タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

今度は生贄のお話

2015-07-22 20:39:05 | つれづれ
篠山市大沢新の結葉(ゆいは)ちゃん、6月17日生まれ。
「何事に対しても素直で、たくさんの人とつながりを持ってください。
お産は想像以上に痛かったですが、産声を聞いた時は最高に感動しました。
みなさん親切にしていただき、本当に感謝しています。」

お産は確かに、想像以上と言われる方が多いですね。
ですがそれ以上に、達成感を味わうことができて、母となる自信にも「つながり」ますね。
逆にお産がすごく痛かったとか、ネガティヴな思い出ばかりだと、
子育てもうまくいかないかもしれませんよ。
同じ体験でも、活かせるか活かせないかは、その人次第かもしれませんね。

さて、東京ではオリンピックのメーン会場が設計倒れになってしまったとか。
ですがよく似た話を兵庫県でも聞きましたよ。
三木市では産婦人科を開業して、10年働けば5千万円あげましょう、ということで、
引っかかってしまった産婦人科の先生が居られるのでしょう?
みなさんからすれば、そんなにお金をもらってずるい、とか、
開業できなかったのだから、5千万円を返して、さらに利子をつけて返せ、と言っているのでしょう?

私が開業した1999年には、誘致どころか医師会から反対が有りました。
当時の氷上郡には開業している産婦人科の先生が3人居られましたし、
日赤も県立病院も有りましたからね。

その後、産婦人科医が罪も無いのにつかまったりしたものだから、
誰も開業しなくなってしまって、
丹波市では1億円まで補助しましょう、ということに今でもなっています。
億、なんていう話を聞くと、さぞ儲かるのだろう、と思われてしまうのですね。

実はこの話には裏が有って、
5千万円とか、1億円は、その後10年も市民税や固定資産税を納めてもらうことで、
市側は一銭も損をしない計算です。
それどころか初めに助成と見せかけて、市が儲けることができるのですね。
それに対して県立病院や、私立でも兵庫医大などには、毎年、何億という助成をしているのですが、
回収の見込みは有りませんよ。
みなさんが治めている税金で支払われているのですよ。
ですから、個人の産婦人科は市にとっては儲けどころなのです。

先の三木市の話に戻ってみましょう。
その先生はおそらく設計料や地盤調査費用で5千万円を先に使われたのでしょう。
設計料は10%とか20%とかしますから、それくらいかかるのです。
ところが最近では、銀行も医療機関に対しては、どうせ赤字になるので貸し渋りしてしまって、
融資を受けられなかったのでしょう。
困ったのは産婦人科の先生で、借金だけが残ってしまって、ようやく返還されたそうですよ。

これを当たり前だと言う市民の方も多いでしょう。
ですが、これは市の責任でも有ります。
市も計画の妥当性や、銀行からの借り入れに担保すべきだったでしょう。
助成なのだから、途中でうまくいかなくなったから返せ、とはいかがなものでしょうか。
市にも計画の検討違いが有ったのだから責任は有るはずなのに、
責任は産婦人科医の個人だけが負ってしまったという、とてもかわいそうなお話でしたね。

結局、市も市民も損をしなくて良かったと思っているでしょうが、
それは間違いで、もう二度と三木市で開業しようとする先生は居なくなるということを
分かっていませんね。

また愚痴ばかりでゴメンなさい。
ついついオリンピックの話が有ったものだからです。
そちらは無駄になった設計料を、国民に返せとは言わなかったでしょう?
実は自分たちも、同じようなことをやっているんだと、
気付いてほしかっただけなのですよ。

次回は、もうすこし明るい話題にいたしましょう。