司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

コロナ禍で,減資が相当に増えそうである

2021-01-22 12:18:40 | 会社法(改正商法等)
 株式会社京王百貨店(非上場,京王電鉄株式会社の100%子会社)も,資本金12億円→1億円に減資をするようだ(本日の日経朝刊に公告あり)。

cf. 官報
https://kanpou.npb.go.jp/20210122/20210122h00417/20210122h004170031f.html

 コロナ禍もあり,こういう減資が相当に増えそうである。

「資本金の額の減少公告」は,令和3年に入ってから既に196件,本日だけで26件である。
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京都大学iCAP,投資先を拡大へ

2021-01-22 01:26:35 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJB20DZL0Q1A120C2000000

 国立大学系のVCが投資先を急拡大(他の国立大学発スタートアップにも投資)して行く方向であるようだ。
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マイナンバーカードを活用した当事者署名型電子署名サービス

2021-01-22 01:04:25 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ209RP0Q1A120C2000000

 電子契約におけるマイナンバー連動の電子署名サービスを,弁護士ドットコムのクラウドサインが新サービスとしてスタートするらしい。

cf. クラウドサイン
https://www.cloudsign.jp/next-100years

 商業登記の世界でも,令和3年2月15日施行の商業登記規則の改正により,公的個人認証サービスによる電子署名は,急速に(?)活用されることになると思われる。
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スーパー・ファストトラック・オプションの運用はどうなる?

2021-01-21 13:58:01 | 会社法(改正商法等)
ほくらoffice(文京公証役場の公証人)
https://www.hokura-office.com/

「スーパーファストトラックオプションでは申請日午後5時までに公証人の認証を受ける必要がある。申請は当日なるべく早くした方が無難。2月15日実施予定らしい・・・」

「スーパーファストトラックオプション(定款認証・登記同時申請)を申請することができる士業者は、弁護士、司法書士に限られます。」

「行政書士が定款認証・登記同時申請をすると、登記申請は却下されます。」

「定款認証・登記同時申請をしたが、申請当日に定款認証を受けられなかった場合、登記申請は却下。同定款認証申請により認証を受けることは可能。改めて登記申請することになり、設立日がずれる・・・」(いずれも上掲HPツイート欄)

 弁護士の場合は,同時申請可能といっても・・・。

cf. 平成30年10月31日付け「弁護士が,登記について電子申請するための方法」


 ところで,スーパー・ファストトラック・オプション(設立登記と定款認証の同時申請)の場合,もちろん事前に払込みを済ませる必要があるが,

設立時発行株式の引受け(定款又は発起人全員の同意)→出資払込み→設立時取締役等の選任(※定款に記載がない場合)→定款認証以外の手続完了→同時申請

という流れになる。

「設立時発行株式の引受け」は,当然のこととして「出資払込み」よりも前にしておく必要があり(会社法第34条第1項),設立時取締役等の氏名が定款に記載がない場合の選任行為は,出資の履行が完了した後にする必要がある(会社法第38条第1項)。

 添付書面を作成するにあたっては,上記についての手順前後がないように留意する必要がある。

 登記申請書及び委任状に記載する「登記の事由」としての「令和〇年〇月〇日発起設立の手続終了」の日付については,同時申請の申請日付を記載する必要がある(定款認証を了してはじめて,「発起設立の手続終了」となるからである。)。
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毎日新聞社が減資

2021-01-20 04:49:17 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ198YH0Z10C21A1000000

「毎日新聞社が3月に資本金を現在の41億5000万円から1億円に減資する・・・・・資本金を、税制上は中小企業の扱いとなる1億円以下にすることで節税する。1月15日に開いた臨時株主総会で承認された。」(上掲記事)

 官報掲載は,1月25日の予定であるという。
 
cf. BLOGOS記事
https://blogos.com/article/510833/

 おそらく同時に「剰余金の処分」(損失の処理)も行って,「資本金等の額」を減ずるのであろう。規模からすると微々たるものとはいえ,いわゆる「均等割」を減らす効果も大きい。

cf. 均等割 by 税務研究会
https://www.zeiken.co.jp/yougo/%E5%9C%B0%E6%96%B9%E7%A8%8E/%E6%B3%95%E4%BA%BA%E4%BD%8F%E6%B0%91%E7%A8%8E%EF%BC%88%E9%81%93%E5%BA%9C%E7%9C%8C%E7%A8%8E%E5%8F%88%E3%81%AF%E5%B8%82%E7%94%BA%E6%9D%91%E7%A8%8E%EF%BC%89/%E5%9D%87%E7%AD%89%E5%89%B2%E3%81%AE%E7%A8%8E%E7%8E%87.html


