豆の育種のマメな話

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北海道文教大学公開講座2019「私の受講録」

2019-10-30 18:24:41 | 講演会、学成り難し・・・

北海道文教大学は、今年も公開講座「心と身体の健康コース(21講座)」「食と健康コース(4講座)」「文化・教養コース(8講座)」「おかあさんのための子育て支援コース(3講座)」を計画し、市民に「学びは成長。地域社会に開かれた大学として公開講座を開設いたします」と受講を呼び掛けた。昨年度までは8月下旬から9月上旬にかけて同大学本館の講義室等を使用していたが、本年度は9月17日から12月6日にかけて鶴岡記念講堂を主会場に開催された。

これらの中から12講座を受講した。

1. 矢部玲子「新聞に載る方法~新聞投稿の文体を知ることを通して~」(2019.9.17)

新聞投書欄は読者の意見交換の場。投稿文は独特の文体を持っている。字数を考慮すると4段落程度がちょうど良い。即ち、第1~第3段落は事実(事柄)を記し、第4段落に意見を述べる。テーマは折々のニュースや身近な話題が取り上げられやすい。

2. 湯浅孝男「スピリチュアルなリハビリテーションとは?」(2019.9.19)

スピリチュアルとはラテン語のキリスト教用語から発生した言葉で、宗教的・精神的なことがらを指していた。音楽では黒人霊歌(ブラック・スピリチュアルズ)のような使い方がある。現在、医療の分野では、終末医療ケアにおいてスピリチュアリテイ概念が注目されている。即ち、心身機能が衰え、病気や障害を抱えながらも前を向いて歩くには、精神療法、支持療法、暗示療法も重要ではないのか。

3. 池田 仁「老化を考える1~老化のメカニズムについて~」(2019.9.20)

成長期以降は加齢とともに老化が始まる。明らかになりつつある老化のメカニズムについて解説。

4. 鹿内あずさ「元気な時から考える医療事前指示書」(2019.9.20)

人生の最終段階に、或いは事故などで意識がない状態になったとき医療の選択が迫られる。最終段階の医療について、元気なうちに考えておく必要があるのではないか。医療事前指示書もその一つ。

5. 辻 幸美「認知症予防~病気の知識と対処行動が分かれば怖くない~」(2019.9.25)

アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症について解説。その原因と予防法について。

6. 池田 仁「老化を考える2~老年症候群と加齢性疾患~」(2019.9.27)

フレイルとは、「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態。適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が見込める状況」(厚生労働省)と定義される。また、サルコペニアとは加齢による筋肉量減少。代表的な加齢性疾患について具体的に解説された。

7. 岡本佐智子「日本人と中国人とのコミュニケーション~中国人からみた日本人の不思議~」(2019.9.30)

大学院生鍾展恒、斎麗超さん等が、日本に来て「不思議だ」と感じた事例を挙げて「何故ですか?」と問いかけた。受講生との意見交換(ワークショップ)から文化の違いが浮き彫りになった。儒教の考え方だと結論付ける場面が多かったのも面白い。

8. 木村一志「脳はどのようにして出来上がるのか?」(2019.10.8)

脳や神経細胞の発生から機能獲得に至る経過。認知症など脳の障害について、治療法や予防法を解説。

9. 佐藤信夫「知覚と認知の心理学(錯視と錯覚の不思議な世界)」(2019.10.11)

錯視と錯覚の事例について、多様な図、映像を使って解説。感覚、知覚、認知機能の不思議を垣間見た感じ。

10. 佐藤 進「元号令和を生んだ万葉集の時代の華麗なる国際性」(2019.10.19)

万葉集誕生の時代は、外国文化(中国文化)の導入に熱心だった時代。「令和」の元号が引用された「万葉集」梅歌序の文章は、中国語の文体として最も洗練された四六駢儷文で書かれていると言う。

11. 佐々木律子「八世紀の女性天皇~元正天皇」(2019.10.25)

推古天皇以来、日本には過去に8人、10代の女性天皇が存在した。全てが男系祖先に天皇を持つ男系女性天皇。6世紀末から8世紀にかけて集中。独身で即位し(寡婦か未婚)、譲位以後も独身を通した。八世紀頃の日本は、初頭の白村江の戦い、壬申の乱における国家的危機の体験から律令制国家成立に至る時代、この時代に即位した女性の元正天皇について時代背景を考察。

