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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

旧統一教会の解散後の残余財産は北海道の宗教法人に帰属

2025-04-07 16:07:05 | 法人制度
時事通信記事
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025040600181

「東京地裁から解散命令を受けた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が16年前、解散となった場合の財産の移転先として、北海道帯広市の宗教法人「天地正教」を指定していたことが、地裁の決定内容から分かった。」(上掲記事)

 宗教法人法第50条第1項の「規則で定めるところ」により,責任役員会で決議をしていたようである。

「教団は決定を不服として東京高裁に即時抗告する方針を示しているが、高裁でも判断が維持されれば、その時点で解散命令の効力が発生し、宗教法人格を失う」(上掲記事)

とあるが,解散命令の効力が生じた場合,清算手続に入るだけで,法人格を失うのは,清算手続が結了した時点である。


宗教法人法
 (残余財産の処分)
第50条 解散した宗教法人の残余財産の処分は、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除くほか、規則で定めるところによる。
2 前項の場合において、規則にその定がないときは、他の宗教団体又は公益事業のためにその財産を処分することができる。
3 前二項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。

 (解散の事由)
第43条 宗教法人は、任意に解散することができる。
2 宗教法人は、前項の場合のほか、次に掲げる事由によつて解散する。
 一 規則で定める解散事由の発生
 二 合併(合併後存続する宗教法人における当該合併を除く。)
 三 破産手続開始の決定
 四 第八十条第一項の規定による所轄庁の認証の取消し
 五 第八十一条第一項の規定による裁判所の解散命令
 六 宗教団体を包括する宗教法人にあつては、その包括する宗教団体の欠亡
3 宗教法人は、前項第三号に掲げる事由に因つて解散したときは、遅滞なくその旨を所轄庁に届け出なければならない。

 (解散命令)
第81条 裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。
 一 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。
 二 第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと又は一年以上にわたつてその目的のための行為をしないこと。
 三 当該宗教法人が第二条第一号に掲げる宗教団体である場合には、礼拝の施設が滅失し、やむを得ない事由がないのにその滅失後二年以上にわたつてその施設を備えないこと。
 四 一年以上にわたつて代表役員及びその代務者を欠いていること。
 五 第十四条第一項又は第三十九条第一項の規定による認証に関する認証書を交付した日から一年を経過している場合において、当該宗教法人について第十四条第一項第一号又は第三十九条第一項第三号に掲げる要件を欠いていることが判明したこと。
2~7 【略】
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学校法人に関する改正(令和7年4月1日施行)に伴う登記事務の取扱い

2025-03-25 18:26:31 | 法人制度
「私立学校法の一部を改正する法律等の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて(通知)」(令和7年3月17日付け法務省民商第44号法務省民事局商事課長通知)が発出されている。

 学校法人の機関に関する大改正であり,今後は,定期的に理事長の変更の登記も必要になる。

cf. 法務省HP「商業・法人登記関係の主な通達等」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00098.html#02

令和6年7月1日付け「学校法人の理事長の変更の登記」

私立学校法の改正について(令和5年改正)
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiritsu/mext_00001.html
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新しい公益法人制度において,外部理事及び外部監事の要件等

2025-02-07 18:16:39 | 法人制度
 令和7年4月から施行される新しい公益法人制度において,外部理事及び外部監事の要件が問題であるが,かつての民法法人から移行した公益財団法人については,如何に考えるべきか。

 公益財団法人にあっては,「設立者」(個人である場合に限る。)又は「設立者が法人である場合にあっては,当該法人及びその子法人の役員及び使用人」は,外部理事及び外部監事の要件を満たさないからである(改正後の施行規則第4条第2号及び第4号,第5条第2号第4号)。