 ところで,「株式会社毎日新聞社」は,持株会社である「株式会社毎日新聞社グループホールディングス」の100%子会社である。現在は,資本金の額が41億5000万円で,会社法における「大会社」であり,おそらく「公開会社でない株式会社」。

 とすると,単に中小企業税制等の観点からのみならず,会社法的にも減資をして,機関設計の簡素化を図ることは,合理的な選択であり,十分戦略的であるといえる。

会社法
 (大会社における監査役会等の設置義務)
第328条 大会社(公開会社でないもの、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役会及び会計監査人を置かなければならない。
2 公開会社でない大会社は、会計監査人を置かなければならない。


 一般的に,減資の目的としては,以下のような点が考えられる。

① 欠損を填補する。
② 剰余金の配当を可能にする。
③ 大会社の要件から外れることにより機関設計の簡素化を図る
④ 中小企業税制の適用を受ける。
⑤ 外形標準課税の課税対象から外れる。
⑥ 「資本金等の額」を減少させて,地方税の「均等割り」を減額する(※平成27年税制改正で復活した。)。
⑦ 業種ごとに定められている「中小企業」の要件に該当することにより助成金等の恩典を享受できるようにする。
⑧ 中小企業退職金共済制度の利用を可能にする。
⑨ 経営承継円滑化法が定める遺留分の特例や納税猶予を利用できるようにする。


「中小企業」のメリット享受を維持するために,増資と同時の減資&「資本準備金の額の減少」や,株式交換や株式交付と同時の「資本準備金の額の減少」も今後益々増えるであろう。


 関西風に言うと,中途半端に大きな資本金の額で「ええかっこ」しているのは「あほ」であり,今回の選択は「かしこ」であろう。
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東京大学法学部連続講義「令和元年改正会社法」

2021-01-18 18:06:04 | 会社法(改正商法等)
東京大学大学院法学政治学研究科・法学部連続講義のご案内
https://www.shojihomu.or.jp/p021

 オンライン開催(全6回)で,5万5000円。

 いい企画だと思いますが,国立大学法人の主催ですから,もうちょっとリーズナブルになりませんか,という感。
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改正商業登記法による印鑑の提出義務の廃止(補遺)

2021-01-18 05:52:57 | 会社法(改正商法等)
 改正商業登記法(令和3年2月15日施行予定)により,会社等の代表者は,印鑑の提出を要しないことになる。

 しかし,これに伴う商業登記規則の改正により,登記の申請人又はその代表者が申請書に押印する場合には,登記所に提出している印鑑を押印しなければならないこと(改正規則案第35条の2第1項)及び委任による代理人の権限を証する書面には,同じく登記所に提出している印鑑を押印しなければならないこと(同条第2項)とされる見込みである。

 あり得ないとは思うが,書面等による申請の後,印鑑の廃止の届出(規則第9条第7項前段)をすれば,いつでも,改正により認められた「登記所に印鑑を提出した者がない」状態になることも可能である。要は,「登記所に印鑑を提出した者がない」会社等が,書面等による申請と同時に印鑑の提出をし,登記が完了すれば,印鑑の廃止の届出をして,「登記所に印鑑を提出した者がない」に戻ることを繰り返すこともできるのである。

 ところで,同じ商業登記規則の改正により,オンラインで登記を申請する場合において会社等の代表者が申請書情報に付する電子署名の電子証明書については,商業登記電子証明書に限られないものとされ,電子委任状に付する作成者の電子署名の電子証明書も同様とされる見込みである(現行商登規第102条第6項を削除)。公的個人認証サービスによる電子証明書の電子署名でよいのである。

 また,あらかじめ登記所に印鑑を提出していない外国人が登記の申請をする場合(会社の支店の所在地において登記の申請をする場合を除く。)には,当該登記の申請書又は委任状の署名が本人のものであることの本国官憲の証明が必要であるという取扱いである。
※ 外国人が代表者である場合,「外国人ノ署名捺印及無資力証明ニ関スル法律」(明治32年3月10日法律第50号)により,当該外国人は,申請書又は委任状に記名押印する必要はなく,署名するだけでよいので,印鑑を提出する必要はない。しかし,その場合は,申請の度ごとにその署名が本人のものであることを証明する必要がある(昭和48年1月29日民四第821号民事局長通達参照)。

