タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

吸引分娩のガイドライン

2019-04-15 21:08:43 | 産科
写真は、篠山市今田町の朔太郎(さくたろう)くん、3月12日生まれ。
「周りの人や物に優しく接することができる子に育ってください。
みなさん優しくて、これから会えなくなると思うと寂しいです。」

3人目なのですが、次に妊娠されたり、あるいは子宮頸がん検診を毎年受けてみたり、
美容皮膚科でお肌のお手入れをされると、また末長くお付き合いできますよ。

それからみなさんにはご心配をおかけしましたが、
いくつか思い入れの有る投稿を、フェイスブックやグーグルマップにアップしていただけて嬉しいですよ。
産婦人科は若い女性相手なので、いつ突然、恨みを買うか分かりませんからね。

今日も夜中に2人赤ちゃんが生まれました。
2人とも赤ちゃんの首にへその緒が巻きついていた経産婦さんだったのですが、
1人の赤ちゃんは、へその緒に引っ張られて、頭が逆回転して生まれたのです。
正確に言うと、放っておけば生まれなかったのです。
胎児の心拍数も下がってきたので、お母さんに酸素を吸ってもらい、
点滴に少量の陣痛促進剤を混ぜて、そして吸引分娩で産んでもらったのですよ。

タマル産では吸引分娩は滅多に無くて、おそらく30人に1人くらいでしょうか。
率にして3%ほどでしょう。
それで他の施設を調べてみたら、今年の「産科医療補償制度の再発防止に関する報告書」に載っていて、
アンケートに答えた施設の817人のお産のうち、吸引分娩は144件だったようです。
率にして18%も有るのですね。
世間では陣痛促進剤の使用も多いですし、無痛分娩も流行っているしで、
どうしても吸引分娩が増えるのですね。

吸引分娩が増えると、それに比例して赤ちゃんに脳性マヒが生じる危険性も高くなります。
だから最近の産婦人科ガイドラインでは、吸引の回数は5回以内とされています。
1回の陣痛は3分周期ほどですから、5回きばると15分までしかダメだということになります。
それでも生まれなければ、すぐに帝王切開しないといけません。
帝王切開して赤ちゃんが生まれるまで、さらに30分以内が目標とされています。

タマル産では、このガイドラインだけはしっかりと守っていますよ。
それでも世間では、年度によって差は有るのですが、65.1%〜83.3%くらいしか守られていないようで、
6回以上吸引分娩をすることも有るようです。
分からなくはないのです。
あともうちょっとで生まれるのに、という時に、帝王切開するのにはさらに30分もかかるから、
もう一度だけ吸引をかけてみたい、という思いも浮かぶものなのですよ。

ですが、将来に赤ちゃんが脳性マヒになった場合、帝王切開をしてなったならまだ許されますが、
吸引分娩をして起こったならば許されない時代なのです。
それでご両親などの恨みを買うことになってしまうのですよね。

それで世の中、帝王切開ばかりのお産になってきているのです。
産婦人科医は、裁判にならないことだけを目標しているのですからね。
そういう意味では、私のやり方は古いのかもしれませんね。
なるべくみなさんに、満足していただけるお産をしてもらいたい、と願っていることがです。
そんなことより早く帝王切開してくれ、というのがみなさんの本音かもしれないからです。
それと、産科医療補償制度の審判は、ほとんどが医療者に厳しい判断をしているからです。
はっきる言って、ベストを尽くしていると考えている産婦人科医に対して、
ほぼ100%、ケチを付けられてしまうのですよね。

でもね、もう一度よく考えてみていただくと、
せっかく今は世界一、日本が母児ともに安全なお産と言われているのに、
帝王切開ばかりしていると、母体死亡率だって、ずっと上昇するのですからね。
それは帝王切開の方が出血も多くなるので、お母さんにリスクが上がるからです。

ところで先日生まれた赤ちゃんのお母さんは、産後に弛緩出血が起こり、
輸血が必要になり、救急搬送したのです。
それで数日して帰院され、また赤ちゃんと再会されたのですが、
とても喜んでくださり、こちらもホッとしましたよ。
タマル産では輸血するなんて、500人に1人くらいと他院に比べてすごく少ないのですが、
それでもゼロにはならないのですからね。

後にならないと、恨みを買うのか、喜んでもらえるのか、想像もつかないのですよ。

***
愛は公式性を帯びた無形の秩序であり、
平和であり、
幸福のかなめです。
世界人類のための共同の財産であり、
神様の意思と力の象徴です。

   レバレンド・ムーン

不妊症のもしもしダイヤル

2019-04-12 21:40:36 | 不妊症
写真は、丹波市青垣町の葉月(はづき)ちゃん、3月12日生まれ。
「明るく、優しく、穏やかな人になってください。
無事に生まれてきてくれて本当に良かったと安心しました。感謝しています。」

