平成25年法律第98号)の規定により、会社法(平成17年法律第86号)の特例として実施可能とされているが、経済産業大臣及び法務大臣の確認並びに定款の定めが必要であり、導入に必要な手続負担が重いとの指摘がある。
 また、通信障害発生時の株主総会決議の効力や議事進行を妨害する株主への対応等にも懸念の声があり、令和6年12月末現在で、バーチャルオンリー株主総会の開催を可能とする定款変更議案を総会で決議した株式会社は459社(上場企業数3,975社)、実際に開催した株式会社は70社にとどまっているなど、十分に活用されていない。
 以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>
a 法務省は、産業競争力強化法において同法の確認を受けた株式会社に対して会社法の特例として認められているバーチャルオンリー株主総会について、当該確認の有無にかかわらず、その開催を容易にし、デジタル技術を活用して、地方など遠隔の居住者を含む株主が出席しやすい株主総会を実現するため、以下の各事項を含む会社法の改正を検討し、法制審議会への諮問を行う。法務省は、法制審議会(同審議会から調査審議を付託された会社法制(株式・株主総会等関係)部会を含む。)において、以下の各事項を含む会社法の改正を検討し、令和8年度内を目途にできるだけ早期に結論を得て、速やかに必要な法案を国会に提出する。

① バーチャルオンリー株主総会が株式会社との対話の機会を充実させる制度であること、また、株主総会の招集に必要な事項の決定は会社法において取締役(会)の権限とされていることを踏まえ、バーチャルオンリー株主総会の開催に際し産業競争力強化法で必須とされる経済産業大臣及び法務大臣の確認並びに定款の定めを不要とすること。

② 株主総会の開催時間中に通信障害が発生した際における株主総会決議の有効性を懸念する意見があることを踏まえ、通信回線やオンライン会議に関するソフトウェアの障害などの当該株主総会を開催した株式会社の責めに帰すことが適切ではない通信障害により、株主が議事を十分に視聴できなかったり、議決権を適時に行使できなかった場合であっても、当該株主総会の決議の効力が影響を受けないよう、セーフハーバールール(例えば、株式会社の故意又は重大な過失によって通信障害が生じた場合に限り、株主総会決議の取消事由とすることなど)の規定を設けること。

③ バーチャルオンリー株主総会は議事進行に支障を生じさせようとする者にとっても複数の株主総会への同時出席を可能とするため、より多くの株主総会において議事進行の妨害が発生することが危惧されるという意見があることを踏まえ、例えば、株主による濫用的な質問権の行使や動議の提出による議事進行の妨害を防止するため、株主総会当日の、株主による議案の提出を制限したり、株主からの質問に対する取締役の説明義務を免除することができるなどの規定を設けること。

b 法務省は、上記a②及び③の検討に際し、株式会社が講ずべき通信障害対策、議事進行を妨害する株主に対して議長が執り得る措置等、バーチャルオンリー株主総会の実施に当たり論点となる事項についての解釈を明確化するため、会社法の改正と併せて、必要に応じて産業競争力強化法に基づくバーチャルオンリー株主総会を所管する経済産業省と連携しつつ、所要の措置を講ずる。

コ バーチャルオンリー社債権者集会の実現
【(前段)措置済み、(後段)令和6年度検討開始、令和8年度内を目途にできるだけ早期に結論、結論を得次第速やかに措置】
<基本的考え方>
 信用リスクの高い会社が社債を発行する場合、社債を発行する会社に一定の義務(コベナンツ条項)を課し、社債権者は、社債を発行した会社が当該義務に違反した場合に繰上償還などを求めることになるが、その際に支払いの猶予を認めるなどの柔軟な対応を行うためには社債権者集会の決議が必要となる。
 他方、会社法(平成17年法律第86号)では場所の定めのない社債権者集会(以下「バーチャルオンリー社債権者集会」という。)は認められておらず、機動的に社債権者集会を開催できないため、信用リスクの高い会社による社債発行が進まない一因となっており、相対的に信用リスクの高い会社の社債発行促進も含めた社債市場の活性化のためには社債権者集会の効率化・円滑化が必要であるとの指摘がある。
 以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>
 法務省は、会社法では開催が認められていないバーチャルオンリー社債権者集会について、その実施が可能となるよう、以下の各事項を含む会社法等の改正を検討し、法制審議会への諮問を行う。法務省は、法制審議会(同審議会から調査審議を付託された会社法制(株式・株主総会等関係)部会を含む。)において、以下の各事項を含む会社法等の改正を検討し、令和8年度内を目途にできるだけ早期に結論を得て、速やかに必要な法
を国会に提出する。