 そして,旧民法下においては,「設立者」は,定款の記載事項ではなかったためである。


Q14 旧民法下で設立された法人で、定款に設立者の記載がないのですが、設立者を特定する必要がありますか。
・ 対象の一般財団法人が、旧民法第34条の規定に基づき設立された法人で、行政庁の認定を受けた公益法人等である場合は、旧民法下における設立者について定款に記載がなく、その他の資料等からも遡って確認ができない等の事情があれば、設立者を特定することは要しません(ガイドライン第3章第1(14))。

cf. 公益法人information
https://www.koeki-info.go.jp/regulation/rijikanji.html#q14

 公益認定等ガイドライン103頁も御参照ください。
https://www.koeki-info.go.jp/regulation/guideline.html#section_guideline

 なお,「設立者が法人である場合にあっては,当該法人・・・」の法人は,一般社団法人又は一般財団法人に限られないが,「子法人」については,親法人が一般社団法人又は一般財団法人に限られる(法第2条第4号,施行規則第2条,同第3条参照)。
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新公益法人制度の説明資料

2025-02-04 17:52:37 | 法人制度
公益法人information
https://www.koeki-info.go.jp/regulation/shosaizyoho.html

「令和7年4月から新公益法人制度が始まることに際し、今回の公益法人制度改革の趣旨や具体的な変更点(財務規律の柔軟化、行政手続の簡素化・合理化、透明性の向上等)についての資料を作成しました。」

 説明資料について,一通り目を通しておくのがよいであろう。

 公益法人において,「外部理事」及び「外部監事」の概念が復活するものである。ただし,登記事項ではない。

cf. 令和6年9月11日付け「公益認定の基準として,外部理事及び外部監事を導入~政省令案」

平成27年4月23日付け「外部理事及び外部監事の概念がなくなる(2)」

平成26年10月23日付け「外部理事及び外部監事の概念がなくなる」
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不活動宗教法人の整理~認証取消しの手続が広く活用されるべき

2024-12-08 06:35:11 | 法人制度
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF0635Q0W4A101C2000000/

「熊本県内のある仏教系宗教法人は休眠状態が続く。登記上の住所に境内はなく、駐車場として開放する。本堂は約50年前の水害で全壊し、前住職は約20年前に死亡。60代の男性親族が引き継ぎ、書面上は代表代務者に就いている。
 男性は宗派の上部団体と協議して法人の解散を目指した。だが解散に同意が必要な門徒が亡くなっているなどの理由で断念した。後継者はいない。」(上掲記事)

 このようなケースでは,宗教法人法第81条第1項の解散命令が活用されるべきである。

 あるいは,NPO法人のように,認証取消しの手続が広く活用されるべきである(特定非営利活動促進法第43条第1項及び第2項参照)。法第80条では,余りにも狭い。


「不活動法人の実態把握は徐々に進み始めたが限界もある。株式会社は2012年、一般社団法人や一般財団法人は5年にわたり登記更新がなければ解散したとみなされる。宗教法人でも同様の制度導入を検討する余地がある。」(上掲記事)

 定期的な登記申請が不要な法人(特例有限会社,合同会社等の持分会社,学校法人など)に共通の問題である。

 文化庁は,法務省等と連携し,早急に対応策を検討すべきであろう。


宗教法人法
 (解散命令)
第81条 裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。
 一 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。
 二 第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと又は一年以上にわたつてその目的のための行為をしないこと。
 三 当該宗教法人が第二条第一号に掲げる宗教団体である場合には、礼拝の施設が滅失し、やむを得ない事由がないのにその滅失後二年以上にわたつてその施設を備えないこと。
 四 一年以上にわたつて代表役員及びその代務者を欠いていること。
 五 第十四条第一項又は第三十九条第一項の規定による認証に関する認証書を交付した日から一年を経過している場合において、当該宗教法人について第十四条第一項第一号又は第三十九条第一項第三号に掲げる要件を欠いていることが判明したこと。
2 前項に規定する事件は、当該宗教法人の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄とする。
3 第一項の規定による裁判には、理由を付さなければならない。
4 裁判所は、第一項の規定による裁判をするときは、あらかじめ当該宗教法人の代表役員若しくはその代務者又は当該宗教法人の代理人及び同項の規定による裁判の請求をした所轄庁、利害関係人又は検察官の陳述を求めなければならない。
5 第一項の規定による裁判に対しては、当該宗教法人又は同項の規定による裁判の請求をした所轄庁、利害関係人若しくは検察官に限り、即時抗告をすることができる。この場合において、当該即時抗告が当該宗教法人の解散を命ずる裁判に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。
6 裁判所は、第一項の規定による裁判が確定したときは、その解散した宗教法人の主たる事務所の所在地の登記所に解散の登記の嘱託をしなければならない。
7 第二項から前項までに規定するものを除くほか、第一項の規定による裁判に関する手続については、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)の定めるところによる。
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神社境内地等に極度額16億円の根抵当権が設定

