パラグアイに新しいシニアボランテイアご夫婦がやってきた。
ある日,近くのアパートに入ることになったと挨拶にきて,初めて顔を合わせた。寒そうにしていたので(パラグアイも冬は想像以上に寒い),その夜は温かい日本食で歓迎した。関西出身でお喋りのご夫婦だった。この土地の暮らしについて,あれやこれやと話したが,「海外は経験あるから心配しなさんな」と帰って行った。
それから暫くして,噂が聞こえてきた。
「○○さんお腹を壊して大変だったそうよ。慣れない水で下痢しても大抵2日もすれば治るのに,いやいや,点滴と入院騒ぎですって」
「どうしたのだろう?」
「スーパーで冷凍ハンバーグを買ってきて,食べたらしいの」
「ああ,それはダメだ」
「どうして?」
「停電が多いいだろう。冷凍製品は溶けたり凍ったり何回したか分かったものではない。冷凍してあるから臭いも分からない」
停電が頻繁に起こるような国の冷凍食品は,注意した方が良い。
カウンターパートとは仕事でよく地方に出かけた。
ある時,国道脇のドライブインに立ち寄って昼食をとることにした。外観は比較的きれいで裏にはホテルも備わっている,焼肉レストランである。客の入りは多くないようだったが,時間の関係もありそこで食事をすることになった。中央のテーブルにはサラダや前菜が並べられ,奥に焼肉のコーナーがある普通のシュラスケリアである。
サラダを口にしたインヘニエロ(技師)が,あわててトイレに走った。
「どうした?」
彼は首を振っているが,彼の皿にはマヨネーズで和えたサラダが残っていた。マヨネーズは悪くなりやすい。更に,教訓として言えば,「お客が少ない(流行っていない)食堂には入るな」と言うことか。
こんな時クレームをつけても埒はあかない。「ああ,そうですか」で終わってしまう。海外では,「自分の身体は自分の舌で守る」ことに尽きる。昔の日本だって,そうだったじゃないか。
しかし,どんなに注意していても,海外旅行では下痢に見舞われることが多い。記憶に残るのは,アルゼンチンのパタゴニアからチリのプエルト・ナタレスに抜け,プエルトモンまで北上したときのことである。貝料理ピコロコを食べた後だったか,クラントを食べた後だったか,脱水症状が心配になるほど下痢が続いた。この時ばかりは常備の「正露丸糖衣錠」も役立たず,サンチアゴで病院に駆け込んだ。
経験則でいえば,疲労がたまった時の油料理が危ない。サンチアゴではサーモンのフライ,パラグアイではミラネッサ(カツ)でやられた。パラグアイの場合は,多分油が古かったのではないかと思われるが,日中の暑さに耐えかねて,食事のとき冷えたビールを飲んだ。しかも,どちらのレストランも冷房が効きすぎていた。
これじゃあ,ダメだ。