① 会社法改正前に募集された社債についても、会社法改正後に募集された社債との間でバーチャルオンリー社債権者集会の開催のしやすさに差異が生じないよう、会社法改正後に求められるバーチャルオンリー社債権者集会の実施を可能とするための要件(例:社債の募集事項への記載)を満たしたものと扱うための規定又は経過措置を設けること。

② 通信回線やソフトウェアの障害などの会社の責めに帰すことが適切ではない通信障害により、社債権者が議事を十分に視聴できなかったり、議決権を適時に行使できなかった場合であっても社債権者集会の決議に係る裁判所の認可が得られるよう、バーチャルオンリー株主総会におけるセーフハーバールール(通信回線やオンライン会議に関するソフトウェアの障害などの当該株主総会を開催した株式会社の責めに帰すことが適切ではない通信障害により、株主が議事を十分に視聴できなかったり、議決権を適時に行使できなかった場合であっても、当該株主総会の決議の効力が影響を受けないよう、例えば、株式会社の故意又は重大な過失によって通信障害が生じた場合に限り、株主総会決議の取消事由とすることなどの規定)を参考として必要な規定を設けること。

③ 社債権者であることの証明を書面で行うこととしている、社債、株式等の振替に関する法律(平成13年法律第75号)について、社債権者集会において議決権を行使するための証明に書面が要求されるため、社債権者集会の電子化、効率化の妨げとなっているとの意見があることを踏まえ、金融庁とも連携し、同法の改正により、電磁的方法による証明など簡易かつ迅速な方法で社債権者であることの証明を可能とすること。

サ 持続的な成長及び中長期的な企業価値向上に向けた株式会社と株主との建設的かつ実効的な対話の促進
【a:令和8年度内を目途にできるだけ早期に結論、結論を得次第速やかに措置、b:令和7年開始、改正会社法施行まで継続的に措置】
<基本的考え方>
 近年、我が国においては、企業の持続的な成長及び中長期的な企業価値向上のため、企業経営及び資本市場に関する制度整備及び環境整備が進められており、その一環として、実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめた「コーポレートガバナンス・コード」(平成27年6月1日制定、令和3年6月11日最終改訂、株式会社東京証券取引所)等により、株式会社と株主との間の対話が促進されている。一方で、株式会社と株主との建設的かつ実効的な対話を促進する上で、株式の議決権の指図権限等を有する者(以下「実質株主」という。)の把握方法や株主提案権の行使要件について課題があり、見直しが必要であるとの指摘がある。
具体的には、株主名簿上の株主(以下「名義株主」という。)と実質株主が一致しないケースも多く見られる中、株式会社と株主との建設的かつ実効的な対話を行うため、実質株主に関する情報を把握する必要性が高まっているが、現行法上、実質株主については、金融商品取引法(昭和
23年法律第25号)第27条の23等に基づく株券等の大量保有の状況等に関する開示制度の適用対象となる場合を除き、株式会社が自らの実質株主を把握することを可能とする制度が存在しておらず、また、①大量保有報告書の提出遅延も多いことや、②公開情報や任意の協力に基づく株主への照会等を通じた情報収集により実質株主を特定しようとする場合には、把握可能な実質株主の範囲に限界があることなどが課題であり、実質株主を正確かつ効率的に把握することが可能となる制度の導入が必要であるとの指摘がある。
 また、我が国の株主提案権の行使要件のうち、300個以上の議決権を有する株主が株主提案権を行使できるとする議決権数を基準とした行使要件は、主要先進国の中でも我が国特有の要件となっているが、投資単位の引下げ等の立法当時との状況変化や株式会社の多大な対応コストも踏まえると、株式会社と他の株主との間の建設的かつ実効的な対話を推進する観点から、株主の権利を過度に制約することがないように留意しつつ、見直しが必要であるとの指摘がある。
 以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずべきである。

