豆の育種のマメな話

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どこへ向かうのか?南米の大豆生産

2011-02-27 17:07:06 | 南米の大豆<豆の育種のマメな話>

◆顕在化する病害虫被害と旱魃

作付体系は大豆(夏作)-小麦(冬作)が基本で,大豆を毎年栽培する畑が多い。地力維持の観点から大豆の後作にトウモロコシや緑肥作物を導入する事例が増えているが,一方では年2回大豆を栽培する例もみられる。この場合は大豆の早播や早生品種が使用される。大豆の作付頻度が高いため,病害虫被害は常に問題となる。

 

病害では,1990年代初頭に茎かいよう病が猛威を振るったが,現在は抵抗性品種が開発されたため被害は減っている。一方,紫斑病,褐紋病など登熟期の葉の病害が目立つようになり,また成熟期間に長雨があると炭そ病が発生し子実の品質を低下させる。さび病は2001年にパラグアイ日系移住地で初めて発生が確認され,その後ブラジル,ボリビア,アルゼンチンに拡大し,甚大な被害をもたらしている。本病は現在,緊急に対策を求められている病害である。また,炭腐病の被害も拡大している。

 

害虫では,カメムシ類の被害が大きく,カメムシ防除は必須である。ダイズシストセンチュウは,1992年にブラジル,1998年にアルゼンチン,2003年にはパラグアイで発生が確認され,被害拡大が予想されている。また,旱魃害が頻繁に起こり,生産不安定要素になっている。

 

◆どこへ向かうのか

ブラジル,アルゼンチン,パラグアイの南米3国は国際大豆市場の供給安定に欠かせない存在となったが,世界の大豆需要はなお増加傾向にあり,南米の大豆生産は当面さらなる拡大が予想される。また,これらの国では大豆生産が外貨獲得の筆頭産業で,加工業など国内産業の発展をもたらしていることを考えても,増加傾向は続くだろう。その中で,不耕起栽培とGM大豆は不可欠である。

 

GM大豆の問題点については前述したとおりであるが,南米でも非GM大豆生産にこだわる動きがある。例えば,パラグアイでは日系農協が中心になり,技術協力で開発された品種「Aurora」を日本へ輸出し好評を博している。アルゼンチンやブラジルで非GM大豆を栽培し輸入している事例がある。また,食品用大豆開発の動きも加速している。今後は,GM,非GM,有機大豆など異なる生産形態が共存する仕組みを,各国で構築することが課題となるだろう。

 

参照:土屋武彦2010「南米における大豆生産の実態」農業1529:53-58

 

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GM大豆の導入を振り返る(南米の大豆)

2011-02-27 17:00:25 | 南米の大豆<豆の育種のマメな話>

アルゼンチンでは1996年にGM大豆の一般栽培が開始され,その後急速に拡大した。現在では少なくとも98%がGM大豆であると推定されている。同国は,ラテンアメリカの中でGM作物の導入を好意的に進めた国として位置づけられ,GM大豆の普及では米国より先行した。監督官庁は農牧水産省で,農業バイオテクノロジー国家諮問委員会が科学的環境リスク調査を実施,食品の安全性については保健衛生・農業品質管理局のガイドラインに従うことになっている。

 

ブラジルはGM大豆導入に慎重な姿勢をとってきた。すなわち,1997年モンサント社がGM大豆の販売を申請し翌年に国家バイオ安全技術委員会が安全性を認めると,消費者団体や環境保護団体が栽培の禁止を求めて提訴し勝訴した。以降,GM大豆導入を支持する農牧省や生産団体と,反対する環境省,消費者・環境保護団体,零細農家組織,NGO等が対立し,訴訟が繰り返され政治問題化した。

 

こうした中,実際にはアルゼンチン及びパラグアイから非合法的にGM大豆が導入され,南部の諸州で急速に浸透した。結果として膨大なGM大豆の在庫を国内に抱えることになった政府は,やむなく在庫大豆に限って販売を認可,自家採取種子について翌年の生産・販売を限定付きながら認め(2003年,大統領暫定令113号,131号),その後も2004年産種子の利用,2005年産GM大豆の販売認可など,なし崩し的に認可することになった(大統領暫定令223号)。2005年,大統領は「バイオセキュリテイ法」にサインし,GM大豆は合法化された。この国の潜在的な耕作可能面積を考慮すると,GM大豆解禁が国際競争力を高め,米国を抜き世界最大の大豆生産・輸出国になる可能性がある。

 