 これらの理からすれば,改正規則案第35条の2において,会社等が書面による申請をし,又は代理人に対して書面による委任状を交付する場合にあっても,わざわざ代表者が印鑑の提出を要することとせず,申請書等に代表者がいわゆる個人実印を押印して,市町村長が作成した印鑑証明書を添付すれば足りることとしてもよいのではないか(改正規則案第61条第8項と同じパターンである。)。

 今更ながらではあるが。
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改正会社法,企業が対応すべき4つのポイント

2021-01-18 04:39:34 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFP146A90U0A211C2000000

「改正の主なポイントは①取締役の報酬に関する規律の見直し、②会社補償や会社役員賠償責任保険(D&O保険)の規律整備、③社外取締役の設置義務化、④株主総会資料の電子提供制度の創設(2022年度予定)となる。」(上掲記事

 上記で商業登記に関連するところでは,①では払込みを要しない募集株式の発行手続があり,④では定款の定めが登記事項である。
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Webinar研修会「令和元年改正会社法等における登記実務について」

2021-01-16 17:42:28 | 会社法(改正商法等)
 本日は,Webinar で,秋田県司法書士会会員研修会「令和元年改正会社法等における登記実務について」(3時間)。

 自宅で,ノートパソコンに向かって,独り話し続けるパターンですが,すっかり慣れて来た感。無事終わりました。


 質問があった事項を敷衍すると,次のとおりである。

 令和3年2月15日以降,登記所に印鑑を提出した者がない株式会社等が出現することになるが,当該株式会社等において,代表取締役等の重任による変更の登記を申請する場合に,

1.代表取締役の電子証明書が失効(例えば,マイナンバーカードが失効)しているとき
 登記申請に際して,再取得が間に合わないときは,登記申請と同時に「印鑑を提出」することで対応することになるであろう。取締役会議事録も書面で作成し,取締役全員が個人実印を押印して,印鑑証明書を添付することになる。

2.代表取締役以外の取締役の電子証明書が失効しているとき
 登記申請に際して,再取得が間に合わないときは,取締役会議事録を書面で作成して,取締役全員が個人実印を押印し,印鑑証明書を添付することになる。この場合は,印鑑の提出は要せず,司法書士は,「電子委任状」と「書面の取締役会議事録」及び印鑑証明書を受領して,登記申請書に添付することになる。
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自己株式の消却と株式交換時の留意点

2021-01-15 19:14:23 | 会社法(改正商法等)
企業会計ナビ by EY新日本有限責任監査法人
https://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/ota-tatsuya-point-of-view/2021-01-05.html

 株式交換において反対株主の買取請求権が行使された場合,反対株主が有する株式は,株式交換の効力発生日において株式交換完全子会社の自己株式となる(会社法第786条第6項)。この自己株式に対しても,株式交換完全親会社の株式が割り当てられる(会社法第135条第2項第5号,会社法施行規則第23条第2号)こととなり,相当な時期に処分しなければならないことになるが,このような事態は好ましくないことから,株式交換の効力発生と同時に消却することを事前に取締役会で決議しておくスキームが採られることが多い。

 その理由の一つとして,上記の記事によると,

「自己株式の税務上の帳簿価額はなく、対価として交付される完全親会社株式の税務上の帳簿価額もゼロになります。結果として、その親会社株式を株式交換後に関係会社等に譲渡する場合は、譲渡価額の全額が益金の額に算入され、課税対象になってしまう点に留意しなければなりません。そのため、株式交換の直前に完全子会社となる会社が、自己株式の消却を行う方法が多く用いられています。」(上掲・企業会計ナビ記事)

cf. 平成20年12月9日付け「株券電子化後に、株式交換における株式買取請求に係る買取りによって取得した自己株式の同時消却スキーム」

平成19年10月15日付け「株式交換における反対株主の株式買取請求と子会社への親会社株式割当て」
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「スーパー・ファストトラック・オプション(定款認証・設立登記のオンライン同時申請)」についてリリース

2021-01-08 14:57:02 | 会社法(改正商法等)
【お知らせ】登記・供託オンライン申請システムの新たな機能について
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/information/info_202101.html#HI202101077829

「スーパー・ファストトラック・オプション(定款認証・設立登記のオンライン同時申請)」について告知がされている。


「令和3年2月15日(月)から,登記・供託オンライン申請システムに,新たな機能の追加等がされる予定です。

〇 定款認証と法人設立登記の同時申請に対応
 申請用総合ソフトを使って,定款認証の嘱託と法人設立登記の申請を一度の操作で行うことができます。
 この機能を利用してされた申請は,一定の条件を満たせば,24時間以内に処理を完了します。」
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スーパー・ファストトラック・オプション(定款認証・設立登記のオンライン同時申請)

