司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

一般財団法人等が株主となるケースが増加

2017-06-30 06:46:31 | 法人制度
日経記事(有料会員限定)
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO18187750X20C17A6DTA001/

 おそらくオーナー企業に多いと思われるが,関連の一般財団法人(公益財団法人を含む。)に対して自己株式の処分を行う上場企業が増えているという記事。連載である「ニッポンの株主」の一である。

 オーナーがこのような一般財団法人を設立するのは,相続税対策の意味合いもある。

 租税特別措置法第40条の関係(譲渡所得等に係る所得税が非課税となる措置)では,公益財団法人等において,例えば次のような定款の定めが必要とされている。

【例】
第○条 この法人が保有する株式(出資)について、その株式(出資)に係る議決権を行使する場合には、あらかじめ理事会において理事総数(現在数)の3分の2以上の承認を要する。
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株主総会の集中日

2017-06-30 06:27:49 | 会社法(改正商法等)
日経記事
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG29H7P_Z20C17A6CC1000/?n_cid=TPRN0009

 今年は,昨日(6月29日)が集中日。警察庁のまとめでは707社。下記の上場企業に関する調査では,380社(31%)。

cf. 3月期決算会社株主総会情報 by 日本証券取引所グループ
http://www.jpx.co.jp/listing/event-schedules/shareholders-mtg/index.html
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社会福祉法人に係る法改正による理事長の変更の登記(その5)

2017-06-29 17:07:12 | 法人制度
 最近質問があった事案をまとめてみると,


1.権利義務承継規定について
 役員の権利義務承継に関する社会福祉法第45条の6第1項の規定に関しては,経過措置がなく,平成29年4月1日施行である。

 (役員等に欠員を生じた場合の措置)
第45条の6 この法律又は定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。
2~4 【略


2.代表権について
 社会福祉法人の代表について,改正前社会福祉法においては,理事は,原則として代表権を有する(旧法第38条第1項本文)ものの,定款の定め(同項ただし書)により特定の理事のみが代表権を有するものとされていたのが一般であった。この規律については,施行日以後に選定された理事長が就任するまでの間は,なお従前の例によるものとされた(改正附則第15条)。

附則
第15条 この法律の施行の際現に在任する社会福祉法人の理事の代表権については、施行日以後に選定された理事長が就任するまでの間は、なお従前の例による。

 したがって,例えば,平成29年6月15日に開催された定時評議員会の終結の時に,従前の理事が全員任期満了となり,同定時評議員会で新しい理事(6名以上)が選任されたものの,即時に理事会が開催されず,同月20日に開催された理事会で理事長が選定されたとしたら?

(1)施行日(平成29年4月1日)から定時評議員会の終結の時まで
  なお従前の例による。

(2)定時評議員会の終結の時から理事会で選定された理事長が就任する時まで
  ?????

(3)理事長が選定された理事長が就任した時以降
  理事長が代表する。

 6月15日に開催された定時評議員会の終結後,同月20日に開催された理事会で理事長が選定されて就任するまでの間は,「平成28年改正社会福祉法の施行の際現に在任する社会福祉法人の理事」も存在しなくなっていることから,改正附則第15条の規定の適用もなく,さて?の状態である。

 となると,改正附則第15条の規定は,ちとまずいということか。

 常識的に考えれば,(2)の期間は,社会福祉法人を代表する者が不在ということになる。


3.理事は6名以上
 仮に,平成29年6月15日に開催された定時評議員会で理事を4名しか選任することができなかったとしたら?

 この場合,法第45条の6第1項の規定により,従前の理事は,法定の6名以上の理事が選任されるまでの間,なお理事としての権利義務を有することになる。

 したがって,理事4名の中から理事会において理事長を選定することはできず,当該「理事長に選定された者」から「理事及び理事長の変更」の登記を申請することもできない。

 この場合の社会福祉法人の代表については,従前の「代表権を有する理事」がそのまま当該社会福祉法人を代表することになると考えられる。
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株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置の整備

2017-06-28 23:14:10 | 会社法(改正商法等)
朝日新聞記事
http://www.asahi.com/articles/ASK6Q46BMK6QPTIL00S.html