12. 半澤江衣「知ろう!緩和ケアについて」(2019.10.31)

苦痛を和らげることを目標に行われる医療的ケア。私たちの認識は、癌患者の治療などに際し、治癒を目的にするだけではなく、モルヒネで痛みを緩和するなど、痛みや苦しみをやわらげるための対応を行うこと(大辞林)だが、最近では広範囲の専門職(医師、認定看護士、管理栄養士、薬剤師、理学・作業療法士、臨床心理士など)がチームを組み対応する事例が増え、緩和病棟も増加していると言う。本来は広範囲に行われるべき概念だろうが、日本で診療報酬が認められているのは癌とエイズに限定されている。

◆受講後雑感

地域の高等教育機関が、市民対象の公開講座を開催してくれることは一市民とし有難く思う。同時に当大学への市民の理解も深まりつつある。公開講座は、次年度も是非継続して欲しい。

また、受講者は高齢者に偏っていたが、恵庭地域には向学心に燃えた元気な方々が多いという証。開かれた公開講座を続けながら一歩前進して、高齢者と若者(現役学生)をマッチングさせるシステム(プログラム)が生まれると面白い。

◆過去の受講歴

◇ 2018

1. 清水麻衣子「認知症の方と関わるための工夫」(2018.8.29)

2. 池田 仁「がんを学ぶ1、人はなぜがんになるか」(2018.8.29)

3. 奥村宣久「転倒予防、認知症予防の嘘ホント」(2018.8.29)

4. 平塚健太・小菅勇亮・木村一志「最近の脳卒中リハビリテーション、認知症にまつわる気になる話~その時家族は?予防法は?」(2018.8.30)

5. 池田 仁「がんを学ぶ2、日本人のがんの現状と対がん戦略」(2018.8.30)

6. 鄭 佳麗・賈 金娥「中国人と日本人のコミュニケーション~面子のすれ違いから~」(2018.8.30)

7. 池田官司「性同一障害最新の動向」(2018.8.31)

8. 佐々木幸子「地域社会のつながりが持つ介護予防効果」(2018.8.31)

9. 大山 徹「ハーブの話」(2018.9.3)

◇ 2017

1. 片倉裕子「マナウス市に暮らす日系人の人々」(2017.8.29)

2. 野田美保子「105歳日野原重明氏に学ぶヘルスプロモーション」(2017.8.30)

3. 金子翔拓「手のしびれの原因とリハビリテーション」(2017.8.31)

4. 宮本重範「自分で出来る頸の障害予防と治療」(2017.9.1)

5. 井上仁美「人生の節目と心の健康」(2017.9.4)

6. 今泉博文「食生活を見直してみよう~生活習慣病予防のために~」(2017.9.5)

7. 大森 圭「姿勢が良くなる講座」(2017.9.7)

8. 吉田直美「意外と知らない低血圧の話」(2017.9.7)

9. 小塚美由紀「アロニア果実の健康効果」(2017.9.8)

10. 池田 仁「日本人が受賞したノーベル生理学・医学賞の話」(2017.9.13)

◇ 2016

  1. 小西正人「知って知らない日本語」(2016.8.24)
  2. Sarah Richmond・三ツ木真実「Think Globally! グローバルに考える、今日の世界はどんな世界?」(2016.8.25)
  3. 佐野愛子「多様性を尊重する社会,カナダに学ぶこと」(2016.8.29)
  4. 鹿内あずさ「認知症の知識と家族ケア」(2016.9.1)
  5. 森谷一経「キャリア・デザイン、図表で自分史を理解してみませんか?」(2016.9.2)
  6. 金子翔拓「腰痛に対するリハビリテーション」(2016.9.5)
  7. 池田官司「認知症になったらどうしよう・・・」(2016.9.8)
  8. 矢部玲子「エゾナキウサギの生態と保護」(2016.9.9)
  9. 奥村宣久「認知症予防と作業療法」(2016.9.9)

◇ 2015

  1. 黒澤秀樹「骨粗鬆症・ロコモテイブシンドローム・廃用症候群」(2015.8.25)
  2. 草野真暢「喫煙を考える」(2015.8.28)
  3. 池田 仁「老化と寿命を科学する」(2015.9.3)
  4. 大山 徹「ノロウイルス~食中毒と感染について」(2015.9.4)
  5. 続 佳代「薬と上手につきあう」(2015.9.8)
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