2021-01-05 17:06:38 | 会社法(改正商法等)
「スーパー・ファストトラック・オプション」(定款認証・設立登記のオンライン同時申請)は,令和3年2月15日から利用可能となるはずなのであるが・・・。

「スーパー・ファストトラック・オプション」とは,定款認証と設立登記をオンラインで同時に申請し,当該申請と同日中にテレビ電話機能を利用して認証手続を了し,申請から24時間以内に設立登記も完了するという,超速の設立手続である。

 公証役場は,準備万端とも聞くが・・・。

 法務省からのリリースは,未だである。

cf. 令和2年12月5日付け「設立登記の申請当日にテレビ電話定款認証が完了しないと登記申請は却下される」
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定款を公正証書により作成することができる

2021-01-05 13:54:46 | 会社法(改正商法等)
 拙編著「会社法定款事例集(第3版)」(日本加除出版)17頁に,「定款自体を公正証書により作成することも認められている」とある。

 通常思いもよらない斬新な手続(実例は,皆無に近いと思われる。)であるが,会社法上問題はない(=設立登記の添付書面として通用する)というのが日公連の統一見解であるようである。

 現行法上は,「電子公正証書」という制度が存しないので,公正証書によると印紙税4万円の対象となってしまうことから,専門家関与のケースでは利用者側のニーズは生まれないが,発起人本人が手続をする関係で,書面によらざるを得ない場合には,活用されてもよいと思われる。

 この場合の公証人手数料は,「目的額が算定不能」ということで,11,000円になるようにも思われるが,おそらく定款認証と同額(5万円)であろう。

 将来的に電子公正証書が可能になれば,公証人手数料次第ではあるが,定款も電子公正証書により作成することがデフォルトになる時代が到来するかもしれない。オンラインによる手続にはなじみ難い感もあるが。


 余談ながら,

1.電子定款は,長期の保存が可能であるので,現行の20年よりも保存期間を長くすることはできないか。ニーズはあるのかと問われれば・・・ないことはないと思われる。

2.設立後に「同一の情報の提供」を受けたい場合に,オンライン申請によらざるを得ない点は,改善することはできないか。法務省HPには,「原則として,以下の登記・供託オンライン申請システムを経由する方法により,同一の情報の提供を請求していただきますが,認証等を受けた電磁的記録を公証人役場で受け取られる際に,書面による同一の情報の提供の請求をする場合についてのみ,公証人役場の窓口で書面により請求することができます。」とあるが,全国の全ての公証役場において,電子原始定款を閲覧したり,同一の情報の提供について書面申請したりすることを認めることが可能ではないかと思われる。
※ 遺言書保管所における「遺言書保管ファイル」の閲覧や「遺言書情報証明書」の交付の請求のイメージである。
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管轄外の本店移転と印鑑届書の提出

2021-01-04 09:50:23 | 会社法(改正商法等)
コメント欄での御質問を受けて。

Q.管轄外への本店移転のケースで,旧所在地を管轄する登記所に印鑑を提出していた会社が,引き続き新所在地を管轄する登記所においても印鑑を提出することとする場合,どのような手続になるのか。

A.印鑑の提出については,従来どおり(改正前商業登記法第51条第1項後段)本店移転の登記の申請と同時に旧所在地を管轄する登記所を経由してすることも,登記完了後に新所在地を管轄する登記所に対してすることもできると考えられる。
 ただし,本店移転の登記について,本人申請であれば書面で申請をする場合,代理人による申請であれば書面の委任状を添付する場合には,印鑑の提出を同時に経由してすることが必須である(新規則第35条の2)。同時経由でない場合は,本店移転の登記について,本人申請であればオンライン申請をすること,代理人による申請であれば電子委任状を添付すること(当該代理人が書面で申請をするか,オンライン申請をするかは問わない。)が要件となる。

【解説】
 令和元年改正会社法の施行に伴う整備法により,商業登記法第51条第1項後段が削除される。これにより,印鑑の提出方法は如何というのが御質問の趣旨である。確かに,この点については,商業登記規則改正案においても特段の手当がされない方向であるようだ。

 今般の商業登記法第20条の削除により印鑑の提出義務が廃止され,商業登記法及び同規則の関連義務規定が軒並み廃止される運びであることから,管轄外への本店移転の登記の申請をする場合においても,新所在地を管轄する登記所にする印鑑の提出についても同時経由を要しないとされたものである。「同時経由」の義務付けの廃止である。

