![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/8d/6eb460e273d0a41b7a66de39d65cbaba.jpg)
今日はちょっとショッキングなデータから。
最近、デンマークで100万人の赤ちゃんの、
先天性幽門狭窄という病気と薬との因果関係が調査された件です。
外国って、こんな大きな母体数の調査でも、けっこう机上でできるのですね。
誰が何の薬を飲んだかなどが、データとして使用できるのは凄いことです。
これが日本なら、この病気でこの薬は保険適応からはずそうかといった、
適正化という名の医療費削減計画にしか使われないでしょうからね。
最近話題の混合診療というのも、結局保険の範囲を狭めようというだけのことなのですが、
どうして新聞などはこれに賛成して、医師会を悪者にするのでしょうね?
報道機関というのは、いったい誰の味方なのでしょうね。
さて、その大規模調査から、
赤ちゃんは千人に1人か2人くらいの割合で、胃の出口が狭まる病気になります。
先天性とは言いましたが、むしろ1ヶ月、2ヶ月してから徐々に影響が出てきます。
お母さんなら、赤ちゃんがミルクをよく吐くと心配したことが有るでしょうが、
胃の上側の入口は赤ちゃんではまだ緩いので、ミルクを飲んですぐに横になると、
溢乳してしまうのですね。
胃の下側の出口、十二指腸に続く方はけっこう狭くて、ここが細くなると、
ミルクを噴水状に吐いてしまうのです。こんな病気のことを言います。
男の子に多くて、家系的にも多かったり、お兄ちゃんの方が多かったりと特徴が有るのですが、
今回の調査では、マクロライド系の抗生物質を飲んだ赤ちゃんにも多いと分かったのです。
それが生後2週間以内だと、30倍もリスクが上がるそうです。
比較的安全な薬ですから、赤ちゃんにはとくに気道の病気によく投薬されています。
お母さんが妊娠中に飲んだ場合は、とくに妊娠後半の方が赤ちゃんに影響を及ぼします。
また赤ちゃんも生後2週間より後でも、生後4ヶ月まで統計上、有意に影響します。
だいたい妊娠中には、風邪やクラミジアなどの性感染症の時に使う薬です。
ところでタマル産では、普段お産の時に会陰切開をしませんから、
抗生物質を出すことはあまり有りません。少しの傷くらいなら放っておくからです。
どこの病院でも産後は全員抗生物質をもらうところですよ。
赤ちゃんに仕方なくマクロライドなどの薬を出すのは、
赤ちゃんの首にへその緒が捲いていたりする時に、
しんどかったりすると、子宮の中でウンチをして、自分でそれを飲んでしまったりするから、
数日、呼吸が早かったり、浅かったりする時にですね。
これはときどき有ります。仕方有りません。
ですが、これまで比較的安全だとされてきたマクロライド系の抗生物質も使いにくいのですね。
私も再考しなくてはいけません。
もちろん薬というものは、リスクとベネフィットの兼ね合いですが。
フェイスブックはこちらhttps://www.facebook.com/tamarclinic
今日も赤ちゃんが生まれています。