豆の育種のマメな話

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セイタカアワダチソウ,オオアワダチソウ,恵庭の花-18

2017-09-11 15:22:40 | 恵庭散歩<花のまち、花だより、自然観察>

セイタカアワダチソウ」の名前を始めて耳にしたのは,昭和40年代の頃だったろうか。線路脇や河原,空き地を黄色に染める花が目につくようになり,その植物群落は年々拡大していた。草丈は12m,茎の先端の複数の穂が黄金に輝き風に揺れている。英語では通称Goldenrodと呼ぶらしいが,まさに「金色の竿」である。植物に詳しい先輩が「帰化植物で,繁殖力が強く群生するため,日本古来のススキも駆逐される」と語っていたことを思い出す。

アワダチソウは,平成の時代になって嘗てのような勢いは薄れているように見えるが,今なお秋にはひときわ目につく野の花である。北海道恵庭ではお盆を過ぎるころから咲きだし,9月~10月にかけて河川敷や荒地,市街地の空き地でよく見かける。

◆セイタカアワダチソウ

セイタカアワダチソウ(背高泡立草,Canadianrod,Solidago canadensisi var.scabra L.)は,キク科アキノキリンソウ属の多年草である。北アメリカ原産で明治末期に切り花用の観賞植物として導入されたという。第二次大戦後に存在が目立つようになったが,ミツバチの資源作物として全国で組織的植栽した経緯があったらしい。

草丈は1~2.5m,茎は先のほうで枝別れし,濃黄色の小さな花を多数つけるのでよく目立つ。花期は秋。茎には短くかたい毛があり,ざらついている。葉は披針型,葉長6~12cm,葉幅1~2cm,先がとがり3本の葉脈が目立つ。

種子と地下茎の双方で増え,さらにアレロパシー(他の植物の成長を抑える物質を放出)を有することから他植物の生育を妨げるなどし,繁殖力が極めて大きい。急激な増殖の要因でもある。北海道ブルーリスト2010でA2に指定され,外来生物法でも要注意外来生物に指定されている。しかし皮肉なことに,セイタカアワダチソウだけの群落になってしまうと,アレロパシーは自身にも影響し生長が抑制されるのだという。これも自然の摂理と言えようか。

虫媒花であることから(風媒花でない),花粉症の原因植物ではないと考えられている。

 

◆オオアワダチソウ

同属の仲間にオオアワダチソウ(大泡立草,Giant goldenrod,Solidago gigantea var.leiophylla L.)がある。キク科アキノキリンソウ属の多年草である。北アメリカ原産の帰化植物。こちらも観賞用として輸入したものが野外へ逸出,帰化したものとされる。北海道ブルーリスト2010でA2に指定され,外来生物法でも要注意外来生物に指定されている。

オオアワダチソウは,セイタカアワダチソウに比べ背が低い(50~150cm),花期が早い(7~9月),葉や茎がざらざらしない(ほとんど無毛)などの特徴がある。オオアワダチソウは,茎が淡い緑色で大群落にはならないとも言われるが,群生しているのをよく見かける。

浅井康弘「緑の侵入者たち,帰化植物のはなし」(朝日新聞社1993)によれば,オオアワダチソウは北海道や本州中部などの寒冷な地域に多いとある。とすれば,従前にセイタカアワダチソウと一括思い込んでいたのは,オオアワダチソウなのか。セイタカアワダチソウの名前が独り歩きしていると言うことなのか。

◆群落に2つのタイプが混在

9月中旬,拙宅近くの空き地で観察してみると,群落の中に2種類が混在している。一つは,既に開花盛期を過ぎ一部の花弁が変色していて,葉は互生,葉色はやや淡く,茎はやや赤みを帯び(生育が進み発色したと思われる)表面はなめらかで,群落の中で優先している。他の一つは,開花が始まったばかりで,葉色は濃く密生,茎の表面はざらざらしていて,個体の生育は旺盛である。

特性からして前者がオオアワダチソウ,後者がセイタカアワダチソウと言うことになるのか。それとも変異種と考えるべきなのか。

ともあれ,アワダチソウは晩夏から秋にかけてひときわ目立つ野の花として定着している。

 

 

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