3人目でも、やはり心配になりますよね。
入院中はお料理の写真を撮られたりしていましたよ。
フェイスブックも、いいねをいっぱいもらいました。
みなさんもよければ、フェイスブックに写真を投稿したりしてくださいね。
もしくはいいね、だけでもね。
https://www.facebook.com/tamarclinic

それとグーグルマップにも、お産の感想など投稿してくださると嬉しいですよ。
いたづらや嫌がらせの投稿も多いので、励ましの投稿ならスタッフもやる気が出るのですけれどね。
Googleマップ

直接人と話せない人や、メールの方が得意な人も多いでしょう?
それで産婦人科や泌尿器科には行きにくいと感じておられる人も多いのではないですか。
そういう方のために、不妊症や不育症の相談の連絡先をお教えしましょう。

不妊の悩みから治療の方法や内容について、また、習慣性流産や不育症等、
妊娠に関する疑問や不安でもお気軽に電話をしてもよいようです。
もちろん相談は無料で秘密は厳守されますよ。

電話での相談は、毎月第1、第3土曜日の10時から16時です。
祝日と年末年始はお休みです。
不妊症看護認定看護師資格取得者の助産師さんが対応されているようです。
電話番号は、078-360-1388ですよ。

面接相談は完全予約で産婦人科医師や助産師が対応されるようです。
予約専用番号は、078-362-3250です。
面接場所は、兵庫県立男女共同参画センターと、兵庫医科大学病院(西宮)の2箇所です。

ついでに男性不妊専門相談も有ります。
それは不妊症の原因の約半数近くが男性側に有るからです。
クリニックに行った方がいいのかな、と思いながらも相談する場所が無く、
悩んでいる方には良いかもしれません。

男性不妊相談も電話と面接が有って、
電話相談は、078-360-1388です。
第1、第3土曜日の10時から16時で助産師が対応します。
なんだ、女性の相談と同じ時間、同じ電話番号ですよ。

面接相談は、今度は泌尿器科医師が第1水曜日の15時から17時で、
助産師が第2水曜日の14時から17時です。
場所は神戸市内ですが、ご予約の時に教えてもらえるようです。
こちらの電話番号は、078-362-3250です。
女性の面接とやはり同じ番号ですね。
でも、いたづら電話はいけませんよ。

初めから産婦人科を受診されると良いとは思うのですが、
実際はネットで調べる方がほとんどでしょうね。
最近は親に聞くより、まずはネットで調べるというのが一般的な行動のようですからね。
まあ、いろいろと選択肢が有るのは良いことでしょう。

それでは今日の、みことばです。
***
愛する相対が現れれば顔に花が咲きます。
何がそうさせるのでしょうか。
愛の力のみがそのようにすることができます。
銃ではありません。
脅しではありません。
その愛はどのような愛でしょうか。
宇宙の中心となる愛、宇宙の源泉となる真(まこと)の愛です。

   レバレンド・ムーン


若い女性の月経不順

2019-04-10 21:10:02 | 婦人科
写真は、篠山市立町の日和(ひより)ちゃん、3月3日生まれ。
「お日様のようにあたたかく、周りを和ませられるような人になってください。
お産はすごく痛かったけど、無事に生まれて良かったです。」

初めてのお産は、母乳のことやら、いろいろと不安が大きかったようですね。
ですがなんとかなるものですよ。
あまり肩肘張らずに、気持ちを楽にしてみるのも良いかもしれませんよ。

今週はお産が連日続いていますよ。
産婦人科って、暇だったり忙しかったり、そんなことの繰り返しなのです。

それで今日の話題は、「女性の健康包括的支援」の第1章です。
それは先日、日本産科婦人科学会から送られてきたガイドブックのことなのです。
厚生労働省の支援でされた仕事のようです。

それでそのガイドブックの第1章が、「原発性または続発性無月経、月経不順の適切な対応と診察上の留意点」となっています。
そう言えば最近は、婦人科の話題、とくに低年齢女性の月経の話をあまりしていませんでした。

原発性とは、初めから月経が起こらないという意味で、
続発性とは、初めは有ったのだけれど、途中から無くなったり、不規則になったりというものです。

途中から無くなったのなら、女性ホルモンの分泌が悪くなったと考えられます。
その原因は体重を落としたり、精神科でもらう薬の影響であったり、
PCOという病気であったりします。
赤ちゃんを1人産んだ後だと、1回目のお産の出血量が関係することも有りますよ。

