今朝の日経朝刊1面によれば、「東京電力は最近、地方自治体がPFIへの参加を募集する際、個々のプロジェクトに事業資金を融資することを条件とする例が増えてきたことに対応し、融資にも応じられるよう、定款に貸金業を加えた」とのこと。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20040719AT2D1601Z18072004.html
会社の権利能力は定款に定める目的の範囲内であるが、附帯関連する一切の業務をなしうるし、目的外の事業を行ったとしても、取締役の責任問題は生ずるにせよ、その行為自体の違法無効の問題は生じないとされている。
では、どの程度の事業規模であれば、定款の事業目的として追加する必要があるのか?許認可が必要な事業であれば、通常定款変更を行ったうえで監督官庁に許認可申請することになるが、そうでない事業に関しては明確な基準はない。そもそも定款変更(株主総会の特別決議が必要)しなければ試験的実施すら行えないというのでは機動的な経営は不可能であり、会社の実情に応じた「経営判断」が求められる、ということであろう。目的変更を行えば登記が必要となるので、事前に相談を受けるケースは多いが、諸事情をお聞きした上で、要、不要をアドバイスさせていただいている。
東京電力のケースもちょっとした「つなぎ融資」程度であればあえて貸金業登録の必要もないのであるが、「収益事業」として恒常化することになったので、定款変更の上、登録することにしたのであろう。
ちなみに、
改正投資事業有限責任組合法(平成16年4月30日施行)により、ファンドが融資も行なえるようになったが、この場合も貸金業登録が必要とされている。