些か古いものであるが、旬刊商事法務1998年12月5日号28頁以下に「実務相談室」があり、「株式会社の監査役の補欠規定の適用の有無」が解説されている。
曰く、
「商法273条1項の大原則の例外として273条3項を挙げることができ・・・任期途中で退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期に限っては、定款をもって、前任者の残任期とすることができる・・・3項の適用範囲を広く認めることには慎重でなければならない・・・後任者の任期を残任期に限る必要があるという場合に限られる」
旨が述べられている。
会社法の下では、監査役1名の会社においても、会社法第336条第3項の規定に基づく定款規定の適用がある旨、解釈の変更がなされたが、これは「後任者の任期を残任期に限る必要があるという場合」を緩やかに解するものである。任期途中の退任により、できるだけ早く後任者を選任する必要があり、人選に急を要するという事情に鑑みると、妥当であると考える。
なお、まとめとして、
「同項が適用されるためには、後任者が前任者の補欠として選任されたものであることが明らかである場合に限られますので、総会の議事運営や総会議事録の作成に際しては、この点が明らかになるように注意してください。」
という点は、会社法においても同様であるので、ご留意下さい。