豆の育種のマメな話

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春を告げる「ツクシ(ツクシンボウ)」、恵庭の花-22

2018-04-25 11:23:32 | 恵庭散歩<花のまち、花だより、自然観察>

「古草に うす日たゆたふ つくしかな」龍之介

「前垂れの 赤きに包む 土筆かな」漱石

「妹よ 来よここの土筆は 摘まで置く」虚子

植物形態上は胞子茎と呼ばれ、花ではないが、ツクシ(ツクシンボウ)も春を告げる風物詩の一つである。春の季語であり、「ツクシ」を詠んだ句は数知れない。また、絵手紙でも格好の素材となっている。

拙宅の隣は永く空き地になっているが、今年も4月下旬に「土筆が原」と化した。何百本という土筆が朝陽に背伸びしている。夕日に映えている。この空き地の所有者は毎年2回ほど除草剤を散布しに来るが、ツクシはその除草剤にも耐えて春になると元気な顔を見せる。

 

ツクシはスギナの胞子茎である。筆状で淡褐色、高さは10-30cm、円筒状で先に長楕円状の胞子穂をつける。節には袴(はかま)と呼ぶ葉が茎を取り巻いている。胞子が成熟するとツクシは枯れ、濃緑色の栄養茎が伸びてくる。この栄養茎はスギナの名前で多くの方に認知されている。

栄養茎は多数の枝を輪生し、30-60cmになる。茎は円柱状で中空、縦に数本の溝があり、質感は堅い。トクサに比べ茎は細いが、茎の材質は似ている。小枝は四角柱状で節に鞘状の葉をつける。枝と葉の形状が杉(スギ)に似ていることからスギナと呼ばれるようになったと言う。

スギナ(英名:Field horsetail、学名Equisetum arvense L.)は、トクサ科、トクサ属、スギナ種の多年生植物。地中に地下茎を伸ばし、節々から芽を出して繁殖するので畑地では極めて厄介な雑草として知られる。畑地、樹園地、土手、空き地などに生え、全国に分布する。

 

ツクシは昔から春の山菜として食べる習慣があった。近頃は野原で土筆を摘む姿を見かけなくなったが、インターネットには多数のレシピが紹介されている。袴を取って灰汁を抜き、お浸し、卵とじ、天ぷら、油いため、土筆ご飯などで食べる。また、スギナを乾燥したもの(スギナ茶)を伝承生薬として利用されている。

なお、ツクシはワラビ、ゼンマイなどの山草と同様にチアミナーゼを含んでいることも指摘されている。チアミナーゼはチアミン(ビタミンB1)を分解する酵素で、多量摂取を続けるとビタミンB1欠乏症を起こす恐れがあるとか。春の山菜として味わう分には気にすることもあるまい。

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スイセン(水仙、Narcissus L.)、恵庭の花-21

2018-04-22 17:04:46 | 恵庭散歩<花のまち、花だより、自然観察>

4月下旬から5月初めの頃、恵み野の街を歩いていると、庭や路傍の至る所でスイセンの開花を目にする。北国に春を告げる最もポピュラーな花の一つである。その中でも、拙宅前庭のスイセンは周辺に比べて早咲きで、今年も418日には満開になった。南向きブロック塀の前に植えられているため、久能山の石垣イチゴと同じ理屈で、ブロックから輻射熱の影響を受け開花が早まるのだろう。

スイセンは、ヒガンバナ科スイセン属のひとつで、色や形の異なる種や品種が多く存在する。

原産地はスペイン、ポルトガルなど地中海地方と言われ、園芸用に改良された品種が世界に広まっている。日本にはニホンズイセンが古く中国を経由して渡来し、本州以南の海岸地帯には野生化した群生が見られる。群生して風に揺らぐ姿は爽やかで、越前海岸や伊豆下田の爪木崎では12月下旬から2月初めにかけて観光客を集めている(北海道より3か月以上も早い)。

拙宅の周りには秋植えの球根を何種類も植えている。ユリやチューリップは年とともに消えるが、スイセンは粗放に耐えて毎年花を開く。何故だろうと調べてみると、ユリやチューリップの球根は野ネズミに食害されるが、スイセンの球根(鱗茎)には毒があるためか野ネズミが食害しないことに気づいた。

「庭や野山の毒草ハンドブック2005(北海道)」によると、毒成分はリコリン、有毒部位は全草(特に球根)、中毒症状はおう吐、下痢、けいれんと記されている。脱水症状となり衰弱死に至ることもあると言う。札幌市内では、毎年のようにスイセンの葉とニラを誤って食べ中毒を起こす事故が発生している、と本書では注意喚起している。

ところで、学名のナルシサスはギリシャ神話に由来する。水鏡に映った自分の姿に恋をしてスイセンになってしまった美少年ナルキッソスの伝説である。スイセンは水辺であたかも自分の姿を覗き込むかのように咲くことから、名付けられた。

花言葉は「うぬぼれ」「自己愛」。自己陶酔型の人「ナルシシスト(ナルシスト)」の言葉の謂れでもある。ナルシストに毒があるとは思えないが、スイセンには毒がある。

 

