豆の育種のマメな話

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みちのく「桜」を愛でる旅 2016

2016-04-28 13:58:03 | さすらい考

弘前公園の桜,日本最古のソメイヨシノ

4月下旬の或る日,弘前公園を訪れた。今年は例年より開花が早いというので,連休に入る前のこの日に狙いを定め,東北の桜を愛でようと旅に出たのである。当日は,ちょうどソメイヨシノが満開,穏やかな天候と相まって正にお花見日和であった。

中央高校口から丑寅櫓を左に眺め,内堀の沿って進むと与力番所/東内門の前にソメイヨシノの古木がある。樹齢130年,日本最古のソメイヨシノだと言う(写真)。ソメイヨシノは病気(てんぐ巣病,白色腐朽菌類など)に弱く,かつ環境による樹勢低下などで,一般に寿命が60~80年と言われる。そのような中,弘前市ではリンゴの剪定技術をソメイヨシノの管理に応用するなどして樹勢回復に取り組んだ結果,多くのソメイヨシノの樹勢を回復することに成功し,弘前公園には樹齢100年を超すものが300本以上あるそうだ。

下乗橋から本丸に入る。天守付近の本丸石垣の膨らみや天守の傾きがある事から修理することになり,天守は曳家で移動され,現在は工事中である。「弘前枝垂れ」桜(写真)は圧巻。また,展望台からは,弘前市と岩木山が眺望できる。

 

日本最大幹周のソメイヨシノを写真に撮り,外濠に戻ると,早咲きの個体から花吹雪となって川面に舞いおりた花弁が,花筏となって外濠の一隅を埋めていた(写真)。

角館武家屋敷通りと檜木内川堤の桜

武家屋敷通りを散策し,青柳家に立ち寄る。深い木立と重厚な屋敷構えの通り(写真)。観光客が少ない静かな時期に再訪したいとの思いを残して,檜木内川堤のソメイヨシノを観る。こちらは満開(写真)。長さ2kmに及ぶ桜は名勝100選に値する。また,桜堤モデル事業1.7kmの植栽もされているようだが,これほど大量に桜が続くと風雅の極みと呼ぶには些か抵抗感が無いでもない。

ソメイヨシノの起源については諸説あったが(染井村での人工作出説,王桜起源説,自然発生・伊豆半島説,独立種説),(オオシマザクラ×ヤマザクラ)×エドヒガンとの説が有力視されている。また,すべてのソメイヨシノは元をたどればかなり限られた数の原木につながり,それらのクローンだと言う。全国のソメイヨシノがクローンであることの不自然さ,この同一性は自然環境の中で極めて歪なことで,これはすべてのソメイヨシノが一斉に咲き一斉に花を散らす理由でもあるが,特定の病気に掛かりやすく環境変化に弱い理由ともなっている。

公益財団法人日本花の会は,桜の名所作りに適した品種として樹勢が強健で鑑賞性が高いジンダイアケボノなど複数の品種を推奨して配布している。桜を眺めて,植物の多様性について考えるのもよい。

北上景勝地の桜

岩手県北上市まで南下すると,ソメイヨシノの開花はすでに終わっていた。北上川沿いの桜並木はすでに葉桜模様で,並木を散策する人影もまばらであった(写真)。

その後,中尊寺に立ち寄ったがソメイヨシノは此処も葉桜。ただ,東物見台から眺める山腹の桜はピンクの様相を残していた(写真)。

 ところでソメイヨシノは,花弁が5枚,葉が出る前に花が開き,満開となる特徴がある。花色は蕾では萼等も含めて濃い赤に見えるが,咲き始めは淡紅色,満開になると白色に近づく。満開時には花だけが密生して樹体全体を覆い,花が大きく派手であることから好まれ,全国に広く植えられた経緯がある。

今回は,北海道新幹線を利用して新青森へ渡り,桜を鑑賞しながら南下し,仙台からフェリーで北海道へ戻る旅。天候に恵まれて結果よし。

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