2024-11-19 23:53:57 | 法人制度
神戸新聞記事
https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202411/0018359102.shtml

「登記簿などによると、国の重要文化財に指定されている本殿の他、拝殿やトイレなど神社内の全ての建物が登記されており、土地を担保に繰り返し融資を受けられる根抵当権が2023年9月以降に設定された。今年2月に急死した当時の宮司が借金の担保にしたとみられるが、神社関係者はいずれも知らされておらず、契約書も残されていなかったという。」(上掲記事)

 神社関係者はいずれも知らされておらず・・・・・いかにも不自然であるし,根抵当権の設定については,おそらく宗教法人法第24条本文に違反して,無効であると思われる。


宗教法人法
 (事務の決定)
第19条 規則に別段の定がなければ、宗教法人の事務は、責任役員の定数の過半数で決し、その責任役員の議決権は、各々平等とする。

 (財産処分等の公告)
第23条 宗教法人(宗教団体を包括する宗教法人を除く。)は、左に掲げる行為をしようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定)による外、その行為の少くとも一月前に、信者その他の利害関係人に対し、その行為の要旨を示してその旨を公告しなければならない。但し、第三号から第五号までに掲げる行為が緊急の必要に基くものであり、又は軽微のものである場合及び第五号に掲げる行為が一時の期間に係るものである場合は、この限りでない。
 一 不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し、又は担保に供すること。
 二 借入(当該会計年度内の収入で償還する一時の借入を除く。)又は保証をすること。
 三 主要な境内建物の新築、改築、増築、移築、除却又は著しい模様替をすること。
 四 境内地の著しい模様替をすること。
 五 主要な境内建物の用途若しくは境内地の用途を変更し、又はこれらを当該宗教法人の第二条に規定する目的以外の目的のために供すること。

 (行為の無効)
第24条 宗教法人の境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物について、前条の規定に違反してした行為は、無効とする。但し、善意の相手方又は第三者に対しては、その無効をもつて対抗することができない。
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公益認定の基準として,外部理事及び外部監事を導入~政省令案

2024-09-11 09:11:21 | 法人制度
 改正後の法第5条第15号及び第16号の「内閣府令で定める者」は,次のとおりである。

改正後の公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則
 (法第五条第十五号に掲げる者に準ずる者)
第四条 法第五条第十五号の内閣府令で定める者は、次に掲げる者でない者とする。
 一 当法人が一般社団法人である場合にあっては、その社員
 二 当該法人が一般財団法人である場合にあっては、その設立者
 三 第一号に掲げる者が法人である場合にあっては、その役員及び使用人
 四 第二号に掲げる者が法人である場合にあっては、当該法人及びその子法人の役員及び使用人

 (法第五条第十六号に掲げる者に準ずる者)
第五条 法第五条第十六号の内閣府令で定める者は、次に掲げる者でない者とする。
 一 当該法人が一般社団法人である場合にあっては、その社員
 二 当該法人が一般財団法人である場合にあっては、その設立者
 三 第一号に掲げる者が法人である場合にあっては、その役員及び使用人。
 四 第二号に掲げる者が法人である場合にあっては、当該法人及びその子法人の役員及び使用人


