豆の育種のマメな話

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源氏物語の女君たち

2015-07-09 14:33:33 | 講演会、学成り難し・・・

恵庭散歩-「講演会」の章

「いづれの御時にか,女御,更衣あまたさぶらひたまひける中に,いとやむごとなき際にはあらぬが,すぐれて時めきたまふありけり。はじめより我はと思ひあがりたまへる御方々,めざましきものにおとしめそねみたまふ・・・」

ご存知,「源氏物語」の冒頭である。入学試験によく出題されたので,受験生は「源氏物語」「紫式部」の名前と共に,この冒頭部分を暗記したものである。「源氏物語」は平安時代の長編物語で,日本文学史上最高の傑作と評価されていること,「光源氏」を主人公にした恋愛遍歴の物語であることは知っていたが,文語体で長編と言うこともあり「読んでみよう」と本書を手にすることはなかった。

7月の或る日のことである。恵庭市長寿大学公開講座,道民カレッジ連携講座,田中幹子「源氏物語の女君たち」が開催されたので聴講した。講師の情熱ある話は,「面白そうだ,読んでみようか」と聴衆の意識を刺激したようにみえた。

講師の田中幹子氏は,札幌出身で甲南大学博士課程を卒業され,佛教大学や桃山大学講師を経て,2006年から札幌大学地域供創学群教授。平安文学が専門で源氏物語,伊勢物語,枕草子,百人一首等の講義を担当していると言う。

「源氏物語」を読み解くにあたって,氏は「時代背景を理解することの重要性」を強調した。例えば,平安の世で貴族が第一に考えるのは,男児でなく女児を産むこと。女子が生まれ,やがて娘が帝の子供を産めば,摂政として絶大な権力を握ることが出来ること(因みに,男児を重宝するようになるのは,武家時代「家」が重んじられるようになってからである)。

例えば,帝に召されても,出自によって呼ばれ方が違うこと。即ち,「女御」(中宮に次ぐ天皇の夫人)と呼ばれるのは摂政大臣以下公家の娘,「更衣」(女御に次ぐ夫人)と呼ばれるのは大納言以下殿上人の娘であることなど。

例えば,内裏内の殿舎の位置は妃の身分によって決まり,身分が低いと帝が生活する「清涼殿」から遠い場所に住まわされること。

例えば,後宮の殿舎はそれぞれの壺(中庭)に植えられた庭木に因んで「桐壷」「藤壷」などと呼ばれ,そこに住む妃が「桐壷更衣」「藤壷女御」と通称されること,等々である。どうやら,用語や時代背景の知識が無いと,源氏物語の面白さを理解できそうもない。知識があれば読後感は一層深まることだろう。

源氏物語は54帖,100万文字,22万文節(400字詰め原稿用紙で2,400枚)に及ぶ長編で,500名近くの登場人物,70年余の出来事,800首弱の和歌を含む王朝文学だと言う。構成の秀逸さ,心理描写のち密さ,美意識の鋭さなどが指摘され,日本文学史上最高傑作との評価がなされている。当然,多くの学者の研究対象となって来たし,多くの作家が現代語訳を試みている。

例えば,与謝野晶子,谷崎純一郎,窪田空穂,円地文子,田辺聖子,橋本治,瀬戸内寂聴,他・・・,多数の作家が魅せられて,「与謝野源氏」「谷崎源氏」「瀬戸内源氏」等を残している。一方,英語,仏語,独語,西語,イタリア語,オランダ語,スエーデン語,フインランド語,チエコ語,ロシア語,中国語,朝鮮語などに翻訳されているそうだ。また,映画や舞台で採り上げられたことも知っている。

しかし,どれだけの日本人がこの名著を読んでいるのだろうか。率直な感想でもある。

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英語を通して世界を学ぶ

2015-07-07 10:03:09 | 講演会、学成り難し・・・

恵庭散歩-「講演会」の章

7月の或る日,島松公民館で「日本人と英語~異文化の衝突」と題する講演会があったので参加した。講師は元・国際理解教育研究協議会会長の森田紀宏氏。「英語を通して世界を学ぶ」と題する講演シリーズの最終回(第6回講座)であるらしい。「あるらしい」と言うのは,小生は初めての参加であったが,定員30名の多くが顔見知りの方々のように見受けられたからである。