 義務付けの廃止とはいっても,本店移転の登記について,本人申請であれば書面で申請をする場合,代理人による申請であれば書面の委任状を添付する場合には,印鑑の提出を同時に経由してすることが必須である(新規則第35条の2)。

 管轄外への本店移転の登記の申請と同時に印鑑の提出をしないことは,いわば,そのタイミングで,印鑑の廃止の届出(規則第9条第7項前段)をするのと同じ意味合いを持つことになる。ただし,本店移転の登記について,本人申請であればオンライン申請をすること,代理人による申請であれば電子委任状を添付すること(当該代理人が書面で申請をするか,オンライン申請をするかは問わない。)が要件となる。 

 実務的には,従来どおり,登記の申請と同時に経由して提出するケースが通常であろう。

 しかし,改正規則は,同時に経由して提出することを義務付けていないことから,上記要件を満たす場合には,本店移転の登記の完了後の適宜の時期に,新所在地を管轄する登記所に対して直接印鑑の提出をすることができることになると考えられる。この場合には,もちろん原則どおり,印鑑届書には,個人実印を押印して,市町村長の作成した印鑑証明書を添付しなければならない(規則第9条第5項柱書本文)。


 ところで,商業登記法第52条第2項の「並びに同項の印鑑」は,削除漏れである。「同項」とは,「第51条第1項」を意味するが,改正により規則第51条第1項中「印鑑」の文字は存しないことになるからである。嗚呼・・・。
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改正商業登記規則と代表取締役の辞任を証する書面

2021-01-04 03:00:41 | 会社法(改正商法等)
 代表取締役の辞任を証する書面に関するコメント欄の御質問を受けて,整理してみました。

 従来の実務は,次のとおり。

(1)登記所に印鑑を提出した者である場合
① 「辞任を証する書面」が書面で作成されているときは,当該書面にはいわゆる個人実印を押印して,市町村長の作成した証明書を添付しなければならない(規則第61条第8項本文)。

② 「辞任を証する書面」が書面で作成されている場合に,当該書面に押印した印鑑と当該代表取締役等が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは,①の証明書の添付を要しない(同項ただし書)。

③ 「辞任を証する書面」が電磁的記録として作成されているときは,当該電磁的記録には商業登記電子署名をする必要がある(書面申請であれば規則第36条第5項本文,オンライン申請であれば規則第102条第6項本文)。

(2)登記所に印鑑を提出していない者である場合
① 「辞任を証する書面」が書面で作成されているときは,当該書面にはいわゆる認印を押印すればよく,市町村長の作成した証明書を添付することを要しない。

② 「辞任を証する書面」が電磁的記録として作成されているときは,当該電磁的記録には電子署名をする必要がある(書面申請であれば規則第36条第4項第2号,オンライン申請であれば第102条第5項第2号)。


 改正商業登記規則の下では,次のとおりである。

(3)登記所に印鑑を提出した者がある場合
 基本的には,従来と同様である。
 ただし,「辞任を証する書面」が電磁的記録として作成されているときは,電子署名をする必要があるが,当該電子署名は,印鑑を提出した者であっても商業登記電子署名であることを要しない(書面申請であれば規則第36条第4項第2号,オンライン申請であれば第102条第5項第2号)。
※ 改正案では,認印レベルの電子署名(規則第102条第5項第2号,同条第4項第2号の「法務大臣の定めるもの」で許容されるもの)では不可であることが明確ではないと思われる。

(4)登記所に印鑑を提出した者がない場合(※新たに出現する形態である。)
① 「辞任を証する書面」が書面で作成されているときは,当該書面にはいわゆる個人実印を押印して,市町村長の作成した証明書を添付しなければならない(規則第61条第8項本文)。
※ 複数の代表取締役が存する場合に,認印の押印でよいケースがなくなるわけである。

② 「辞任を証する書面」が電磁的記録として作成されているときは,電子署名をする必要があるが,当該電子署名は,商業登記電子署名であることを要しない(書面申請であれば規則第36条第4項第2号,オンライン申請であれば第102条第5項第2号)。
※ 改正案では,認印レベルの電子署名(規則第102条第5項第2号,同条第4項第2号の「法務大臣の定めるもの」で許容されるもの)では不可であることが明確ではないと思われる。

③ 代表取締役が交代する場合に,新しい代表取締役が印鑑を提出しないときは,本人申請であればオンライン申請をすること,代理人による申請であれば電子委任状を添付すること(当該代理人が書面で申請をするか,オンライン申請をするかは問わない。)が要件となる。
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