債権の流動化という言葉も珍しくなくなった昨今であるが、抵当権付債権を信託する場合、不動産登記上抵当権の登記を信託を原因として移転することになる。この場合、固定資産税評価額が登録免許税の課税標準金額となるのであるが、物件所有者が関与しない登記申請であるため、所有者から委任状の交付を受けて固定資産税評価額証明書を取得することは困難である。他所の役所、法務局等では柔軟な対応で処理できているそうだが、京都市はこのようなケースでの法務局からの交付依頼書に対しても頑として応じない態度を固持している。
とすると、どうなるか?
山のような「課税価格の通知」(各区役所から管轄登記所へ全不動産の固定資産税評価額の一覧リストが通知されている。)の台帳の中から目的物件の数字を拾い出す作業が必要となる。京都は「
元学区」といって明治時代の小学校の学区を単位として分類されており、当該物件所在の町が「元○○学区」に属するのかを調べるのがまず第1の作業となる。市の教育委員会、区役所と尋ねても判らず、市の区整推進課に辿りついてやっと判明した。次は、判明した元学区の台帳の中から目的物件の数字を・・・・。
実は、過去に同様の事案で法務局からの交付依頼書を受けて区役所に請求したが拒否されたため、本局と市理財課の協議を促し、結果として証明書の発行を受けたことがあり、「先例」を作ったつもりでいた。よって、今回は当然の構えだったのであるが、「当時の記録が残っていない」という理由でダメ出しを受けた次第である。
今臨時国会に上程されている
信託業法の一部改正案が成立すれば、信託を扱う会社が急増することは間違いなく、そうなると本件のようなケースも増えることは明らか。京都市が頑迷固陋な姿勢を固持すれば、必ずや債権流動化の妨げになるであろう。京都市の柔軟な対応を求めたい。