パラグアイでは,1997年にアルゼンチンから非合法的に持ち込まれ,南部を中心に栽培は急速に拡大した。当初は,低収で旱魃に弱いなど適応性の低さが指摘されたが,新品種の導入が進むにつれ生産も安定してきている。この間,政府はGM大豆の栽培を認めていなかったが,2001年に試験栽培の認可,2004年になって初めて国家商業品種登録簿への登録を承認した。一方,2005年には,GM大豆の流通段階で1t当り3.22ドルをロイヤリテイとして支払うことを,大豆生産者団体が特許所有会社と約束した。この額は5月のシカゴ相場に対応して決められるため,その後4ドルを超えている。この額の10%はバイオ技術振興研究基金に回されるなど,遅れていた法的環境整備も動き出している。

 

◆GM大豆定着にともなう課題

1996年にGM大豆の商業栽培が開始されてから10年以上が経過した。この時期いくつかの総説が出されているが,CERDERIA & DUKE2006)は255の文献を引用し,GM大豆のメリットとして,①これまでの除草剤に比較して環境負担が小さい,②これまで食品や飼料としての安全性に関するリスクは報告されていない,③不耕起栽培や管理作業回数の減少により環境面で利益が出た,④収穫物中に異物(雑草種子)混入割合が減少したと指摘し,今後の問題点として,①少なくとも3種の雑草にグリホサート抵抗性が確認された,②グリホサートでもともと枯れにくい雑草種が優占化する傾向が見られるなど指摘している。

 

従来からグリホサート抵抗性の雑草出現が懸念されていたが,これまでにブタクサ,ケナシヒメムカシヨモギ,ススキメヒシバ等で抵抗性個体が確認されたとの報告や,ツユクサ,スギナ,アメリカアサガオなどが圃場内で優占化する事例もみられる。現時点ではまだ大きな問題となっていないが,単一除草剤の寡占は問題で対応を検討する必要があろう。

 

GM大豆導入の過程で,小農が大農に飲み込まれ,雇用労働者が土地なし農民となって都市へ流れ込むなど社会問題も発生している。また,大豆畑の拡大や輸送インフラの整備は環境破壊に連なるとの意見が顕在化している。各国政府は,未開墾地の樹木伐採の制限,農地面積に応じた植林の義務付けなどの対応を開始した。

 

参照:土屋武彦2010「南米における大豆生産の実態」農業1529:53-58

 

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未開地や放牧地を大豆畑へ転換―南米の大豆

2011-02-27 16:56:51 | 南米の大豆<豆の育種のマメな話>

南米の大豆生産は未開の土地を開墾することから始まった。ブラジルの大豆栽培は1970年代に開始されたセラード開発により急展開を見せた。不毛の地とされてきたブラジル中央高原のサバンナ地帯が緑の大地に生まれ変わったのである。

 

また,アルゼンチンでは,他の国に先駆けてGM大豆を普及したことが生産拡大の要因として大きい。同国では最近10年間で非農業用地560万ヘクタールが大豆畑に転換したといわれる。GM大豆は,非農業用地や放牧地を容易に大豆畑へ転換することを可能にした。90年代後半からの需要増に対して,米国は耕地面積を拡大する十分な余裕がなかったが,南米では放牧地が次々と大豆畑に転換されたのである。

 

因みに,セラード開発は日本の農業開発協力によるところが大きい(ブラジルセラード開発事業1979-2001)。また,アルゼンチン及びパラグアイに対しても日本の技術協力が行われ(アルゼンチン大豆育種技術協力1977-84,パラグアイ農業開発協力1979-20022006-08),大豆生産の発展を技術面から支えた。これら南米の技術協力は,1973年の大豆ショックが引き金となったことが知られている。翌年の田中角栄総理のブラジル訪問,いくつかのミッションの訪問を経て日本からの技術協力プロジェクトは推進され,南米大豆の発展に大きく貢献した。今や,大豆の輸入先は米国一辺倒ではなく,南米とも強い絆で結ばれている。

 

◆高水準な生産技術と不耕起栽培

南米大豆の収量を最近の5年平均でみると2.22.7 t/haで,中国や日本の1.51.7 t/haに比べて多収である。南米の大豆生産はなぜ高水準にあるのか。

 