<実施事項>
a 法務省は、持続的な成長及び中長期の企業価値向上に向けた株式会社と株主との建設的かつ実効的な対話を促進するため、法制審議会(同審議会から調査審議を付託された会社法制(株式・株主総会等関係)部会を含む。以下同じ。)において、以下の各事項を含む会社法(平成17年法律第86号)の改正を検討し、令和8年度内を目途にできるだけ早期に結論を得て、速やかに必要な法案を国会に提出する。

① 実質株主を正確に把握するため、株式会社が名義株主等に実質株主の情報の提供を請求することができる制度(以下「実質株主確認制度」という。)を導入すること。その際、株式会社が適切な対話の相手方をより正確かつ確実に把握するため、例えば、株式会社が実質株主であると考える者その他の対話の必要があると考える者に対して、情報の提供を直接請求することを可能とする制度など、実質株主確認制度を補完する制度の要否についても検討する。

② 実質株主確認制度の実効性を担保する観点から、名義株主が実質株主の氏名・名称、住所、連絡先、議決権を有する株式数などの基本的な情報について、単に事務処理の誤り等の場合を除き、情報の提供をせず、又は虚偽の情報を提供した場合には、当該実質株主に係る株式について議決権の停止を可能とすること。その際、議決権停止の対象となる名義株主及び議決権数について、株主総会までに株式会社が適切に判断することが可能な制度となるよう留意する。

③ 近年の投資単位の引下げ等の動向も踏まえつつ、株主総会における株式会社と株主との建設的かつ実効的な対話の機会を充実させるため、株主提案権の行使要件のうち、300個以上の議決権を有する株主が株主提案権を行使できるとする議決権数を基準とする行使要件について、当該行使要件の廃止の要否を含めて検討すること。その際、議決権数を基準とする行使要件の単純な廃止のみならず、株主提案権の行使に必要な議決権数の引上げ、株式会社が定款で株主提案に必要な議決権数を定められるものとすること、議決権数を基準とする行使要件に代替する行使要件など、様々な株主提案権の行使要件の在り方を検討するほか、株主提案に代替する株式会社と株主の対話を充実させる方策についても検討を行う。

b 法務省は、導入後の実質株主確認制度が円滑に機能するよう、効率的な運用及び運用スキームを検討するための名義株主となる金融機関を始めとした民間事業者団体の取組に対し、金融庁と連携しつつ、法制審議会における議論状況の適時の共有その他の協力を行う。

シ 従業員等に対する株式報酬の無償交付を可能とする会社法の見直し
【(前段)措置済み、(後段)令和6年度検討開始、令和8年度内を目途にできるだけ早期に結論、結論を得次第速やかに措置】
<基本的考え方>
 従業員及び子会社役職員(以下「従業員等」という。)に対する株式の無償交付は、働き手にとっては企業価値向上に伴う株価の上昇により自身の資産形成にもつながり得ることから、働きがいのインセンティブとなり、また、株式会社にとっては人材確保及び中長期的な企業価値向上の有用な手段となるものであり、我が国の株式会社において導入ニーズが高まっているとの声がある。特に、米国等の海外人材は株式報酬に馴染みがあることから、グローバル展開する企業にとっては海外人材確保の武器にもなるとの指摘がある。
 他方で、会社法(平成17年法律第86号)上、従業員等に対する株式の無償交付は認められておらず、これと同等の結果を実現するためには、従業員に金銭債権を一度付与した上で、当該金銭債権の現物出資を受けて株式を交付するという現物出資方式に基づく複雑な処理が必要となっており、制度を導入する際の支障となっているとの指摘がある。
 このため、我が国株式会社における人材の確保及びインセンティブ向上の観点から、従業員等に対する株式の無償交付を実現すべきである。
 以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>
 法務省は、従業員等に対する株式の無償交付が可能となるよう、以下の各事項を含む会社法の改正を検討し、法制審議会への諮問を行う。法務省は、法制審議会(同審議会から調査審議を付託された会社法制(株式・株主総会等関係)部会を含む。)において、以下の各事項を含む会社法の改正を検討し、令和8年度内を目途にできるだけ早期に結論を得て、速やかに必要な法案を国会に提出する。