それに対して初めから無い場合は、染色体異常や、先天性の副腎の病気の可能性も有ります。
あるいは子宮や膣の発育異常も有ります。
膣の入り口が閉じていることも有りますしね。

まずは既往歴や家族歴がヒントになるでしょう。
第2次性徴が有るかどうかは重要ですが、超音波検査に加えてMRI検査も勧められました。
そしてホルモンの検査ですが、ワンポイントで測るか、
負荷試験でより詳しく調べるかですね。
タマル産では負荷試験をよく外来で1時間ほどかけて検査していますよ。
ただし若い子なら、ワンポイントで代用できるかもしれません。

あとは染色体異常を疑うなら血液検査になりますが、結果は1ヶ月近くかかります。
検査を希望すればですが、これに関しては分かると逆に悩むことも有るので、
検査を受けること自体に覚悟が要りますよ。

それでいったいどんな場合に、クリニックを受診すればよいのか、ということが知りたいでしょう?
それは、乳房発育後3年以内に初経が無い、
陰毛発育後14歳になっても初経が無い、
15歳になっても初経が無い、
21日未満の短い周期で月経がくる、
46日以上の長い周期で月経がくる、
1回ごとの周期が90日以上、
月経持続が8日以上、
1〜2時間でパット交換が必要なくらい多い月経である、
出血異常の家族歴が有る、となっています。

覚えられないでしょう?
だから私はよく、3ヶ月開けば治療の対象だよ、と話しています。
もちろん心配ならもっと早くに介入しても良いのですよ。

一番初めにするのは、ゲスターゲンテストで、よくタマル産でもしています。
黄体ホルモン(プロゲステロン)を飲んで月経が来るかどうかというテストです。
卵胞ホルモン(エストロゲン)が出ていれば月経が来るし、
それさえも出ていないと月経が来ない第2度の強い無月経ということになるからです。

治療はね、エストロゲンがあまり出ていなければエストロゲンとプロゲステロンを、
エストロゲンがある程度出ていれば、プロゲステロンのみを内服すると月経が来るのです。
これを結婚するくらいまで続ければ良いのです。
もちろん軽い場合は、漢方薬を数ヶ月飲むだけで回復することも有るのですが、
たいていの場合は長期にホルモン剤の内服が要るのです。
とくに本人のお母さんにも説明しておかなくてはなりません。

ここのところが今日お話しした治療のポイントですからね。
そう、お母さんに理解してもらう、というところがです。

*****
それでは今日のみことばです。

愛の色はどのような色だと思いますか。
夜は黒く、昼は白く、夕方になると黄色いと思いますか。
愛の色とはどのような色だと思いますか。
愛の中心色には平和と統一、人類の平等思想をなすことのできる力があります。
ですから愛の至聖所にむやみに入れば、
火で焼かれて死んでしまいます。

   レバレンド・ムーン





タマル産の普通のお産

2019-04-08 21:03:54 | 産科
写真は、神戸市北区の幸李(ゆきり)くん、3月2日生まれ。
「兄弟仲良く、いつも笑顔で健康に育ってください。
上の2人も、何回も泊めてもらって、とても助かりました。」

3人目なのです。写真のお姉ちゃんはいつも健診に付いてきていましたよ。
赤ちゃんが生まれてからも、お泊まりしていたのですね。
そうです、タマル産では産後もダブルベッドなので、上の子やご主人も一緒に泊まれるのです。
お婆ちゃんに預けられないなどの事情が有れば、とても助かりますよね。
初めてのお産では、よくご主人も泊まって、赤ちゃんのお世話を学ばれますよ。

昨日、今日と赤ちゃんが4人も生まれました。
みんな安産で良かったです。
昼休みに、ちょっと篠山大書院まで花見に行ってきたのですが、バッタリうちの職員さんにも会いましたよ。
今日は始業式のお母さんも多かったようで、花見にはちょうど良かったですね。

そう、今は春なので、ちょっとタマル産のお産をご紹介しておきましょう。
タマル産では、LDRという部屋で赤ちゃんを産みます。
LDRというのは、Labour(陣痛室)、Delivery(分娩室)、Recovery(回復室)が一緒になった部屋のことです。
一般的にはそれぞれ分かれていると思うのですよ。
ですがこれらを1つにまとめると、家族でずっと一緒に居られるのです。
その中でも、ご主人と過ごすお母さんが多いですね。

初めてのお産は、15時間ほどかかるのですよ。
だからたいていは1泊2日がかりです。
この間、ご主人にも一緒に泊まってもらうと、それだけで心強いのです。
安心できるとお産もずっと楽に進みますからね。