品種面では,公的研究機関と種子会社が競って品種開発を進め,能力の高い品種が迅速に開発されている事による。ブラジルでは,35機関が374育成品種を保護登録簿に登録している(2008年)。ブラジル農業研究公社,農業協同組合研究センター,マトグロッソ農業研究財団,モンソイ社等で大規模な研究が精力的に進行している。アルゼンチンでは,国立農業技術研究所と民間のニデラ,ドンマリオ,モンサント,レルモ,シンジェンタ社など46機関が446品種を登録している。パラグアイでは,国立地域農業研究センターが育種センターであり,ブラジル及びアルゼンチンの品種が多く栽培されている。なお,育種目標は,①多収・安定,②緯度や播種期に対応する適応性,③病害虫抵抗性,④耐乾性・塩分土壌耐性,⑤高成分,⑥生物燃料や飼料用品質,⑦栄養・機能性品質,⑧除草剤耐性,⑨根粒能力など多様である。

 

さらに,特徴的なのは不耕起栽培の普及である。不耕起栽培では,前作の収穫後に耕起を省略して直接播種溝を切りながら施肥・播種を行なう。本技術は1980年代に導入され,現在では効果の高い除草剤とGM大豆(除草剤耐性)が導入されたことにより定着し,低コスト生産体系が確立している。

 

当初,不耕起栽培は土壌の流失を防ぐ目的で導入されたが,天候の影響を受けずに適期播種が可能になったことから,安定生産に寄与している。播種期試験の結果からみても,晩播により収量は低下し,適期播種がいかに重要か理解できる。

 

参照:土屋武彦2010「南米における大豆生産の実態」農業1529:53-58

 

 

 

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米国を追い越した南米の大豆生産

2011-02-27 16:51:06 | 南米の大豆<豆の育種のマメな話>

世界の大豆生産量は,植物油と畜産飼料の需要が拡大する中で年々増加し,2007年には22,053tに達した。国別にみると,1位米国7,286t2位ブラジル5,786t3位アルゼンチン4,748t,そして4位中国,5位インド,6位パラグアイと続く。この中で,南米各国の生産量の伸びが著しく,この10年間で24培の伸びである。

生産量は1960年代から増加傾向にあったが,60年代から80年代にかけては米国の生産量が世界の6080%を占めていた。南米の大豆生産は,1970年代前半のいわゆる食糧危機を契機に増加し始め,その後,旧ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議した米国の対ソ穀物禁輸(1979年),途上国の需要増,大豆価格の優位性や大型機械化などを背景にしながら増加を続け,90年代後半からは急激な増加を示している。南米の生産量は2002年に米国を抜き,2007年には世界の51%を占めるに至った。

南米の大豆生産はなぜ急増し,米国の地位を脅かすほどの競争力をつけてきたのか。生産を躍進させた主な要因として,①新たに耕地化が可能な土地資源が豊富であった。②大型農業機械導入による大規模生産が可能になった。③亜熱帯地帯に適応する品種,二期作を可能にした早生品種,病害虫抵抗性品種など多くの品種が開発された。④不耕起栽培の導入により収量が安定し,遺伝子組換え大豆(GM大豆,グリホサート系除草剤耐性)の普及により生産コストが低減された。⑤優良種子の販売から流通,輸送,加工に至る外国籍企業の投資を受け入れ,技術水準が高まった。⑥通貨の切り下げにより輸出競争力が強化された。⑦需要の増大,特に中国の輸入増が誘因となった。⑧バイオエタノール需要による価格高騰などが考えられる。

◆中国の輸入が生産増を誘う 

南米で生産される大豆及び大豆油は大部分が輸出用である。各国の輸出品目の中で大豆及び大豆製品の割合はブラジル30%,アルゼンチン60%,パラグアイ56%と極めて高い。

ブラジル及びアルゼンチンの大豆輸出先は,当初EU諸国が主体であったが,90年代後半になると食生活の高度化が進んだ中国への輸出量が急激に増加した。中国の輸入拡大が南米における大豆生産の意欲を高めたといっても過言ではない。

 参照:土屋武彦2010「南米における大豆生産の実態」農業1529:53-58 

大豆の生産量(千トン,上図)と輸入量(千トン,下図)

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パラグアイで豆腐を作る

2011-02-26 09:52:54 | 南米で暮らす<歴史・文化・自然>

スペイン語の豆腐つくりマニュアル

パラグアイのカピタンミランダ市にある地域農業研究センター(CRIA)で豆腐を作りました。その様子を写真にとり,製造マニュアルとして取りまとめたものです。あわせて,豆腐料理のレシピを加えています。

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日本のマメは脚が長い?