① 従業員等に株式の無償交付を可能とする際の既存株主への配慮に関して、(ⅰ)当該交付は経営判断の範疇と整理し得るとの指摘に加え、(ⅱ)特に公開会社においては募集株式の発行は取締役会の決議で可能とされていること、(ⅲ)従業員等の労働意欲の向上その他の効果が得られると考えられるのであれば、会社側が適正な便益を受領しているものと評価することができ有利発行とはならないとの指摘を踏まえ、株主総会決議を不要とすること。

② 子会社役職員を株式の無償交付の対象とするに当たっては、子会社役職員であっても当該子会社の企業価値向上を通じて親会社の企業価値向上に貢献しており、親会社に対して便益を提供している一方で、完全子会社の役職員のみを制度の対象とした場合、子会社において他社の出資を受け入れて新規事業を行うときや、外国法人が現地法人を完全子会社化することができない法制度を採用している国において制度を利用できなくなるため、法改正の意義が失われるとの指摘を踏まえ、完全子会社以外の子会社役職員に対しても株式の無償交付を可能とすること。
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新株予約権付融資の規制緩和等

2025-06-02 17:21:38 | 会社法(改正商法等)
第23回規制改革推進会議
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/250528/agenda.html

「規制改革推進に関する答申」が公表されている。

〇 スタートアップへの資金供給手段の拡大(102頁)
【a:令和7年度措置、b:令和7年調査・検討開始、結論を得次第可能なものから速やかに措置】
<基本的考え方>
 イノベーション創出や生産性向上の牽引役であり、新技術の社会実装による社会課題解決の担い手でもあるスタートアップについて、官民によるスタートアップ育成策の全体像と5年間の具体的なロードマップを示した「スタートアップ5か年計画」(令和4年11月28日新しい資本主義実現会議。以下「5か年計画」という。)では、計画当時に8,000億円規模であったスタートアップへの投資額を2027年度に10倍を超える規模(10兆円規模)とすることが目標として掲げられている。
 他方、スタートアップへの投資額は、地政学リスクの高まり等を背景に国際的にベンチャーキャピタルの資金調達額が減少し、海外主要国が大幅に投資額を減少させる中にあって、2021年の8,827億円から2024年の7,793億円へと減少している。こうした中、スタートアップの資金調達手段については、ベンチャーキャピタル等による出資を通じたエクイティ性の資金による調達のみならず、地域金融機関やフィンテック事業者等による融資等を通じたデット性の資金(いわゆるベンチャーデット)による調達が注目されており、こうした新たな資金調達手法の活用拡大を図ること等により、5か年計画で掲げた目標の実現に向けて、スタートアップの創業後の成長を後押ししていくための取組を強化していく必要がある。
 以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>
a 法務省及び金融庁は、融資と新株予約権の付与を組み合わせた資金調達方法である新株予約権付融資について、融資を実行する銀行等の金融機関において、スタートアップから交付される新株予約権が、上限金利を定める利息制限法(昭和29年法律第100号)及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和29年法律第195号。以下「出資法」という。)における利息に該当するかどうかが不明確であること、また、新株予約権が利息に該当する場合において、新株予約権の標準的な価格算定方法が定まっていないことが、金融機関が新たに新株予約権付融資を行う上での障害となっているとの指摘があることを踏まえ、スタートアップに対する新株予約権付融資の法的安定性を向上させ、その活用促進を図る観点から、民間事業者団体が設置予定の新株予約権付融資の普及における課題に関する検討会に参加し、以下を含む論点の明確化に資するよう、法令解釈に係る意見、助言、情報提供その他の協力を行う。

