司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

分与を求める財産の一部につき財産分与についての裁判をしないことは許されない(最高裁判決)

2022-12-27 09:51:12 | 家事事件(成年後見等)
最高裁令和4年12月26日第2小法廷判決
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91644

【判示事項】
 離婚請求に附帯して財産分与の申立てがされた場合において当事者が婚姻中にその双方の協力によって得たものとして分与を求める財産の一部につき財産分与についての裁判をしないことは許されない

「民法は、協議上の離婚に伴う財産分与につき、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができると規定し(768条2項本文)、この場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定めると規定している(同条3項)。そして、これらの規定は、裁判上の離婚について準用されるところ(同法771条)、人事訴訟法32条1項は、裁判所は、申立てにより、離婚の訴えに係る請求を認容する判決において、財産の分与に関する処分についての裁判をしなければならないと規定している。このような民法768条3項及び人事訴訟法32条1項の文言からすれば、これらの規定は、離婚請求に附帯して財産分与の申立てがされた場合には、当事者が婚姻中にその双方の協力によって得たものとして分与を求める財産の全部につき財産分与についての裁判がされることを予定しているものというべきであり、民法、人事訴訟法その他の法令中には、上記財産の一部につき財産分与についての裁判をしないことを許容する規定は存在しない。
 また、離婚に伴う財産分与の制度は、当事者双方が婚姻中に有していた実質上共同の財産を清算分配すること等を目的とするものであり、財産分与については、できる限り速やかな解決が求められるものである(民法768条2項ただし書参照)。そして、人事訴訟法32条1項は、家庭裁判所が審判を行うべき事項とされている財産分与につき、手続の経済と当事者の便宜とを考慮して、離婚請求に附帯して申し立てることを認め、両者を同一の訴訟手続内で審理判断し、同時に解決することができるようにしている。そうすると、当事者が婚姻中にその双方の協力によって得たものとして分与を求める財産の一部につき、裁判所が財産分与についての裁判をしないことは、財産分与の制度や同項の趣旨にも沿わないものというべきである。」

cf. 事案の概要
https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/2022/jiangaiyou_03_1115.pdf
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成年後見制度に家族の不満募る

2022-12-24 10:16:16 | 家事事件(成年後見等)
河北新報
https://news.yahoo.co.jp/articles/2773fe6ca97f18ee2f078f01eeb1cd20ddab719a

 最近,先般のクローズアップ現代をはじめ,マスコミが被後見人の親族の専門職後見人に対する不満等を殊更に大きく取り上げ過ぎている嫌いがある。

 報道は,一方当事者の言い分(事実の全てであるとは限らない。)に依拠しており,他方当事者である専門職後見人の言い分は,取り上げられていない(もっとも,守秘義務の関係から,専門職後見人が個別具体的事件に関して反論することは困難であるが。)。

 記事に取り上げられている事案の専門職後見人も,職責に基づき,個別具体性の観点から適否を判断しているものと思われる。

 マスコミも,そういう視点も取り上げて欲しいものである。

cf. 成年後見関係事件の概況
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/kouken/index.html
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任意後見制度に関する意識調査

2022-12-18 10:20:28 | 家事事件(成年後見等)
任意後見監督人選任に関する御案内及び意識調査への御協力依頼について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00014.html

 昨年に引き続き,「任意後見制度に関する意識調査」が実施されている。

 これは,成年後見制度の利用促進の観点から,実態調査として実施されているものである。

 昨年の実施結果は,こちら。

cf. 成年後見制度の利用促進に関する取組について-令和3年11月以降-
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000938658.pdf
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子の強制的な引渡しと間接強制(最高裁決定)

2022-12-05 21:10:50 | 家事事件(成年後見等)
最高裁令和4年11月30日第3小法廷決定
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91563

【判示事項】
子の引渡しを命ずる審判を債務名義とする間接強制の方法による子の引渡しの強制執行の申立てが権利の濫用に当たるとした原審の判断に違法があるとされた事例

「家庭裁判所の審判により子の引渡しを命ぜられた者は、子の年齢及び発達の程度その他の事情を踏まえ、子の心身に有害な影響を及ぼすことのないように配慮しつつ、合理的に必要と考えられる行為を行って、子の引渡しを実現しなければならないものであり、このことは、子が引き渡されることを望まない場合であっても異ならない。したがって、子の引渡しを命ずる審判がされた場合、当該子が債権者に引き渡されることを拒絶する意思を表明していることは、直ちに当該審判を債務名義とする間接強制決定をすることを妨げる理由となるものではないと解される(最高裁平成30年(許)第13号同31年4月26日第三小法廷決定・裁判集民事261号247頁参照)。」
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子の強制的な引渡しと間接強制

2022-12-03 22:48:39 | 家事事件(成年後見等)
朝日新聞記事
https://news.yahoo.co.jp/articles/532f88ab518cd069588d69811b59d33497838d1a

「2020年施行の改正民事執行法で、それまで明文化されていなかった子の強制的な引き渡しに関する規定が明記され、間接強制のあり方も定められた。法改正後、最高裁が間接強制について判断するのは初めてで、子が拒否しても認められる事例を示した形だ。」(上掲記事)

