カリン(花梨)香る
わが庭に一本の花梨樹があって、秋には沢山の実をつける(拙ブログ2020.11.8)。果実が固く生食には適さないのでかつてはカリン酒を造ったが、近年は専ら玄関に置いて香りを楽しんでいる。熟した果実の香りは玄関フード室の中を満たし、訪れた誰もがその芳香に気づく。
先日、車保険の更新でK嬢がやってきた。
「よい匂いがしますね、これは何ですか?」
「花梨だよ・・・」
「ああ、のど飴の・・。食べれますか?」
「いや、硬くて生食は無理。果実酒やジャムにもするけど、香りを楽しんでいる」と言うような会話になる。
カリン(花梨、Pseudocydonia sinensis)
バラ科カリン属の落葉高木。中国から渡来した薬用にもされる果樹で、果実はマルメロとよく似ている。果実は石細胞が多く含まれるため硬く生食はできないが、カリン酒や砂糖漬け、のど飴などの原料として利用される。近年、果実成分の医療効果が多く知られるようになってきた。
果実は大型のナシ状果で、長さ10-15cmの楕円形または倒卵形で、10-11月に黄色に熟す。未熟な実は表面に褐色の綿状毛が密生。熟した果実はトリテルペン化合物による芳しい香りを放つ。
トリテルペン化合物とは、炭素が30個つながってできるC30構造をもつ化合物。6つのイソプレンから構成され、C30H48の分子式を持つテルペンの一種だと言う。化学構造の話は難しいので止めよう。
香りは主として皮に含まれる。熟度が進むにつれ果皮が粘ついてきて香りを強く発散する。その香は芳醇で甘くて蜜のような甘さ、そしてどこかに臭さもある。いい香りだけで構成されているわけでなく、潜んでいる匂いがいい仕事をしているのだろう。
社会構造だって、多様性が醸し出す良さがあるではないか。
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