豆の育種のマメな話

◇北海道と南米大陸に夢を描いた育種家の落穂ひろい「豆の話」
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ぼんやりしていて間違えること

2023-03-11 15:52:39 | さすらい考

うっかりミス

先日、二人の旧友に出版したばかりの冊子を贈った。H君から礼状が届き、末尾に「Y君への文書が入っていたので返送する、誤送かと思うが気にしないことにする」とある。発送時に小包の宛先を確認しなかったのが原因。「うっかりミス」である。

小学館デジタル大辞泉には「うっかりミスとは、ぼんやりしていて、しくじること。通常は起こるはずのない失敗」とある。一方、「ニアミス」は惜しい誤りを表現する時に使い、「ケアレスミス」は不注意による誤りを表現する時に使うそうだ。

また、類語・類義語として、不注意による失敗を意味する「凡ミス」、するはずのないような失敗を意味する「ぽか」、間の抜けた失敗をすることを意味する「どじ」があるとされる。これほど多くの表現があるのは、多くの人がこの種の失敗をしていると言えるかもしれない。

原因は老化? 過労やストレスも

「うっかりミス」が増えて来るのは脳の老化が原因との指摘がある。加齢により注意力、判断力などに関わる前頭葉の働きが衰え、うっかりミスが増えるのだと言う。確かにそうなのだろうと妙に納得する。加齢にともない視力、聴力、体力が衰え、その結果として注意力・情報力・瞬時判断力が低下してくることは、体感する処だ。

一方、過労やストレスでも「うっかり」が増えることが知られている。例えば、睡眠不足、運動不足、栄養不足も要因となり得る。最近は、スマホ依存によって脳に負荷がかかって疲労がたまる脳過労(いわゆる、スマホ脳)が増えていると言われるが、筆者もパソコンに向かう時間が長い。

 

DMN(Default Mode Network)

近年の研究で、ぼんやりしている時に脳の神経回路(Default Mode Network)が活性化することが分かってきた。つまり、楽しいことをボーっと考えているとDMNが活性化するのに役立ち、このDMNが稼働することで頭の中が整理され、記憶力が鍛えられ、ひらめきを生み出しやすくなり、脳の老化が抑えられると言う。

これなら、俺にもできそうだ・・・と、「うっかりミス」のことは忘れてしまった。

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カリン(花梨)の香り

2023-03-07 11:36:28 | さすらい考

カリン(花梨)香る

わが庭に一本の花梨樹があって、秋には沢山の実をつける(拙ブログ2020.11.8)。果実が固く生食には適さないのでかつてはカリン酒を造ったが、近年は専ら玄関に置いて香りを楽しんでいる。熟した果実の香りは玄関フード室の中を満たし、訪れた誰もがその芳香に気づく。

先日、車保険の更新でK嬢がやってきた。

「よい匂いがしますね、これは何ですか?」

「花梨だよ・・・」

「ああ、のど飴の・・。食べれますか?」

「いや、硬くて生食は無理。果実酒やジャムにもするけど、香りを楽しんでいる」と言うような会話になる。

カリン(花梨、Pseudocydonia sinensis

バラ科カリン属の落葉高木。中国から渡来した薬用にもされる果樹で、果実はマルメロとよく似ている。果実は石細胞が多く含まれるため硬く生食はできないが、カリン酒や砂糖漬け、のど飴などの原料として利用される。近年、果実成分の医療効果が多く知られるようになってきた。

果実は大型のナシ状果で、長さ10-15cmの楕円形または倒卵形で、10-11月に黄色に熟す。未熟な実は表面に褐色の綿状毛が密生。熟した果実はトリテルペン化合物による芳しい香りを放つ。

トリテルペン化合物とは、炭素が30個つながってできるC30構造をもつ化合物。6つのイソプレンから構成され、C30H48の分子式を持つテルペンの一種だと言う。化学構造の話は難しいので止めよう。

香りは主として皮に含まれる。熟度が進むにつれ果皮が粘ついてきて香りを強く発散する。その香は芳醇で甘くて蜜のような甘さ、そしてどこかに臭さもある。いい香りだけで構成されているわけでなく、潜んでいる匂いがいい仕事をしているのだろう。

社会構造だって、多様性が醸し出す良さがあるではないか。

関連記事:拙ブログ2020.11.8「花梨を収穫する、恵庭の花-25」

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啓蟄(けいちつ)

2023-03-06 14:03:55 | さすらい考

啓蟄

2023年3月6日、暦の上では今日が「啓蟄」。二十四節季の一つ、冬ごもりの虫が地中から這い出るころ(小学館デジタル大辞泉)の意味。語源は「蟄虫啓戸」だと言う。

平年以上の暖かい日が続いているが、今朝の外気温は氷点下6℃、ここ北海道はまだまだ雪の中。地中の虫もまだ目を覚ますまい。

とは言え、庭の陽だまりは融雪が進み地面が覗いている。庭木の枝にも雀が訪れる。陽ざしに誘われて庭の写真を撮った。

啓蟄を啣へて雀飛びにけり/茅舎(啓蟄は春の季語)。

 

二十四節季

中国の戦国時代の頃(紀元前4世紀)に発明され、四季・気候などの視点で地球上の一年を仕分ける方法。一年を春夏秋冬の四つの季節に分け、さらにそれぞれが

六つに分けられる。従前はこの日から始まる約15日間を称していたが、現行暦ではこの期間の第一日目を指す。

例えば春は、立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨に分けられる。

立春:春がはじまる日、節分の翌日。今年は2月4日。

雨水:水ぬるみ、草木の芽が出始める頃。同2月19日。

啓蟄:冬ごもりの虫が地中から這い出る頃。同3月6日。

春分:太陽が真東から出て真西に入る、昼夜の長さがほぼ等しくなる日。同3月21日。

清明:天地が清々しく、明るい空気に満ちる頃。同4月5日。

穀雨:穀物を育てる雨の降る頃。種まき、育苗の頃。同4月20日。

 

暦は自然現象を巧みに表し、農耕と深いかかわりがある。

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