豆の育種のマメな話

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異文化交流講座(島松公民館)「成長著しいベトナムと日本文化の違い」

2019-07-22 18:09:09 | 講演会、学成り難し・・・

719日、島松公民館が開催する異文化交流講座「成長著しいベトナムと日本文化の違い(講師:フアム・テイ・ヴアン・アン)」を聴講した。

アンさんは4年前に来日、東川町で旭川福祉専門学校日本語学科に学び、2017年から北海道文教大学国際言語学科の留学生、恵庭在住である。1時間30分の講演はすべて日本語で行われ、資料も日本語版。準備に相当の時間と労力を要したであろうことが推測できた。

講演の構成も内容もほぼ万全で、参加した全ての方がベトナムを理解出来たのではないかと思う。4年間で日本語をここまでマスターしていることも素晴らしい(若さだネ)。タイやマレーシアの友人がかつて「ベトナム人は働き者、勤勉だ」と話していたが、その言葉を実感、納得した次第。アンさん有難う。

                        (上図は配布資料から引用)

◆内容

講演はスライドを中心に進められ、最後に質疑応答が行われた。内容は概略以下のとおり。

1. ベトナムの基本情報:正式国名、公用語、民族構成、宗教、面積、人口について紹介し、出生率と高齢率を日本と比較。

2. ベトナム現代歴史年表:独立宣言(1945)、インドシナ戦争(ベトナム第一戦争1946-54)、ベトナム戦争(ベトナム第二戦争1960-75)、中越戦争(1979)について、映像とともに流れを紹介。ビデオ映像も。

3. ベトナムの経済:①経済発展にともなって所得水準が高まっている、②ベトナム最大手のビングループが自動車メイカー等を設立し、販売も伸びている、③日系企業のベトナム進出におけるインセンテイブ、④日本におけるベトナム技能実習生の急増について紹介。

4. ベトナムの観光地:ハノイ首都、ハロン湾世界遺産、ダナン市、古都ホイアン世界遺産、ホチミン市、メコンデルタを紹介。

5. ベトナムの教育:教育システムと現状を紹介。

6. ベトナム人のライフスタイル:仕事とエンターテイメントのバランス、バイク天国、習慣などを紹介。

◆悲しい戦争を乗り越え、経済発展著しいベトナム。労働者賃金が中国の半分以下(約200ドル/月)と周辺国よりも安いので日系企業のベトナム進出が進み、日本国内でもベトナム人労働力に依存する企業・農家が増えているのが現実。しかし、低廉な人件費がいつまでも続くことはありえない。今後は、ベトナム人の勤勉さなど質の高い労働力にこそインセンテイブの主眼を置くべきだろうと感じた。

◆一昨年も島松公民館で、異文化交流講座「ニュージランドを知る(講師:メラニー山崎)」が開催され、参加したことを思い出す。公民館の地味な活動ではあるが継続されることを期待したい。海外各国との友好は「知ること」から始まる。

恵庭市には416名の外国人が住み(1位は中国)、ベトナム人も95名いると聞いた。街角で出会って、挨拶の声を掛け合えるような空気が醸成されることを期待したい。

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近畿大学公開講座2019(前期) in恵庭

2019-07-07 18:44:57 | 講演会、学成り難し・・・

標記公開講座が、2019年6月29日恵庭市民会館において開催された。恵庭市南島松地区にある近畿大学理工学部バイオコークス研究所の主催講座である。今回のテーマは「令和元年 新しい時代と街づくり 私たちのくらしを支える最先端技術 ~KINDAIから次世代へ~」とある。

講演は、原田 信(文学博士、中国図像学)近大経営学部准教授「新元号の由来とその意義」、冨田義弘(工学博士、鉄鋼材料)近大バイオコークス研究所講師「再生可能エネルギー;バイオコークスを有効活用した新しい街づくり」の2題。市民会館大会議室を埋めた受講生は熱心に耳を傾けていた。

 

◆原田 信「新元号の由来とその意義」

講義は大きく4段階の流れで進められた。

1.元号の成り立ちと役割では、①元号誕生の前、中国では〇王(帝)□年と数えた、②初めて元号を使用した人物、漢の武帝、③漢代に元号が命名された背景、④改元される主な理由、⑤日中における改元回数、⑥一世一元の制、⑦元号を使用していた国家・地域・民族について触れ、元号の意義と変遷について述べた。即ち、「帝王を賛美する。凶事を避け人心を一新する」ことから「元号がその時代を象徴する」ものになったと言う。