タマル産では帝王切開率がすごく低いというのが売りの1つなのですが、
もう1つ、会陰切開率もすごく低いのですよ。
先日は胎児がしんどそうだったので、2人のお母さんに会陰切開をしましたが、
それはむしろ例外的で、おそらく数%のお母さんにしかしないのです。
吸引分娩の時にもあまりしませんからね。
自然に起こった裂傷の方が治りも早いし、繊維の方向に切れるので痛みも少ないのです。

そもそもたいていは分娩台でのお産ではなく、ウォーターベッドでのお産なので、
両足を広げないから、会陰裂傷も起こりにくいのです。
両足を分娩台で広げると、会陰がつっぱって、裂傷が起こりやすいです。
だから他院のように会陰切開が必要になるのです。

もう1つ、病院ではドクターが来られたら、さっさと会陰切開して産ませるでしょう?
だって病棟の仕事が忙しくて、お産に構っていられませんからね。
それも会陰切開が多い理由かもしれませんよ。
タマル産では助産師ではなく、医師が助産もするので、時間をかけて会陰が伸びるのを待つのです。
ただし胎児がしんどそうな時は、たとえ会陰が裂けてでも、早く産ませてあげることは有ります。

産後はしばらくクイーンサイズのウォーターベッドで、夫婦で休んでいただけます。
そしてその後は個室に移動するのですが、こちらは普通の固めのダブルベッドです。
希望されれば、退院までずっと一緒に居ることだってできてしまうのですね。
まあ、これがタマル産の良いところだと自負していますよ。

今日の夜の回診でも、デザートの写真を撮っておきましたが、
産後に、今まで我慢していた甘いドルチェも少しくらい良いではないですか。


春ですから、もう1つ新しいコーナーを始めてみましょう。
私の尊敬してやまない、レバレンド・ムーンの御言葉を載せてみましょう。

愛は、もてばもつほどうれしく、一度もてばうれしくて手放したくありません。
人間の努力では生命の根源を支配することはできません。
私の生命の動機や過程、生命の終末までも動かすことができるのは、
真(まこと)の愛しかありません。
人間は愛で生まれたので、愛の道を行き、
死ぬ時も愛のために死ななければなりません。

出産具

2019-04-05 21:01:20 | 産科
これは何だと思われますか?
とても古い木枠の箱で、100年ほど前のものだそうです。
今ではおもちゃ箱のようにして使われていて、中に小さな雛人形が入れてありました。
うちの初孫の初節句に、向うの曽おばあさんから頂いたのです。
ですが本来はその中には、曽おばあさんが生まれる時、
すなわち曽々おばあさんの出産時に用意されたお産セットが入っていたのですよ。



さて、どんなものが入っていたのでしょう?
丁字帯や腹帯などのお母さん用品、
それに赤ちゃんのへその緒の処置用品などの赤ちゃん用品で、今とそう変わりません。
ガーゼ200枚はお産で使うのでしょうか、それとも生まれた赤ちゃんのお臍やお風呂で使うのかな。
松印とあるので、竹や梅セットなんていうのも有ったのかもしれませんね。
今と違うのは、ディスポ製品でなく布製品だったことくらいでしょう。

タマル産では、よく似たセットをお産の時に用意していますよ。
だから入院時の持ち物と言えば、お母さんの身の回りの品や、退院時の赤ちゃんの服、
消毒綿などの消耗品くらいでしょうね。
詳しくは中期の母親ソフロロジー教室で助産師さんから指導を受けてくださいね。

タマル産ではたいていのお母さんにはLDRで出産していただくので、
産んだ方ならご存知でしょうが、自宅分娩のようなスタイルになっています。
病院のように物々しい物品はないのですよ。
お産で用意するものは、この「出産具」のようなものと、救急カート1台です。
あとは点滴台と胎児の心音を連続で聞く器械くらいなものです。

もっと言えば、膿盆(のうぼん)という鉢のようなものに入れたコッヘル3本とハサミ、
臍帯を止めるクリップ、それにガーゼが5枚と、口で羊水を吸うための吸引チューブだけです。
あとは必要に応じて救急カートから出す仕組みにしました。
こんなスタイルは世界広しと言えど、タマル産くらいなのです。

うちの3人目、4人目は自宅出産したので、
その時に学習した方法で、みなさんにも応用しているわけです。
だからまったくのオリジナルというわけですね。
それでみなさんにも、ちょっと自宅分娩を味わっていただいているわけです。
それとも病院病院した環境で産みたいですか?
ミッシェル・オダン先生が言われた、「野生の部屋」をイメージしているのですよ。


そうそう、この出産具の箱には、いろいろと格言も書かれていましたよ。

母の愛、子供と共に大きくなれ。