 真っ当な公益法人にあっては,理事や監事の大多数は,法の定める一般的な外部性の要件を満たすことが多いと思われるが,上記「内閣府令で定める者」の要件は,存外に落とし穴になるのではないか。

cf. 令和6年9月5日付け「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)」
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「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)」

2024-09-05 16:27:30 | 法人制度
「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)」等に対する意見募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&Mode=0&id=095240530

〇 認定令第6条(認定法第5条第13号関係)【改正】
 会計監査人の設置義務の対象となる公益法人の範囲を拡大するため、設置義務の適用除外となる公益法人の基準を「収益の額100億円、費用及び損失の額100億円、負債の額50億円」に引き下げるものである。

〇 認定令第7条(認定法第5条第15号関係)【新設】
 改正法により新たに公益認定の基準として外部理事の設置を規定したことに伴い、当該規定の適用除外となる公益法人の基準を「収益の額3,000万円、費用及び損失の額3,000万円」と定めるものである。

 意見募集は,令和6年9月27日まで。

cf. 令和6年6月24日付け「公益認定の基準として,外部理事及び外部監事を導入」
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実体のない宗教法人の議事録を偽造し,不正に役員変更登記をした容疑で逮捕

2024-07-19 12:57:37 | 法人制度
産経新聞記事
https://www.sankei.com/article/20240718-IWN64GW2FJOPBLJVMVAJJP3IGA/

 こういうことが起こり得るので,不活動宗教法人の整理は急務である。
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宗教法人の法人格の承継

2024-07-06 08:50:33 | 法人制度
ABEMA TIMES
https://news.yahoo.co.jp/articles/94d3a2c8361c37832c7ac2b99caac43e6186f658

「宗教法人売買の定義は『代表役員の変更登記』であり、土地や建物はおまけだ」

「宗教法人の売買は、寄付金でお金をもらい、退職金としてお金を引き出す。スタンスとしては、取引は全て『寄付金』で、高額を出した『熱心な信者』が跡を継ぐ形になっている」。(上掲記事)

 なるほどね。

 寺院や神社にしても,「熱心な信者」に乗っ取られてしまわないように,「事業承継」の然るべきシステムを構築しないとね。
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不活動宗教法人の状況等に関する調査

2024-07-02 14:58:44 | 法人制度
令和5年「不活動宗教法人の状況等に関する調査」結果について by 文化庁
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/94071601.html

「文化庁では、文部科学大臣及び都道府県知事が所轄庁である宗教法人における不活動宗教法人(宗教活動は行っていないが、法人格のみ存在していると推定される法人)の状況等について調査を実施しています。
 令和5年調査について取りまとめましたので公表します。」
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学校法人の理事長の変更の登記

2024-07-01 15:03:28 | 法人制度
 従来,学校法人の理事長の変更の登記に関しては,

「学校法人において,校長=理事長である等の場合に,他の理事の任期満了の都度,理事長の重任による変更の登記が必要となるのか。

 学校法人においては,当該学校法人の設置する私立学校の校長(学長及び園長を含む。以下同じ。)は,当然に理事の地位に就くものとされている(私立学校法第38条第1項第1号)。

 学校法人の理事の任期については,法律の定めはないが,寄附行為において,校長以外の理事については任期を定めるのが一般的である。校長職にある理事については,校長職にある限り,理事の地位に在り続け,任期がないものである。

 このような場合において,校長職にある理事が理事長であるとき,理事長として退任事由が生じず,かつ,理事として退任事由が生じないのであれば,理事長の変更の登記はする必要がない」

という整理であった。

cf. 平成22年12月8日付け「学校法人の理事長の変更の登記」

 ところが,先般の私立学校法の改正(令和7年4月1日施行予定)により,この取扱いが変り,定期的に理事長の変更の登記をする必要が生ずることとなった。

 すなわち,学校法人の理事には,当該学校法人の設置する私立学校の校長(学長及び園長を含む。)を1人は含まなければならない(新法第31条第4項第1号)が,この校長についての上記の取扱いが廃止され,新法第32条第1項の任期の規律が適用されるものである。

