タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

丹波市でも不育症助成が始まります

2019-04-03 21:11:45 | 不妊症
ここ最近、夜食の撮影に凝っていますよ。
夜の回診の時に病室にまだ残っていたデザートの写真を撮らせていただきました。
だからちょっとアイスが溶けていて残念ですね。
ゼリーだって、デコレート次第ではこんなにかわいくなるのですね。
その初めてのお母さんも、食事の写真を残しておられるそうですよ。

昨晩は2人赤ちゃんが生まれました。
夜中に早産の赤ちゃんと、丸1日以上かかって今朝生まれた赤ちゃんです。
2人ともリスクの有るお産でしたが、無事に生まれてよかったです。

さて、今日の話題です。
先日、「不育症管理に関する提言2019」という雑誌が送られてきました。
タマル産では先月も不育症の治療後に、36週で早産されたお母さんが居られました。
外来では今、2人の方を不育症を疑って検査しています。
とっても多い疾患なのですよね。

この提言を解説する前に、先日の違う研究のお話もしておかねばなりません。
体外受精の時には、採卵した卵と精子を受精させてできた受精卵が分裂していくのですが、
この細胞塊の中の1つの細胞だけを取り出して、染色体を検査するという研究が有ったようです。
普通は遺伝性の疾患が有る時以外は認められていない検査だったのですが、
厚生省主体で許可されたようですよ。

対象は35歳から42歳までの女性からの卵だったのですが、
顕微鏡での見かけは正常だったのですが、
なんとその中の70%以上の受精卵に染色体の異常が有ったようです。
ということは受精卵を子宮に返しても70%以上は育たなかった、ということなのです。
実際、今までも体外受精の成績は30%行くか行かないかだと言われていましたからね。
そういう意味では、毎月赤ちゃんを妊娠できるはずはないのですよね。
染色体に異常があれば、妊娠しないか、しても初期に流産するかですから。

それで不育症の話に話題を戻せば、2回続けて流産しても驚くべきことではないし、
高齢妊娠になればなるほど、流産を繰り返すのは当たり前とも言えますからね。

今までの提言では、ある程度検査項目が確立してきており、
治療もまたアスピリンの内服やヘパリンの注射といったものが一般的となっています。
さして目新しいことは無いのですが、
1つだけ注目すべきは、不育症女性やそのパートナーの生活習慣の見直し、というものが入っていました。
これまではあまりうるさく言われなかったものですが、
喫煙や過度のアルコールやカフェインの接種、肥満、運動不足の回避というものです。
タマル産でも流産する人の多くは、喫煙しているか、ご主人が喫煙者ですよ。

それともう1つ、テンダーラビングケアというものが取り上げられました。
これはちょっと医療者にとっては耳の痛いことなのですが、
患者さんにだた今度はだいじょうぶ、というだけではダメで、
患者さんの持つ不安に耳を傾ける、という態度が重要だということですよ。

ここで1つ、大きなニュースをお伝えして締めくくります。
篠山市を含めて、兵庫県の市町村の多くは、不育症の検査に対して助成制度を開始しています。
ですが丹波市さんはまだ開始していなかったのですよね。
先日私は丹波市に、この助成制度を早く開始するよう提言したのですが、
ようやくこの春から助成制度が開始されるようですよ。
私の助言が効いたようです。
金銭的な援助も、支持的ケアの1つになれば良いですね。

タマル産では、いつ受診されても、不育症の検査も治療もできますからね。