氏は,ギリシャ日本学校への派遣経験を有し,その後も教育現場にあって「英語」を極め,英語教育を思考されてきたと言う。英語を学び,英語を聞き,英語を話す体験談が,「まあ,そう言うことなのよ・・・」と,己の失敗事例を苦々しく思い出しながらも納得した次第。

氏が日本語に対比して英語の特徴として挙げたのは,「子音が重なって,語と語が連なり聞き取りにくい」「舌を大きく動かして発音」「語順が限定される」「リズム・イントネーションが狂うと終わり」「日本語に無い音」など。もうこれは,nativeの英語を聞いて耳を馴らすしかないでしょう。しかし,一歩振り返ってみれば,日本人がnativeの発音が出来なくて当たり前。Japanese Englishと言われようと図々しく話し続ける開き直りが必要かもしれない。言葉は道具なのだから,話に中身があって,相手が聞く意識をもてば,通じるものなのです。

氏が外国人対処法(例)として挙げたのは,「遠慮しないでズバリ言う」「目を見て言う」「ニヤニヤしない」「失敗しても懲りないで言う」「余裕があったら冗談の一つも言う」「諺や名句・名言などで相手を驚かす」など。これは納得です。かつてアルゼンチンで暮らした経験から言えば,食事はワインを飲みながら楽しく食べるもの,従って合間でのウイットに富んだ会話が極めて大事。あの頃は,小話やジョークのネタを仕入れ,西語(英語)でどう言ったらよいか頭を悩まし準備したものでした。

また,氏が英語教育に提案したのは,「学校は英語を英語で教える」「高校入試の在り方を変える(リスニングの強化)」「教師の研修」「小学校への英語導入は中学校の教育を変えてから」「一般人の英語と国際派の英語と目的を明瞭にする」など。氏は更に,今の文科省案では英語嫌いが増える可能性があると指摘した。

講演参加者は殆どが年配者で,しかもご婦人が多い。英会話に抵抗感がある世代と言えなくもないが,元気な高齢者の皆様に圧倒された次第。

帰宅して書棚を見れば,「私の英語体験」「英会話のツボを知りなさい」「ブラッシュアップ英会話」「ワンワード英会話」「速読の英語」「英会話・やっぱり単語」「英単語が増える本」「アメリカの子供はどう英語を覚えるか」「商業英語」「商社の英語」「英会話のすすめ」「英語表現のトレーニング」「会話で覚えるスペイン語」「スペイン語入門」「文法から学べるスペイン語」「スペイン語とつき合う本」「スペイン語の決まり文句」等など数えきれない(写真)。多くの書籍を読んだけれど,英会話もスペイン語会話もマスターしたとは言い難い。

そして,会話が上手くならないのは,「子供の頃から音感が鈍く音痴で,近頃は聴力が落ちている所為だ」「生まれつき気が小さくシャイで,図々しさに欠けているからだ」と自己分析して,勝手に納得している。その裏には,「必要になれば,何とかなるさ」という気持ちが無いわけではない。「上達の良薬は,英語の世界に,或いは西語の世界にスッポリと浸かることに尽きる」と,今は思うのだ。

氏は,「兎に角,続けること。継続は力なり」と話を結んだ。確かに,人間は忘れっぽいからね。聴力と記憶力が退化し始めたが,講演会に参加した方々から刺激を受けたので再び西語を読んでみるか。

 

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恵み野「花暦 6月」、恵庭の花-6

2015-07-04 17:57:52 | 恵庭散歩<花のまち、花だより、自然観察>

6月の花

今年の6月は,晴れた日が少なく,寒い日が多かったような気がする。しかし,不順な天候であろうとも,草花は可憐な花々を咲かせる。

花の街「恵庭」と呼ばれるが,ここ「恵み野」を歩けば、手入れの行き届いた庭が多く,多様な花々に埋め尽くされていることに気付くだろう。

              

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