 (理事の任期)
第32条 理事の任期は、選任後寄附行為をもつて定める期間以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する第69条第1項の定時評議員会の終結の時までとする。この場合において、寄附行為をもつて定める期間は、4年以内とする。
2・3 【略】

Q6:充て職理事の選任についてはどのように行うことになるのか。
A6:今回の制度改正により、教学における役職者などについて、理事選任機関の選任行為無しで自動的に理事になることは不可能になります。校長理事についても、校長としての選任と理事としての選任は別個のものと考えていただき、それぞれの段階で適格性を判断した上で選任していただくことが必要となります。
※ 90頁

 したがって,理事としての任期満了改選の都度,理事長の変更の登記を要することとなる。

Q3:理事長の選定について、理事が変更になった都度、選定を行う必要があるのか。又は理事長の任期を理事会で定めることになるのか。 【令和5年12月12日追加】
A3:理事長以外の理事会のメンバーが変更になった場合には理事長を選定し直す必要はありませんが、理事長の理事としての任期が終了した場合には、当該理事が理事として再任された場合であっても、再度理事会において理事長の選定を行う必要があります。
※ 112頁

 そして,現任の校長=理事(理事長)に関しての改正による経過措置については,改正法施行の際の役員及び評議員の任期は,「残任期間と同一の期間」と「令和9年4月以後最初に招集される定時評議員会の終結の時まで」のどちらか早い方とされた。

附則
 (役員及び評議員の任期に関する経過措置)
第3条 この法律の施行の際現に在任する学校法人の役員又は評議員である者の任期は、新私立学校法第三十二条第一項、第四十七条第一項及び第六十三条第一項(これらの規定を新私立学校法第百五十二条第六項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、この法律の施行の際におけるその者の役員又は評議員としての残任期間と同一の期間とする。ただし、当該期間の満了の日が令和九年四月一日以後最初に招集される定時評議員会の終結の時以後である場合は、当該終結の時までとする。

Q4:現行法下で在任している職指定(充て職)の理事は、令和7年度に開催される定時評議員会の終結をもって、何ら手続きを要せず、任期終了ということでよいか。
【令和5年12月12日追加】
A4:寄附行為の定め方にもよりますが、法律上は、職指定(充て職)の理事であっても、令和7年度に開催される定時評議員会の終結の時に当然に理事を退任することになるわけではなく、これらの者のうち理事の資格及び構成の要件を満たす者の任期は、従来の任期又は令和9年度の定時評議員会の終結の時のいずれか早い時までになります。
※ 272頁

 したがって,現行法下において,校長職にある理事については,校長職にある限り,理事の地位に在り続け,任期がないものであったが,改正により,現任の校長=理事については,令和9年4月1日以後最初に招集される定時評議員会の終結の時に任期満了により退任となるので,そのタイミングで理事長の変更の登記が必要となり,以後4年ごとに変更の登記を経ることになる。

 なお,上記のQ&Aは,文部科学省の説明資料によるものである。

cf. 私立学校法の改正について(令和5年改正)
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiritsu/mext_00001.html
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代表理事の変更の登記申請において添付する理事会議事録の押印及び印鑑証明書について(再掲)

2024-07-01 11:10:49 | 法人制度
 新潟での研修会の際に,質問があった件。

「代表理事の交代的変更の登記申請において添付する理事会議事録の押印及び印鑑証明書について,地元の登記所では,法第95条第3項の定款の定めがある場合においても,出席理事及び監事全員の押印及び印鑑証明書が要求されている。レジュメには,出席代表理事及び監事の実印押印及び印鑑証明書の添付で足りるとあるが・・・」

 この件については,以前にも取り上げたところである。

cf. 平成25年2月8日付け「代表理事の変更の登記申請において添付する理事会議事録の押印及び印鑑証明書について」

【再掲はじめ】
 理事会設置一般社団法人又は一般財団法人において,代表理事の就任による変更の登記の申請書には,理事会に出席した理事及び監事が理事会議事録に押印した印鑑についての市区町村長発行の印鑑証明書を添付しなければならないのが原則である(法人登記規則第3条,商業登記規則第61条第4項)。