2011-02-24 18:00:45 | 北海道の豆<豆の育種のマメな話>

大豆の機械収穫では,最下着莢位置が低いと刈り残しによる収穫損失が増大する。とくに,圃場が均平でない場合や栽培条件(粗植や培土が多い栽培)によっても損失が出やすい。つまり機械収穫のためには,8頭身美人のような脚が長くて腰の高いマメが期待されるわけである。

 

わが国の大豆は,機械収穫を前提にして来なかったので,最下着莢高も低く問題だろう,多くの人がそう考えた。しかし,調査してみると,最下着莢位置はわが国の品種で高く,海外から導入の無限伸育品種で低い傾向にあった。わが国の大豆は,大粒で有限伸育型であるため,初期生育が旺盛になり下位節間が伸張するためである。どうやら,わが国のマメの方が,脚が長く腰が高かったのである。わが国のマメの脚が短いと感じたのは,外国人を見慣れた我々の錯覚であったのかもしれない。

 

◆条播栽培と狭畦幅密植栽培

コンバイン収穫向き品種「カリユタカ」が誕生し,汎用性の普通型コンバインが導入されると,如何に多収を確保し,高品質生産を図るかが課題となった。

 

その一つは,条播密植栽培である。畦幅を通常の60cmに保ったまま,株間を狭めることにより栽植本数を増やし,さらに株立て本数を2本から1本にした栽培法である。条播密植により増収が認められ,その程度は510%であった。さらに,最下着莢位置が高まり,コンバイン収穫時の刈り残し損失が減少するなど機械収穫適性が向上した。この栽培法は,畦幅を60cmに保っているので,これまでの播種機が使え,機械除草も可能であるので普及性がかなり高い。事実,アメリカ合衆国や南米では,条播栽培が一般的である。

 

もう一つは,狭畦幅密植栽培である。畦幅を現行の半分にしようとするもので,多収化と除草作業の省略をねらいとしている。畦間を狭めることにより大豆が畦間を素早く覆い,雑草との競争に勝つことによって,機械除草が省略できるだろうとの発想である。さらに,光や土壌養分に対する作物の個体間競合を考えると,正方形植えに近い方が有利であるとの理屈も成り立つ。この栽培法を成功させるためには,まだまだ解決しなければならない課題があるが,コンバイン収穫を前提とした大豆栽培法の展開方向を示すものであろう。

 

この狭畦幅密植栽培は,実は鹿追町の農家が工夫しながら始めた方法である。試験場は当初この方法に対し,播種作業はどうする,機械除草は無理だ,病害虫防除作業はどうすると,なかなか重い腰を上げなかった。しかし考えてみれば,栽培法の画期的な改善は,農家自身の発想から起こり,試験場が後追いして技術を普遍化することが往々にしてある。これもそんな事例の一つであるが,研究者にとって恥ずかしいことであるまいか。研究者は常に,生産者が何に悩み,何を求めているかを知り,一歩先を進む仕事を発想すべきである。あなたは,生産現場に軸足を置いた研究のために,農家の庭先に足を運んでいますか。

 

参照:土屋武彦2000「豆の育種のマメな話」北海道協同組合通信社 240p.

 

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パラグアイにおける大豆品種国内連絡試験の解析(2005/06-2006/07)

2011-02-23 12:53:05 | 海外技術協力<アルゼンチン・パラグアイ大豆育種>

本書は,パラグアイ農牧省研究局ダイズ研究プログラムが2005/062006/07年に実施した大豆品種国内連絡試験についてCRIAが取りまとめたデータを解析したもので,同国で栽培されている大豆品種及び登録候補系統の生育状況について知ることができます。なお,2005/06年は旱魃の被害が大きかった年,2006/07年は降雨に恵まれた豊作年ですが,ダイズさび病の被害も多く観察されました。

 

本書に掲載した各年の成績(スペイン語)については,CRIAResultados de la investigación el area de mejoramiento genético de soja, Red nacional de ensayos de cultivares de sojaとして取りまとめ,農牧省研究局に提出されています。

 

参照:土屋武彦2007「パラグアイにおける大豆品種国内連絡試験の解析(2005/06-2006/07)」専門家技術情報第5号,ダイズシストセンチュウ及び大豆さび病抵抗性品種育成プロジェクト,国際協力機構(JICA- パラグアイ国農牧省地域農業研究センター(MAG - CRIA

 

添付:パラグアイにおける大豆品種国内連絡試験の解析(2005/06-2006/07),Red nacional de ensayos de cultivares de soja(略)

 

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パラグアイにおけるダイズ品種の播種期試験(2006/07)

2011-02-23 10:49:47 | 海外技術協力<アルゼンチン・パラグアイ大豆育種>

本書は,パラグアイにおける大豆品種の播種期試験の結果を取りまとめたものです。

 