① 利息制限法第1条及び出資法第5条第2項に定める利息の意義及び新株予約権付融資における新株予約権が利息制限法及び出資法において定める利息に該当するか否か(以下「利息該当性」という。)の判断基準。特に(ⅰ)融資が予定どおりに返済された際に貸手が新株予約権を放棄することをあらかじめ新株予約権交付契約において定めている場合(新株予約権交付契約において、新株予約権が融資に対する保全の性質を有する場合)の利息該当性、(ⅱ)新株予約権の交付時点で換価性が極めて低く、かつ、権利行使を借手の上場時やM&A完了時などに限定している場合の利息該当性、(ⅲ)融資契約と新株予約権交付契約が別契約であり、かつ、新株予約権の交付が融資に連動しない場合の利息該当性。

② ①において新株予約権が利息に該当する場合における、新株予約権付融資全体の貸出金利が利息制限法第1条及び出資法第5条第2項に掲げる上限金利内であることの疎明方法。具体的には、金利計算時における新株予約権の価格算定の在り方。

③ 借手が融資契約に定める期限に先立ち融資を弁済した場合における、貸手における金利の再計算の必要性。その必要がある場合における、実務的に実施可能な再計算の方法。当該再計算の結果、上限金利を超過した場合における、貸手利益の保護の方策。

b 金融庁は、AIも活用した新たな審査手法を用いて融資を行うフィンテック事業者等を含め、預金等を受け入れないで与信業務を営む企業(以下「ノンバンク」という。)が行うスタートアップ等への融資において、当該融資を行うノンバンクが社債による資金調達を行う場合には、金融業者の貸付業務のための社債の発行等に関する法律(平成11年法律第32号。以下「ノンバンク社債法」という。)第6条第1項第2号及び金融業者の貸付業務のための社債の発行等に関する法律施行令(平成11年政令第156号)第4条により、資本金又は出資の額が10億円以上との要件(以下「資本金・出資額要件」という。)を満たす必要があるが、融資を行うノンバンク自身がスタートアップである場合には当該資本金・出資額要件を満たすことが困難であり、このため資金調達を十分に行うことができず、融資を求めるスタートアップへの資金供給を断念する場合があるとの指摘や、「金融審議会資金決済制度等に関するワーキング・グループ報告書」(令和7年1月22日)において、貸金業法(昭和58年法律第32号)により、貸金業者が行う貸付に対して、借手の属性や貸付の態様等にかかわらず、基本的に各種の規制を一律に課していることについて、「リスクに応じた適切な規制が課されるよう、貸金業法の柔構造化についても中長期的に検討を深めていくことが望ましい」とされていること等を踏まえ、スタートアップを含め貸手企業と借手企業が直面する融資等に係る貸金業法、ノンバンク社債法その他関係法令に関する課題について調査を行うとともに、借手の適切な保護を前提とした上で、スタートアップへの資金供給の拡大を図る観点から、調査結果を踏まえて明らかになった課題に対する対応策を検討し、結論を得次第、必要な措置を講ずる。その際、資本金・出資額要件の見直しの要否についても検討を行う。
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組織再編等における公告事項への会社法人等番号の追加

2025-06-02 16:56:37 | 会社法(改正商法等)
第23回規制改革推進会議
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/250528/agenda.html