 ところで,理事会設置一般社団法人等は,定款において理事会議事録に署名又は記名押印をすべき理事を出席した代表理事とする旨を定めることができる(一般社団・財団法人法第95条第3項)。

 この場合には,上記代表理事の選定を証する書面としての理事会議事録には,出席した代表理事及び監事のみが記名押印をすれば足り,それらの印鑑証明書を添付すれば足りる(変更前の代表理事が登記所に提出した印鑑を押印した場合は,不要。)。

cf. 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律等の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて」(平成20年9月1日付け民商第2351号民事局長通達)

杉浦直紀・希代浩正「一般社団・財団法人の登記実務(第2版)」(公益法人協会)47頁

 コメント欄にあるとおり,若干混乱があるようである。理事全員の押印及び印鑑証明書の添付を要すると解する向きは,おそらく,代表取締役を書面決議で選定した場合の取扱いと混同しているのであろう。

 しかし,理事会設置一般社団法人等においては,一般社団・財団法人法が署名等の義務者の簡略な扱いを定めているのであり,省令がこれを覆して「理事全員」を要求するように解するのは,失当であろう。

 また,法第95条第3項のような規定が置かれたのは,従来からの民法法人においては理事が多数であり,全員の署名又は記名押印を要求することが適当でない場合があるとの判断であったからと推察されるところであり,そのような立法趣旨(?)からも,法第95条第3項の定款の定めがあるときは,代表理事が交替する場合の理事会議事録であるからといって,理事全員の押印及び印鑑証明書を要求するのは,妥当ではないであろう。

 なお,新たに代表理事に選定された者も,理事会の最中に即時就任することを承諾した以上,その時点から代表理事に就任するのであるから,「出席した代表理事」に該当するのはもちろんである。

 上記通達の取扱いが変更されたという話は,聞き及んでおらず,これと異なる取扱いをしている登記所があるとすれば,誤解に基づくものであろう。
【再掲おわり】


 新保さんの「司法書士のおしごと」にも同旨の記事があった。
https://blog.goo.ne.jp/chararineko/e/c8bf78a0e3e2729253120f26f1b11aab


 登記関係の通達やその解説には,「当然のことはわざわざ書かない」という不文律があり,上記のとおり,

「理事会設置一般社団法人等は,定款において理事会議事録に署名又は記名押印をすべき理事を出席した代表理事とする旨を定めることができる(一般社団・財団法人法第95条第3項)。
 この場合には,上記代表理事の選定を証する書面としての理事会議事録には,出席した代表理事及び監事のみが記名押印をすれば足り,それらの印鑑証明書を添付すれば足りる(変更前の代表理事が登記所に提出した印鑑を押印した場合は,不要。)。」

の部分に,交代的変更の場合も内包されているという理解でよいはずである。

 私は,新代表理事及び監事の実印押印と印鑑証明書の添付(定款も添付)で,これまで補正になったことはないのであるが・・・。
コメント (3)

休眠宗教法人が大幅増

2024-06-27 11:02:43 | 法人制度
NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240626/k10014491971000.html

「活動実態のない休眠状態にある宗教法人は、去年末の時点で前の年より1000以上増えて、4400余りに上ったことが分かりました。調査した文化庁は、自治体の実態把握が進んだ結果だとして、引き続き整理などの対応を支援していくとしています。」(上掲記事)

 長期にわたって整理作業を続けてきたはずなのに,「自治体の実態把握が進んだ結果」とは・・・。
コメント

公益認定の基準として,外部理事及び外部監事を導入

2024-06-24 11:55:58 | 法人制度
公益法人information
https://www.koeki-info.go.jp/regulation/kaisei.html

「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年法律第29号)が令和7年4月1日から施行される予定である。

 登記実務に関するところでは,公益認定法第5条が次のとおり改正され,公益認定の基準として,理事が監事と特別利害関係のないこと,また理事及び監事の1人以上が外部理事及び外部監事の要件を満たすことが求められることになる。

 大多数の公益法人においては,代表理事と特定少数の業務執行理事を除いて外部性の要件を充足しているので,ほとんど問題はないと思われる。

 そして,附則第5条によれば,新法の規定は,全ての理事及び監事が任期満了により退任する日の翌日から適用される。

 翌日?? 任期満了により退任する時からではないのか?