播種期試験はこれまでに何回も実施され,イタプア県(パラグアイ南東部のダイズ主要生産地,CRIAの所在地)における適播種期は11月とされてきました。しかし,近年アルゼンチンから導入された生育期間の短いGMO品種の作付けが増加したことや年2回の作付けを試みる生産者が増え,播種期が早まる傾向にあります。また,トウモロコシの作付け増加が予想され,前作に早生ダイズを早播する生産者が増加しています。

 

本試験の結果から,パラグアイにおけるダイズ品種の播種期による特性変動とその品種間差異,播種適期,早播適応性の高い品種はどれか,など知ることができるでしょう。

 

 

 

参照:土屋武彦2007「パラグアイにおけるダイズ品種の播種期試験(2006/07)」専門家技術情報第5号,大豆シスト線虫及びさび病抵抗性品種の育成プロジェクト,国際協力機構(JICA- パラグアイ国農牧省(MAG-CRIA

 

   

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パラグアイにおけるダイズシスト線虫汚染圃場を利用した抵抗性素材の選抜

2011-02-23 10:40:17 | 海外技術協力<アルゼンチン・パラグアイ大豆育種>

 「ダイズシストセンチュウ及び大豆さび病抵抗性品種の育成:フェニックスプロジェクト」は,独立行政法人国際協力機構(JICA)による技術協力プロジェクトとして,パラグアイ共和国農牧省に属する地域農業研究センター(CRIA)を実施機関として,20062月から20082月の期間で実施されました。

 

本プロジェクトの目標は,新たな病害虫であるダイズシストセンチュウと大豆さび病に対する抵抗性品種の開発を通じ,パラグアイにおける大豆生産の安定化とCRIAにおける研究能力の向上を図り,もってパラグアイ国経済の安定と向上に役立てることにあります。

 

プロジェクトの成果は別途取りまとめて報告していますが,専門家が技術指導の業務の過程で得られた資料や情報の中から,関係者の参考になると思われるものを整理し,専門家技術情報として発行することにいたしました。

 

本書はパラグアイ北東部のCanindeyúYhovyのダイズシストセンチュウに汚染された農家圃場を利用してCRIAの育種材料を検定した結果で,同国における最初の試験事例です。

 

また参考資料として,パラグアイにおけるダイズシストセンチュウの発生確認から汚染の現況,CRIAにおける抵抗性育種の概況を掲載しました。本書をご覧いただければ,同国におけるダイズシストセンチュウに対する取り組みの一端をご理解頂けるでしょう。

 

参照:土屋武彦・Anibal Morel Yurenka 2007「パラグアイにおけるダイズシストセンチュウ汚染圃場を利用した抵抗性素材の選抜2006/07(西語・日本語)」専門家技術情報第3号,ダイズシストセンチュウ及び大豆さび病抵抗性品種育成プロジェクト,国際協力機構(JICA- パラグアイ国農牧省地域農業研究センター(MAG - CRIA

 

添付:略

  

 

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ダイズシスト線虫抵抗性大豆新品種候補,LCM167, LCM168

2011-02-23 10:33:11 | 海外技術協力<アルゼンチン・パラグアイ大豆育種>

「ダイズシストセンチュウ及び大豆さび病抵抗性品種の育成:フェニックスプロジェクト」は,国際協力機構(JICA)による技術協力プロジェクトとして,パラグアイ共和国農牧省に属する地域農業研究センター(CRIA)を実施機関として,20062月から20083月の期間で実施されました。

 

本書は,プロジェクトが育成したダイズシストセンチュウ抵抗性系統LCM 167LCM 168の選抜経過と成績を取りまとめたものです。現在,本系統は新品種として登録するため種子増殖を行っていますが,本系統が新品種登録されれば同国における最初の抵抗性品種の誕生になります。なお,LCM 16720082月に新品種CRIA-6, Yjhovyの品種名で種苗登録の申請をしました。

 

パラグアイでは,2003年にダイズシストセンチュウの被害が初めて確認されてから,同国東北部の大豆生産地帯であるカニンデユ県やアルトパラナ県などで汚染が次第に拡大しています。本成績は汚染地域で大豆を栽培しようとしている生産者及び技術者の参考になるでしょう。

 

参照:土屋武彦ほか2008「Nueva Variedad de Soja LCM-168Yhovyダイズシストセンチュウ抵抗性大豆新品種候補LCM167,LCM168」専門家技術情報第6号,ダイズシストセンチュウ及び大豆さび病抵抗性品種育成プロジェクト,国際協力機構(JICA- パラグアイ国農牧省地域農業研究センター(MAG - CRIA

 

添付:略

 

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