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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

登録免許税法施行規則第12条の証明書

2013-04-10 18:22:16 | 会社法(改正商法等)
 吸収合併等の登記において,資本金の額が増加するときは,登録免許税の計算に関する証明書を添付しなければならない(登録免許税法施行規則第12条)ものとされている。

 これは,いわゆる「合併対価の柔軟化」に係る改正により,必要とされるようになったものである。

 吸収合併の登記における登録免許税は,増加した資本金の額に1000分の1.5の税率を乗じて計算した額であり,財務省令で定めるものを超える資本金の額に対応する部分については,1000分の7を乗じて計算した額であるとされている(登録免許税法別表第1第24号(一)へ,登録免許税法施行規則第12条第2項)。

 すなわち,合併対価に存続会社の「新株以外の財産(自己株式を含む。)」が存するときは,登録免許税法施行規則第12条第2項で定める「消滅会社の純資産の額」及び「新株以外の財産の額」を証明する必要があり,上記の証明書が必要となるわけである。

 しかし,合併対価に「新株以外の財産」が存しないときは,登録免許税額の算定において,「消滅会社の純資産の額」さえも意味を持たない。

 したがって,このような場合には,「登録免許税の計算に関する証明書」は,添付することを要しないのである。

 ところが,合併対価の柔軟化に伴う「登録免許税法施行規則及び租税特別措置阻止法施行規則の一部を改正する省令の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(通達)」(平成19年4月25日付法務省民商第971号)において,その辺りが明確でないため,吸収合併において資本金の額が増加する場合には,一律,上記証明書を添付しなければならないとの取扱いがされてきた嫌いがある。

 「登録免許税の計算に関する証明書」は何を証するために必要であるのか,を今一度考えてみれば,資本金の額が増加する場合であっても,合併対価に「新株以外の財産」が存しないときは不要である,との結論を導くことは容易であるはずである。

 「通達が例外を認めていないから」では,添付を強制する理由にならない。「当たり前のことを,通達に書くわけがない」からである。
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5 コメント

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Unknown (草薙)
2013-04-11 09:22:54
いつも有益な情報をありがとうございます。
毎日、勉強させていただいております。

私も、何か所かの法務局に、本文と同様の趣旨を説明して交渉しましたが、「例外規定がない以上、必ず、登録免許税の計算に関する証明書を添付しなければならない」。という回答ばかりでした。

実質的に意味のない書類を作成するために、消滅会社の純資産の額を算定するのは、概算であっても、申請人に無用な負担をかけることになりますので、取扱いの改善を望みます。
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御回答 (内藤卓)
2013-04-11 14:01:40
私も「いらん書類やな~」と思いつつ,不作為だったことを反省しているところです。対応したいと思います。
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同業者です。 (富山県民です)
2016-01-21 02:44:08
いままさに合併の手続きの準備中です。完全親子会社間の合併なので資本金の増加はないので、これを添付するする必要はないと思うのです。
しかし、管轄法務局にきくと、よくわからないものに当たると例外ないのでつけてくださいと言われそうでヤブヘビとなりそうです。
実務的には付けなくても補正にならないのでしょうか。一般的に同業者がどのように手続きしているかを知りたいです。
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御回答 (内藤卓)
2016-01-21 09:43:47
 規則第12条第5項書面は,登録免許税額の算定根拠(新株以外の交付財産の有無等)を明らかにするために添付するものですから,資本金の額が増加しない場合には,添付する必要はありません。法第80条第4号の証明書とセットですね。

 なお,資本金の額が増加する場合に,合併契約書の記載から「新株以外の交付財産」が存しない(新株のみを交付する。)ことが明らかであるときも,規則第12条第5項書面は添付を要しないと考えられますが,こちらは「付けてください」という運用であるようです。
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Unknown (富山県民です)
2016-01-21 17:54:29
内藤先生ありがとうございました。
ご丁寧なお返事をいただき、大変恐縮しております。
自分が混乱した原因のひとつに法務省のHPに
おいてある吸収合併の雛形があります。
資本金の額の計上に関する証明書の下に括弧書きで
(資本金が増えない場合は不要)と書いてあります。
他方、当該書面はその括弧書きがないという理由で
必要なのかどうかあやふやでした。
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