 最高裁第3小法廷決定が出されているようだ。
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養子縁組届の偽造トラブル

2022-11-17 09:33:13 | 家事事件(成年後見等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOMH1429D0U2A111C2000000/

 相続税の節税目的で利用されているケースが多いといわれているが,養子縁組より養親子関係が創設され,相互に相続権が生ずるという法律効果が発生する。そのため一方当事者にその意思がないにもかかわらず,他方当事者により不正な目的で届出がされるケースもあるようである。届出だけで受理してしまうのではなく,公証人による確認を要する等,手続を厳格化してもよいのではないか。
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家事調停でWEB会議の運用がスタート

2022-10-18 09:55:04 | 家事事件(成年後見等)
神奈川新聞記事
https://www.kanaloco.jp/news/social/article-943698.html

 先行実施されていた東京,名古屋,大阪及び福岡の各家裁以外に,10月17日,全国の家裁(全部ではない模様。)で,家事調停でWEB会議を活用する運用がスタートしたようだ。
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「公正証書遺言の検索,閲覧,正謄本の請求」

2022-10-17 15:47:56 | 家事事件(成年後見等)
「家庭の法と裁判」2022年10月号(日本加除出版)162頁以下に,「公証家事実務Q&A第18回「公正証書遺言の検索,閲覧,正謄本の請求」」が掲載されている。

 要旨は,

・ 令和4年7月1日から,日公連では「遺言情報管理システム」の運用が開始され,各公証役場の公証人が日公連本部に遺言公正証書の有無を照会することなく,各公証役場で検索することが可能となっている。

・ 成年後見人は,成年被後見人の死後,当該成年被後見人の遺言の検索について法律上の利害関係があるということはできない。

・ 相続財産管理人は,その任務を遂行するために,遺言を検索,閲覧,正謄本請求等をして受遺者等を探すことができると考えられる。

・ 受遺者は,何らかの方法で受遺者であることを証明できるのであれば,利害関係者として遺言公正証書の検索が可能である。

とあり,ここまでは納得である。ところが,

「遺言執行者は,適切に遺言の執行をするためには,遺言者が遺言執行者を指定した当該遺言以外に遺言を残していないかについて,その存否を確認する必要があるということができます。したがって,遺言執行者は遺言検索について法律上の利害関係があるということができます」(163~164頁)

 ええっ! 

 遺言執行者は,他の遺言の存在が明らかになっていない限り,自らを遺言執行者に指定した遺言の内容を粛々と執行するのみであるはずであり,他の遺言の存否について調査する義務まであるとは考えられない。

 他の遺言の存在が濃厚である場合に,当該他の遺言の存否について確認せずにひたすら執行に突き進むべきとは考えるべきでないし,遺言検索について法律上の利害関係があるというのであれば,もっともであり,「確認する必要がある場合があり得る」とすべきではなかったか。
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民事執行法197条1項2号に該当する事由があるとしてされた財産開示手続の実施決定に対する執行抗告において請求債権の不存在又は消滅を執行抗告の理由とすることの許否(最高裁決定)

2022-10-11 23:49:11 | 家事事件(成年後見等)
最高裁令和4年10月6日第1小法廷決定
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91456

【判示事項】
民事執行法197条1項2号に該当する事由があるとしてされた財産開示手続の実施決定に対する執行抗告において請求債権の不存在又は消滅を執行抗告の理由とすることの許否

「法には、実体上の事由に基づいて強制執行の不許を求めるための手続として、請求異議の訴えが設けられているところ、請求債権の存否は請求異議の訴えによって判断されるべきものであって、執行裁判所が強制執行の手続においてその存否を考慮することは予定されておらず、このことは、強制執行の準備として行われる財産開示手続においても異ならないというべきである。そのため、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者から法197条1項2号に該当する事由があるとして財産開示手続の実施を求める申立てがあった場合には、執行裁判所は、請求債権の存否について考慮することなく、これが存するものとして当該事由の有無を判断すべきである。そして、債務者は、請求異議の訴え又は請求異議の訴えに係る執行停止の裁判の手続において請求債権の不存在又は消滅を主張し、法39条1項1号、7号等に掲げる文書を執行裁判所に提出することにより、財産開示手続の停止又は取消しを求めることができるのであり(法203条において準用する法39条1項及び40条1項)、法203条が法35条を準用していないことは、上記事由があるとしてされた財産開示手続の実施決定に対する執行抗告において、債務者が請求債権の不存在又は消滅を主張することができる根拠となるものではない。」