 とまれ,一般社団法人又は一般財団法人の改正はないので,「外部理事」又は「外部監事」であることについては,登記事項にはならない。

 なお,次回の改選の際からは,議案書や議事録には,「外部理事」又は「外部監事」の要件を満たす者については,その旨を明記するのが望ましいと考えられる。


改正後
 (公益認定の基準)
第5条 行政庁は、前条の認定(以下「公益認定」という。)の申請をした一般社団法人又は一般財団法人が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、当該法人について公益認定をするものとする。
一~九 【略】
十 各理事について、当該理事及び当該理事と特別利害関係(一方の者が他方の者の配偶者又は三親等以内の親族である関係その他特別な利害関係として政令で定めるものをいう。第十二号において同じ。)にある理事の合計数が理事の総数の三分の一を超えないものであること。監事についても、同様とする。
十一 【略】
十二 各理事について、監事(監事が二人以上ある場合にあっては、各監事)と特別利害関係を有しないものであること。
十三・十四 【略】
十五 理事のうち一人以上が、当該法人又はその子法人(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号。以下「一般社団・財団法人法」という。)第二条第四号に規定する子法人をいう。以下この号及び次号において同じ。)の業務執行理事(一般社団・財団法人法第百十五条第一項(一般社団・財団法人法第百九十八条において準用する場合を含む。)に規定する業務執行理事をいう。以下この号において同じ。)又は使用人でなく、かつ、その就任の前十年間当該法人又はその子法人の業務執行理事又は使用人であったことがない者その他これに準ずるものとして内閣府令で定める者であること。ただし、毎事業年度における当該法人の収益の額、費用及び損失の額その他の政令で定める勘定の額がいずれも政令で定める基準に達しない場合は、この限りでない。
十六 監事(監事が二人以上ある場合にあっては、監事のうち一人以上)が、その就任の前十年間当該法人又はその子法人の理事又は使用人であったことがない者その他これに準ずるものとして内閣府令で定める者であること。
十七・十八 【略】

附則
 (公益認定の基準に関する経過措置の特例)
第五条 この法律の施行の際現に存する公益法人又は施行日以後に前条の規定によりなお従前の例によることとされる旧法第五条の基準に基づいて公益認定を受けた公益法人については、新法第五条(第十二号に係る部分に限る。)の規定は、この法律の施行又は当該公益認定の際現に在任する当該公益法人の全ての理事及び監事の任期が満了する日の翌日(その日前に当該公益法人が同号の基準に適合した場合にあっては、その適合した日)から適用する。
2 この法律の施行の際現に存する公益法人又は施行日以後に前条の規定によりなお従前の例によることとされる旧法第五条の基準に基づいて公益認定を受けた公益法人については、新法第五条(第十五号に係る部分に限る。)の規定は、この法律の施行又は当該公益認定の際現に在任する当該公益法人の全ての理事の任期が満了する日の翌日(その日前に当該公益法人が同号の基準に適合した場合にあっては、その適合した日)から適用する。
3 この法律の施行の際現に存する公益法人又は施行日以後に前条の規定によりなお従前の例によることとされる旧法第五条の基準に基づいて公益認定を受けた公益法人については、新法第五条(第十六号に係る部分に限る。)の規定は、この法律の施行又は当該公益認定の際現に在任する当該公益法人の全ての監事の任期が満了する日の翌日(その日前に当該公益法人が同号の基準に適合した場合にあっては、その適合した日)から適用する。
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