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平成30年度 恵庭市長寿大学/大学院の入学式・始業式

2018-04-18 17:36:35 | 講演会、学成り難し・・・

平成30年度418日、恵庭市民会館において「平成30年度恵庭市長寿大学・大学院入学式・始業式」が挙行された(主管、恵庭市教育委員会)。入学式では、国歌斉唱、恵庭市民憲章朗唱、長寿大学の歌斉唱の後、大学新入生44名及び大学院新入生42名がそれぞれ紹介され、学長式辞、在学生代表による歓迎の言葉が述べられた。

本年度の在籍数は236名、在籍者の平均年齢は74.1歳だという。意欲に満ちた、元気な高齢者たちが、今年も学びの場をスタートさせた。歓迎の言葉を引用する。

歓迎のことば

新入生の皆様、入学おめでとうございます。在学生一同、皆様の入学を心から歓迎致します。

恵庭市長寿大学は、開学から数えて42年目を迎えました。学習プログラムは恵庭の特徴を生かした「まちづくり科目」や、「一般教養、生活文化、高齢生活、他機関科目講座」など幅広い分野にわたり、さらには「研修旅行」などの行事科目を加え、充実した構成になっています。また、講座選択制・単位制を取り入れ、学生個々の自主性を尊重するシステムになっている点も特徴的です。

学生自治会でも、自主学習プログラムや研修旅行の企画立案、実施に知恵を出し合い、また、親睦を深めるために、会報の発行、同好会活動や学年行事を活性化させ、長寿大学がより有意義で楽しい学びの場となるよう努力してまいります。

新入生の皆様におかれましては、お互いに声を掛け合い、各種行事に積極的に参加されますよう期待しております。そこには、新たな出会いがあり、新鮮な体験があり、新しい知識を吸収できる喜びを感じることでしょう。「挑戦する心・主体的行動」こそ、恵庭市長寿大学の伝統であります。

さて、世の中は「超高齢社会」と呼ばれる時代です。総務省統計によれば、一昨年度、65歳以上の人口比率が27%を越えました。四人に一人以上が高齢者です。そして、十数年後には三人に一人が高齢者になると推定されています。また、高齢者だけの世帯数は58%を超え、単独世帯も著しく増加しています。

このような時代であるからこそ、私たち高齢者は「健康で心豊かに暮らす術」を身につけねばなりません。そのためには、常に新たなことに挑戦しようとする意欲を持ち続け、アグレッシブに行動することが大事であると考えます。

生涯現役医師を貫き、昨年105歳で亡くなられた日野原先生も、「老いた身の一番の不幸は孤独であり、積極的に生きる方向と目標が定かでないことだ」「自分のためにだけでなく、人のために生きようとするとき、その人はもはや孤独ではない」「前進、また前進、前に進み続けよう」と話しておられます。

まさに長寿大学は、やがて訪れる「成熟社会」の生き方を、学び実践する場であります。学生生活で学んだこと、培った友との強い絆を大事にして、心豊かに暮らせるまちづくりに一歩踏み出したいものです。恵庭が、「花のまち、本のまち、子育てのまち」に加えて、「老人が住みやすいまち」と呼ばれるようになることを切に願い、私たちも前に進み続けようではありませんか。

本日、新たに入学した44名、大学院に進学した42名の皆様が、卒業するとき、「楽しく有意義な学生生活だった」と振り返ることが出来ますよう、教育委員会並びに関係機関の皆様のご指導・ご支援を賜りながら、一緒に学び、楽しい思い出を作りたいと思います。

最後に、皆様の、日々の学習の場が新鮮で充実したものになりますよう祈念申し上げ、歓迎の言葉と致します。

平成30418日           

       在学生代表 〇〇○○

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ハナニラ(イフェイオン)、恵庭の花-20

2018-04-16 18:16:35 | 恵庭散歩<花のまち、花だより、自然観察>

クロッカスを追いかけるように、イフェイオン(和名:ハナニラ)が花を開いた

まだ緑が見えない北国の庭先に、青、ピンク、白の可憐な花が群生しひときわ目につく。例年は420日頃に咲くが、今年(平成30年)は1週間近く早い開花である。数年前に植えた球根をそのまま放置しておいたので、種子が飛び分球で増え、今は絨毯のように群生している。越冬を繰り返したため個体の生育は貧弱だが花の姿は美しい。北国に春を告げる花の一つ。恵み野を歩いていると、多くの家の庭にこの花を見つける。

和名をハナニラ(花韮)、英語では花の形からスプリング・スターフラワーと呼ぶそうだ。学名はIpheion uniflorum、ネギ科、ハナニラ属(イフェイオン属)に分類される。葉や球根を傷つけると、名前のとおりネギやニラのようなにおいがする。

原産地は中南米大陸。メキシコからアルゼンチンにかけて25種以上が自生していると言われるが、園芸種も販売されているので変異はさらに拡大しているのかもしれない。最もよく見られるのはユニフロルム(Ipheion uniflorum)であるが、黄色い花を咲かせる近縁の黄花ハナニラ(Nothoscordum sellowianum)もハナニラと呼ばれている。

アルゼンチンに滞在したいた頃、INTAの庭に咲く可憐な花を見た記憶が蘇る。この花だったのか。

  

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