 法制審で議論されている論点に関する事案である。

cf. 平成28年4月20日付け「株主提案権の濫用?」
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最高裁が裁判官などの旧姓使用認める

2017-06-28 23:10:57 | いろいろ
NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170628/k10011033551000.html

「最高裁判所は、裁判官や書記官などが判決などの公的文書で戸籍名しか使えなかったことについて、社会情勢を踏まえて改める必要があるとして、結婚前の旧姓の使用を認めることを決めました。

 最高裁判所は、内部の事務に関する文書では平成13年から旧姓の使用を認めてきましたが、判決や公判の調書など国民の権利や義務に関わる文書については、「作成者の権限を明確にする必要がある」などとして、裁判官や書記官などに対して戸籍名の使用しか認めていませんでした。

 しかし、最近の社会情勢を踏まえて検討を進めた結果、運用を改める必要があるとして、ことし9月1日以降、希望する裁判官や書記官などに対して旧姓の使用を認めることを決めました。」(上掲記事)

 女性活躍推進法の影響でしょうね。
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相続法制の見直し要綱案のたたき台

2017-06-28 16:56:19 | 民法改正
法制審議会民法(相続関係)部会第22回会議(平成29年6月20日)開催
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900325.html

 「要綱案のたたき台」が公開されている。

 「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」から,パブコメを受けて,随分と様変わりしました。

 再度パブコメが行われるようですね。


第2 遺産分割に関する見直し等
1 配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示の推定規定)
 婚姻期間が20年以上である夫婦の一方が他の一方に対し,その居住の用に供する建物又はその敷地(居住用不動産)の全部又は一部を遺贈又は贈与したとき(第1・2の規定により長期居住権を遺贈又は死因贈与した場合を含む。)は,民法第903条第3項の持戻しの免除の意思表示があったものと推定するものとする。


第3 遺言制度に関する見直し
1 自筆証書遺言の方式緩和
 自筆証書遺言においても,財産の特定に必要な事項については,自書によることを要しないものとする。
2 自筆証書遺言の保管制度の創設
 民法第968条第1項の方式による遺言をした者が法務局に対してその遺言書の原本の保管を委ねることができる制度を創設するものとする。
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特定医療法人制度FAQ

2017-06-27 17:46:09 | 法人制度
特定医療法人制度FAQ by 国税庁
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/iryo/annai/pdf/seido_faq.pdf

 上記は,税務上のQ&Aであるが,登記実務に関するものとして,下記の取扱いがある(なぜかしら記事にしていなかったようです。)。


〇「特定医療法人」又は「社会医療法人」という名称で登記することの可否について

 登記をすることができる(平成21年12月16日付東京法務局民事行政部通知)。

※1 特定医療法人・・・「財団」又は「持分の定めのない社団」の医療法人であって、その事業が医療の普及と向上,社会福祉への貢献,その他公益の増進に著しく寄与し,かつ公的に運営されていることで国税庁長官の承認を受けた医療法人。租税特別措置法第67条に基づき,厚生労働省が告示する。

※2 社会医療法人・・・医療法人のうち、医療法第42条の2第1項各号に掲げる要件に該当するものとして、政令で定めるところにより都道府県知事の認定を受けたもの。
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社会福祉法人に係る法改正による理事長の変更の登記(その4)

2017-06-27 08:50:13 | 法人制度
6-11 社会福祉法人変更登記申請書(社会福祉法等の一部を改正する法律(平成28年法律第21号)の施行日以後最初に理事長を選定した場合)by 法務局
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html#6-11

cf. 平成29年6月22日付け「社会福祉法人に係る法改正による理事長の変更の登記(その3)」
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法令データ提供システムがリニューアル

2017-06-26 17:59:48 | いろいろ
e-Gov法令検索
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0100/

 リニューアルしました。
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公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートの定時社員総会

2017-06-25 01:05:54 | 法人制度
 昨日(24日)は,公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートの定時社員総会 in 東京。不肖私が議長を務めました。

 大規模一般社団法人の社員総会の運営については,改めてたいへんなことだと感じました。特別決議の定足数の充足の問題もそうですし,特に,1人1議決権の下での,委任状の取扱いは,煩雑を極めます。

