平成31年1月の或る日一冊の書籍が届いた。農文協(農山漁村文化協会)発行の「丸ごと探求!世界の作物」シリーズ「ダイズの大百科」国分牧衛編56p(3,500円)である。編集局の求めに応じて2枚の写真を提供したことに対し、謝辞と本が完成したので寄贈するとある。
扉には、「さまざまな食品として利用されるダイズは、私たちの毎日の食生活に欠かせない作物です。東アジアでは古くから五穀のひとつとして大切にされ、イネとともに農耕や食文化を形づくってきたダイズは、いまでは油の原料としての役割も加わって、人びとの暮らしや産業を支えるだけでなく、世界を動かす作物にもなっています。そんなダイズと人間のかかわりを、地球規模の動きに注目しながらみていきましょう」とある。出版社と編者の意図を示すものだろう。
内容は、大百科と言うだけあって、作物の成り立ちと特性から、栽培技術、日本と世界の情勢、加工と利用、展望まで網羅している。
写真が多く、文章の漢字には全てルビが振られている。小学高学年から中学生を対象にしたような作りだが、単なる紹介本・学習本でなく、内容は極めて全うで一般読者の欲求にも耐えうるものだ。ちょっとした時間にパラパラと開いて、ダイズの全てが分かる。そして、問題点も考えさせてくれる。
「こんな本はいいなあ」ふと呟く。編者とほぼ同時代に生きた育種家の感想である。
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