「規制改革推進に関する答申」が公表されている。

 「措置済み」とあるとおり,組織再編等における官報公告において,本日(6月2日)以降の入稿分から,会社法人等番号が任意的記載事項となっているようである。

 よいことだと思うが,行数が必然的に増えて,手数料は増額となる。お勧めしにくいな。


〇 組織再編等における公告事項への法人番号の追加
【a:措置済み、b:令和7年度上期措置】
<基本的考え方>
 株式会社等の法人の合併、資本金の額の減少、解散その他の会社法(平成17年法律第86号)などの法令により法人に対して官報に公告することが義務付けられる事項(以下「組織再編等の公告」という。)及び法人の破産手続、再生手続、更生手続(以下「倒産処理手続」という。)において裁判所その他の機関に対して官報に公告することが義務付けられる事項(以下「倒産処理手続の公告」という。)について、当該公告には法人を特定する情報として法人の名称、住所及び代表者氏名が記載されるが、法人に付される法人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号)第2条第16項に規定する「法人番号」をいう。以下同じ。)が記載されていないことから、金融機関を始めとした多くの取引先を有する事業者において、当該事業者の取引先である法人と当該公告に掲載された法人との照合(以下「法人照合」という。)に要する作業が大きな負担となっているとの指摘がある。
 事業者の法人照合に要する事務負担を軽減する観点から、組織再編等の公告及び倒産処理手続の公告については、公告事項に法人番号を記載するよう見直すことが必要である。
 以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>
a 内閣府は、組織再編等の公告について、事業者における法人照合に要する事務負担の軽減を図る観点から、官報公告の掲載を行おうとする者(以下「掲載依頼者」という。)による法人番号の記載を促進するため、独立行政法人国立印刷局(以下「国立印刷局」という。)と調整の上、官報公告の原稿のひな型に法人番号の記入欄を設け、また、オンラインで官報公告の掲載申込みを受け付けている取次店(国立印刷局との官報公告の取次に係る契約に基づき、掲載依頼者の委託を受け、官報公告等を掲載するための手続を行う法人をいう。)において、例えば法人番号を記載して官報公告を行うための専用ページを開設し、当該ページで、官報公告に法人番号を記載可能であることを明示するとともに、官報公告の原稿のひな型を提供することなどにより、オンラインでの官報公告の掲載申込の際にも法人番号の記載を可能とする環境整備がなされるよう、国立印刷局に協力を求める。あわせて、内閣府は、国立印刷局が作成するパンフレットに、官報公告に法人番号が記載可能であることを明記することを求める。

b 法務省は、司法府の自律的判断を尊重しつつ、令和9年度中を目途に最高裁判所により開発し導入される倒産処理手続の電子システムについて、個々の事件を審理した裁判所が作成する倒産処理手続の開始決定書や、倒産処理手続の開始決定に基づく官報公告の原稿等における債務者の表示に法人番号を記載することができる仕様となるよう、最高裁判所に協力を求める。
また、法務省は、司法府の自律的判断を尊重しつつ、倒産処理手続の電子システムが導入されるまでの間、倒産処理手続の公告への法人番号の記載を促進するため、多くの取引先を有する事業者において法人照合に要する作業が負担となっており、倒産処理手続の公告に法人番号の追記を求める声があるなどの法人照合に係る事業者の実情等を最高裁判所に情報提供し、倒産処理手続の公告に法人番号の記載を促進するための所要の措置が講じられるよう、最高裁判所に協力を求める。

cf. 兵庫県官報販売所
https://kanpo-ad.com/
※ 記載例が掲載されている

官報パンフレット「法定公告について」
https://www.npb.go.jp/product_service/books/moshikomi/index.files/ketteikoukoku-pamphlet1.pdf
※印の注記がされている(3頁)
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日本公証法学会2025

2025-05-28 17:55:40 | 会社法(改正商法等)
日本公証法学会
https://sjdn.jp/

 激動の公証人界であるが,興味深いテーマが並んでいる。


日 時:2025年6月14日(土)
【研究報告】13時40分〜17時
会 場:富山大学五福キャンパス教育学部第1棟(B1)4階141講義室

報告内容:
第一報告
テーマ:「分散型台帳としてのブロックチェーンを用いた公正証書及び登記システムの可能性についての検討序説」
報告者:森 勇斗 氏(山形大学人文社会科学部講師)

第二報告
テーマ:「定款認証にかかわる諸問題(仮)」
報告者:大西徳二郎 氏(流通経済大学法学部准教授)

第三報告
テーマ:「公証人法施行規則の改正」
報告者:吉賀 朝哉 氏 (法務省民事局付))

報告後、電子公正証書の作成に関するデモビデオの上映(10分程度)を予定
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