 当日出席された皆さん,また総会の運営に携わられた皆さん,本当にお疲れ様でした。
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携帯電話の「8日以内なら解約OK」,8割が説明せず。大手3社を行政指導へ

2017-06-22 20:09:50 | 消費者問題
朝日新聞記事
http://www.asahi.com/articles/ASK6Q4QBQK6QULFA013.html?iref=comtop_8_05

 総務省が行った覆面調査で判明。

 違約金なしで解約することができる場合にも,説明せずに違約金をとっているとは,けしからんを通り越して,悪質である。詐欺では?
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最高裁長官挨拶

2017-06-22 19:51:02 | いろいろ
平成29年度高等裁判所長官,地方裁判所長及び家庭裁判所長会同における最高裁判所長官挨拶
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/290621aisatsu.pdf

「成年後見制度については,これまでの取組により,運営改善の必要性についての認識は共有されてきていますが,制度の利用促進を図る法律が成立,施行され,国民の関心も高まっており,裁判所に期待される役割が大きくなっていることを踏まえると,今後も,議論を深め,更に効果的で合理的な運営につながる取組を進めていかねばなりません。」

「家事調停については,調停それ自体を更に充実させていくべきことはもとより,家事審判や人事訴訟等の関連する諸手続との連携を念頭に置いて手続を進め,全体としての紛争解決機能の強化につながるよう,具体策を追求していくことが必要です。」
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法定相続情報証明制度の利用状況

2017-06-22 19:01:55 | 不動産登記法その他
日経記事(有料会員限定)平成29年6月19日付け
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO17753230W7A610C1TCJ000/

「東京法務局によると制度開始初日に都内で50件弱の利用があり、以後は1日約30件使われているという」(上掲記事)

 人口比(平成29年1月1日現在の東京都の人口は,推計で1364万6764人)からすると,やや少ない感じがしますね。

 まだまだ周知が足りない,でしょうか。
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法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出における添付書面の取扱いについて

2017-06-22 16:47:50 | 不動産登記法その他
 下記の内容の日司発文書が会員向けに発出されている。法務省と調整済みとのことである。


1.被相続人の出生時からの戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書の取扱いについて
 不動産登記規則(平成17年法務省令第18号)第247条第3項第2号に規定する被相続人の出生時からの戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書(以下「戸除籍謄本」という。)は、その規定どおり出生時からのものが添付される必要があるが、相続による権利の移転の登記等の申請と併せて法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出がされた場合に限り、当該登記申請における審査において当該法定相続情報一覧図の内容を登記官が確認することができることを前提に、必ずしも被相続人の出生時からの戸除籍謄本を必須のものとすることなく、当該登記申請の審査に必要な範囲の戸除籍謄本にて当該申出を取り扱うことができるとして差し支えないものとする。


2.申出書に記載されている申出人の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該申出人が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)の取扱いについて
 不動産登記規則第247条第3項第6号に規定する申出書に記載されている申出人の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該申出人が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)(以下「申出人氏名住所確認書面」という。)は、その規定どおり、謄本が添付される場合は申出人が原本と相違がない旨を記載し、署名又は記名押印をする必要があるが、今後は、相続による権利の移転の登記等の申請と併せて法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出が代理人によってされた場合に限り、当該申出に添付される申出人氏名住所確認書面への原本と相違がない旨の記載及び署名又は記名押印は、当該代理人によるものでも差し支えないものとする。
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社会福祉法人に係る法改正による理事長の変更の登記(その3)

2017-06-22 10:49:56 | 法人制度
 印鑑届の取扱いについては,通達では,次のとおり。

「改正法附則第14条の規定により,定時評議員会の終結によって任期満了に伴い退任した理事のうち,代表権を有する者として登記され,かつ登記所に印鑑を提出していた理事が,後任の理事による理事会の決議により,新たに理事長に選定された場合(提出済みの印鑑を継続して使用する場合)には,印鑑届書の提出を要しない。」(23頁)


 日司連定時総会の際の他会の会長さんとの雑談で聞いた話によると,上記の場合でも「資格が変わるから」という理由で,印鑑届の提出が必要という取扱いをしている地方法務局があるらしい。

 通達をきちんと理解して欲しいですね。

cf. 平成29年6月16日付け「社会福祉法人に係る法改正による理事長の変更の登記(続)」
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