豆の育種のマメな話

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指さし確認

2013-09-13 18:08:48 | さすらい考

窓から外を眺めていたら,近所のご主人が「指さし確認」して道路に出て来た。交通量の少ない道路なのに注意万端怠りない。国鉄時代の駅長さんだったから,往年の習慣が出ているのだろうか? と軽く考えたが,・・・これは見習うべきではないかと思った。

「指さし確認」とは,「具体的な物やリストの項目を指で追いながら一つずつ確認する様子 make certain of a list (number) of items to be checked by painting at them one by one(プログレッシブ和英中辞典)」を意味する。私たちは,リストを指先で抑えながら確認すると間違が少ないことを,体験上知っている。

 

これが転じて,「この行動は作業の見落としを避けるのに有効」と立証され,事故に結びつくような作業に係る職場では,「指さし確認」をマニュアル化するようになった。よく目にするのは,駅のプラットホームに立つ駅員や列車の運転手さん,バスの運転手,或いは工事現場の作業員などであろうか。

 

この安全動作のことを業界では指差喚呼(しさかんこ)と呼ぶらしい。起源は国鉄の運転士が行う信号確認の動作に始まったと言われる(明治の末にルール化された)。安全確認の目的で,信号,標識,計器など作業対象を指差しながら名称と状態を声に出して確認する。即ち,①目で見て,②腕を伸ばし指さして,③声を出して「○○よし!」,④耳で自分の声を聞く,流れである。また,協働する作業員は復唱して応じる(喚呼応答という)。

この一連の確認動作は人為ミスや労働災害の発生確率を著しく下げることが証明され,中央労働災害防止協会は安全対策として推奨している。

 

さてさて昨今,高齢化が進んだ日常生活の中で「お湯を沸かしていたのを忘れた」「牛乳を温めていて噴きこぼした」「鍋を焦がした」と言うような話を聞くことが多い。集中力が長続きしない,或いは複数のことを同時進行できないなどの事象が,高齢化にともなって起こりやすい。皆さんも長い人生の中で,大事に至らずとも一瞬の不注意からアッと思ったことがあるかも知れない。

 

或いは,家を出て角を曲がった辺りで「鍵を掛け忘れたのでは?」と不安になったことは無いだろうか。戻ってみると鍵はかかっている。そして,「私はまだ大丈夫だった」と納得する。認知症や注意散漫(症)でなくとも,習慣化した行動は無意識下で行うことが多いので,振り返った時「あれ,どうだっけ?」と思い出せず心配になる。

 

最近は科学技術が進んで,外出先での戸締り確認や電気器具の点滅さえ可能になったと聞く。文明機器の活用も結構だが,指や声で脳に刺激を伝える方策こそ人間的ではあるまいか。指さし確認は高齢者の杖になるだろう

 

就寝前には,「ガスよし!」「水よし!」「鍵よし!」「電気よし!」と,指さし確認することにしよう。熟睡できること間違いない。 

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