司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

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学校法人の理事長の変更の登記

2024-07-01 15:03:28 | 法人制度
 従来,学校法人の理事長の変更の登記に関しては,

「学校法人において,校長=理事長である等の場合に,他の理事の任期満了の都度,理事長の重任による変更の登記が必要となるのか。

 学校法人においては,当該学校法人の設置する私立学校の校長(学長及び園長を含む。以下同じ。)は,当然に理事の地位に就くものとされている(私立学校法第38条第1項第1号)。

 学校法人の理事の任期については,法律の定めはないが,寄附行為において,校長以外の理事については任期を定めるのが一般的である。校長職にある理事については,校長職にある限り,理事の地位に在り続け,任期がないものである。

 このような場合において,校長職にある理事が理事長であるとき,理事長として退任事由が生じず,かつ,理事として退任事由が生じないのであれば,理事長の変更の登記はする必要がない」

という整理であった。

cf. 平成22年12月8日付け「学校法人の理事長の変更の登記」

 ところが,先般の私立学校法の改正(令和7年4月1日施行予定)により,この取扱いが変り,定期的に理事長の変更の登記をする必要が生ずることとなった。

 すなわち,学校法人の理事には,当該学校法人の設置する私立学校の校長(学長及び園長を含む。)を1人は含まなければならない(新法第31条第4項第1号)が,この校長についての上記の取扱いが廃止され,新法第32条第1項の任期の規律が適用されるものである。

 (理事の任期)
第32条 理事の任期は、選任後寄附行為をもつて定める期間以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する第69条第1項の定時評議員会の終結の時までとする。この場合において、寄附行為をもつて定める期間は、4年以内とする。
2・3 【略】

Q6:充て職理事の選任についてはどのように行うことになるのか。
A6:今回の制度改正により、教学における役職者などについて、理事選任機関の選任行為無しで自動的に理事になることは不可能になります。校長理事についても、校長としての選任と理事としての選任は別個のものと考えていただき、それぞれの段階で適格性を判断した上で選任していただくことが必要となります。
※ 90頁

 したがって,理事としての任期満了改選の都度,理事長の変更の登記を要することとなる。

Q3:理事長の選定について、理事が変更になった都度、選定を行う必要があるのか。又は理事長の任期を理事会で定めることになるのか。 【令和5年12月12日追加】
A3:理事長以外の理事会のメンバーが変更になった場合には理事長を選定し直す必要はありませんが、理事長の理事としての任期が終了した場合には、当該理事が理事として再任された場合であっても、再度理事会において理事長の選定を行う必要があります。
※ 112頁

 そして,現任の校長=理事(理事長)に関しての改正による経過措置については,改正法施行の際の役員及び評議員の任期は,「残任期間と同一の期間」と「令和9年4月以後最初に招集される定時評議員会の終結の時まで」のどちらか早い方とされた。

附則
 (役員及び評議員の任期に関する経過措置)
第3条 この法律の施行の際現に在任する学校法人の役員又は評議員である者の任期は、新私立学校法第三十二条第一項、第四十七条第一項及び第六十三条第一項(これらの規定を新私立学校法第百五十二条第六項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、この法律の施行の際におけるその者の役員又は評議員としての残任期間と同一の期間とする。ただし、当該期間の満了の日が令和九年四月一日以後最初に招集される定時評議員会の終結の時以後である場合は、当該終結の時までとする。

Q4:現行法下で在任している職指定(充て職)の理事は、令和7年度に開催される定時評議員会の終結をもって、何ら手続きを要せず、任期終了ということでよいか。
【令和5年12月12日追加】
A4:寄附行為の定め方にもよりますが、法律上は、職指定(充て職)の理事であっても、令和7年度に開催される定時評議員会の終結の時に当然に理事を退任することになるわけではなく、これらの者のうち理事の資格及び構成の要件を満たす者の任期は、従来の任期又は令和9年度の定時評議員会の終結の時のいずれか早い時までになります。
※ 272頁

 したがって,現行法下において,校長職にある理事については,校長職にある限り,理事の地位に在り続け,任期がないものであったが,改正により,現任の校長=理事については,令和9年4月1日以後最初に招集される定時評議員会の終結の時に任期満了により退任となるので,そのタイミングで理事長の変更の登記が必要となり,以後4年ごとに変更の登記を経ることになる。

 なお,上記のQ&Aは,文部科学省の説明資料によるものである。

cf. 私立学校法の改正について(令和5年改正)
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiritsu/mext_00001.html
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