民事執行法
 (実施決定)
第197条 執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当するときは、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者の申立てにより、債務者について、財産開示手続を実施する旨の決定をしなければならない。ただし、当該執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。
 一 強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立ての日より六月以上前に終了したものを除く。)において、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得ることができなかつたとき。
 二 知れている財産に対する強制執行を実施しても、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得られないことの疎明があつたとき。
2 執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当するときは、債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者の申立てにより、当該債務者について、財産開示手続を実施する旨の決定をしなければならない。
 一 強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立ての日より六月以上前に終了したものを除く。)において、申立人が当該先取特権の被担保債権の完全な弁済を得ることができなかつたとき。
 二 知れている財産に対する担保権の実行を実施しても、申立人が前号の被担保債権の完全な弁済を得られないことの疎明があつたとき。
3 前二項の規定にかかわらず、債務者(債務者に法定代理人がある場合にあつては当該法定代理人、債務者が法人である場合にあつてはその代表者。第一号において同じ。)が前二項の申立ての日前三年以内に財産開示期日(財産を開示すべき期日をいう。以下同じ。)においてその財産について陳述をしたものであるときは、財産開示手続を実施する旨の決定をすることができない。ただし、次の各号に掲げる事由のいずれかがある場合は、この限りでない。
 一 債務者が当該財産開示期日において一部の財産を開示しなかつたとき。
 二 債務者が当該財産開示期日の後に新たに財産を取得したとき。
 三 当該財産開示期日の後に債務者と使用者との雇用関係が終了したとき。
4 第一項又は第二項の決定がされたときは、当該決定(同項の決定にあつては、当該決定及び同項の文書の写し)を債務者に送達しなければならない。
5 第一項又は第二項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
6 第一項又は第二項の決定は、確定しなければその効力を生じない。
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「逐条解説 家事事件手続法〔第2版〕」

2022-09-21 11:04:55 | 家事事件(成年後見等)
金子修編著「逐条解説 家事事件手続法〔第2版〕」(商事法務)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=18793217

 立案担当者による逐条解説の改訂版。必携であるが,ややお高め。
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離婚理由1位は,男女とも「生活の不一致」

2022-08-16 15:38:33 | 家事事件(成年後見等)
日刊ゲンダイ記事
https://news.nifty.com/article/item/neta/12136-1809824/

 司法統計(夫婦関係調整調停申立事件の申立理由)としては,「性格の不一致」であるが,

「『性格の不一致』を言い換えると、『生活の不一致』です・・・・・「あれっ?」から始まった生活の不一致が不協和音となり、嫌悪感に。それで相手のことが気持ち悪くなったら、そろそろ離婚秒読み。もう一段階悪化して生理的にダメになったらアウトだ。」(上掲記事)

というわけである。
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3組に1組の夫婦が離婚している?

2022-08-09 12:05:47 | 家事事件(成年後見等)
 2019年度の厚生労働省の調査によると,同年の離婚件数は約20万9000件に上り,婚姻件数が約59万9000件であることから,離婚率が35%で,3組に1組の夫婦が離婚しているかのように言われることがある。

cf. 結婚と家族をめぐる基礎データ by 内閣府男女共同参画局
https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/Marriage-Family/5th/pdf/1.pdf

 しかし,これは,数字のマジックである。本来は,「婚姻中の夫婦の数」を基に計算されるべきである。

 ところが,この「婚姻中の夫婦の数」の統計が出てこない。同じく厚生労働省の調査による「世帯数と世帯人員の状況」によると,

「夫婦のみの世帯」+「夫婦と未婚の子のみの世帯」+「三世代世帯」=2998万4000世帯

であり,「婚姻中の夫婦の数」は,概ね3000万であるようであるが。

cf. 国民生活基礎調査の概況 by 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/02.pdf

 とすると,単純計算で,3000万の夫婦のうち,1年間に離婚するのが20万組であるとすれば,離婚率は,0.67%に過ぎない。

 存外に少ないようだ。
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離婚を考えている父母に向けた養育費や面会交流に関する 情報提供のためのモデル事業

2022-08-06 19:43:13 | 家事事件(成年後見等)
離婚を考えている父母に向けた養育費や面会交流に関する情報提供のためのモデル事業へのご協力のお願い by 日本加除出版
https://www.kajo.co.jp/f/youikuhi_model_202207

「近時、離婚前後における子育ての在り方、養育費の不払い問題、ひとり親への支援などに関する問題への解決ニーズは、国内・離婚当事者においても高まっております。
 そこで、この度、弊社では、法務省より「養育費・面会交流の取決め等を促すための自治体における情報提供の在り方及び離婚後の子育てについての情報提供の在り方に関する調査研究業務」を受託いたしました。
 本事業では、自治体にて施策の実施にご協力いただき、モデル事業等を試行することを内容としておりますことから、ここに、これらの問題について高く興味・関心のある地方自治体の皆様を広く募集する次第です。」

・募集期間:令和4年7月11日(月)から令和4年8月10日(水)17時まで
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調停制度発足100周年の記念切手が発行

2022-08-05 19:01:40 | 家事事件(成年後見等)
郵便局
https://www.post.japanpost.jp/kitte/collection/archive/2022/1003_01/

 令和4年10月3日に発行されるそうである。
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家事事件等のIT化,中間試案の取りまとめ

2022-08-05 18:31:54 | 家事事件(成年後見等)
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA04C8K0U2A800C2000000/

「法務省は中間試案について8月下旬に意見募集(パブリックコメント)を始め、2023年の通常国会に関連法案の提出をめざす。」(上掲記事)

cf. 法制審議会-民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会
https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00001
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