2.日本と元号では、①元号「大化」の背景、②伝統的な元号決定の手続き、③元号の約束ごと、④日本歴代元号の典拠について触れ、247元号の全てが中国古典書であると述べた。

3.元号を取り巻く情勢では、①近代日本の元号と西暦、②元号に関する世論調査の結果、③元号の法的根拠について触れ、「元号に反対する意見」と「元号を支持する意見」が紹介された。

4.新元号についてでは、①元号に込められた意味、②新元号の典拠、③新元号の発案者?中西氏の説明、④「令和」の英訳「Order and Peace」から「Beautiful Harmony」へ、⑤中国人留学生の感想、⑥元号案を巡る報道について触れ、新元号に込められた意味は「日本的要素を強調」「国内外の平和・協調・幸福を願う」にあるとした。そして、将来は「日本社会の変化」「年々進む日本の国際化」「複雑な国際情勢」「世界における日本の価値と役割」に影響されて、元号も位置付けられるだろうと述べた。

講座の中で引用した「元号に関する世論調査の結果(毎日新聞2019.2.5)」が興味深い。調査は、「主に使うのは元号か西暦か?」を問うもので、1975年(昭和50)の数値は「主に元号82%」「元号と西暦半々13%」「主に西暦4%」に対し、2019年(平成31)の数値は「主に元号34%」「元号と西暦半々34%」「主に西暦25%」と変化している。

この様に元号の使用頻度が減少しているとはいえ、日本ではまだまだ元号を愛着込めて使用しているのが実情だろう。世界中で一世一元の元号を使用している国は日本のみとなったが、思想・文化・生活を究極まで合理化することに意味があるのか、と日本人は感じているに違いない。貴方はどう考えますか。

◆冨田義弘「再生可能エネルギー;バイオコークスを有効活用した新しい街づくり」

バイオコークスについては、これまでにも何度か紹介があった。例えば、①菊井康順「身近な暮らしを支える資源循環型社会への取り組み~バイオコークスの挑戦~(近大公開講座2018.6.9)」、②井田民男「北海道から発信する最先端ゴミ焼却処理について(近大公開講座2016.7.9)」、③澤井 徹「暮らしの中のエネルギー(2015.9.12)」などである。廃棄物系バイオマスや未利用バイオマスを有効利用してエネルギー源に使おうとする研究である。

富田講師は、①バイオマスの意義とバイオコークスの作り方、②バイオコークスの鋳造での活用について触れ、③バイオコークスの様々な取り組みを紹介した。

バイオコークスは資源の有効利用など可能性を秘めた純国産エネルギーとして有望であるが、経済コストを考えると社会(地域)が組織的に取り組む課題があると指摘した。

なお、近畿大学理工学部バイオコークス研究所は恵庭市南島松にある。拙宅をこの地に建築した頃(1992年),家の裏には広大な空き地があり近畿大学農学部の用地であると聞いていたが,そのうちに農学部移転は取りやめになり一部は住宅地に,一部は実験農場(資源再生研究所)になっていた。近畿大学では2008年に次世代バイオ固形燃料の開発を目指すバイオコークス量産実証実験センターを開設し,2012年には農学部所管の資源再生研究所と理工学部所管のバイオコークス量産実証実験センターを統合して,バイオコークス研究所を開設した。同研究所の基礎研究基盤は近畿大学東大阪キャンパスにおかれ,恵庭では農業用バイオコークスボイラーによる熱利用に関する実証研究が主体になっているという。

◆参考、関連記事

〇近畿大学公開講座2019(後期)in恵庭:拙ブログ「豆の育種のマメな話」2019.7.29

〇近畿大学理工学部バイオコークス研究所公開講座2017 in恵庭:拙ブログ「豆の育種のマメな話」2017.6.19

〇近畿大学理工学部バイオコークス研究所公開講座2016 in恵庭:拙ブログ「豆の育種のマメな話」2016.9.18

〇近畿大学バイオコークス研究所公開講座、エネルギーを考える:拙ブログ「豆の育種のマメな話」2015.9.14

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