昔の商業登記簿謄本は,縦書きで,手書きでした・・・。
cf. 長門市くじら資料館館長のブログ
http://kayoikujira.seesaa.net/article/29383115.html
商業登記の手続に関して,商業登記法(昭和39年4月1日施行)が制定される以前は,商法(明治32年法律第48号),非訟事件手続法(明治31年法律第14号)第3編第5章,商業登記取扱手続(明治32年司法省令第13号)という法体系であった。
※ 【訂正】商業登記取扱手続は,「昭和14年司法省令第58号」が正しい。昭和13年商法改正(昭和15年1月1日施行)の際に,商業登記取扱手続(明治32年司法省令第13号)を全部改正したもの。
そして,当時の登記用紙は,「縦書き」で,商業登記法の施行に伴う商業登記規則の施行より「横書き」に変わったものである。「縦書き」当時の登記簿は,手書きで,判読し難く,実にやっかいな代物である。
商業登記法施行後も,「登記用紙の改製までの経過措置」が商業登記規則附則第6項前段にあり,しばらくの間は,従前の登記簿に登記がされていたようである。ちなみに,合名会社及び合資会社については,コンピュータ化されるまで,縦書きの登記用紙が使用されていた。
なお,手書きで,どんどん追記していくスタイルのため,初見ではわけがわからない感があるが,「商号」や「目的」といった登記事項ごとに振られた「番号」があり,新たな登記の際には,当該番号が記載されているので,その番号を拾うと何の登記がされているかがわかるようになっている。
【余談】
コンピュータ化直後,合名会社及び合資会社で,「突然,印鑑証明書が発行されなくなった」という事態が少なからず生じていたようである。
理由は,「存続期間の定め」が登記されており,当該期間を経過しているから。合名会社及び合資会社では,設立の際に,「存続期間 30年」などと定めて登記している例が少なくなかったことから,その登記が抹消されていない限り,起こり得る事態である。
しかし,存続期間満了後20~30年も経っているケースもあり,突然なぜ? であるが・・・。
手書きの登記簿では,登記されていた「存続期間の定め」が判読し難いため,当該期間を経過しているにもかかわらず,それを看過して印鑑証明書が発行されていたが,コンピュータ化により,一見明らかとなったため,「突然,印鑑証明書が発行されなくなった」という事態となったらしい。
その間,通常の会社として存続してきたわけであるから,笑えない話であるが・・・。