「家庭の法と裁判 Vol.27」(日本加除出版)52頁以下に,東京高決令和2年8月23日判時2442号61頁が掲載されている。
「離婚後の非親権者父である抗告人が,親権者母である相手方に対し,子である利害関係参加人らとの面会交流を認める旨の和解離婚時の和解条項にもかかわらず面会交流が実現していないのは,利害関係参加人らが相手方から一方的な情報のみを聞かされ続けて片親疎外の状態に陥ったからであるなどと主張し,利害関係参加人らとの直接交流を求めた事案において,原審が,利害関係参加人らの手続代理人も選任して意向調査等を行った上,相応の年齢に達している利害関係参加人らの拒否の意思が強固であることなどから,上記和解条項を変更し,手紙の送付等の間接交流のみを認める審判をしたのに対し,抗告審は,原審を基本的に維持しつつ,相手方から抗告人に対して利害関係参加人らの電子メールアドレスやLINEのIDを通知すべきことなどを認め,その限度で原審を変更した事例」(上掲)である。
「なお、未成年者ら手続代理人において、未成年者らに本決定の内容を告知・説明する際、裁判所は、抗告人と未成年者らとの直接交流が不要と判断したわけではなく、いずれ父親である抗告人との直接交流が再開されることが望ましいと期待したものである旨適切に伝えられるべきであることをあえて付言する。」(後掲GAL)
cf. GAL~ gender and law
http://genderlaw.jp/hanr/oyako/oyako3.html
間接交流であるがゆえに電子メールアドレスやLINEのIDの通知を安易に命じたものではなく,事案に応じた総合的な判断であるようだ。