竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻19 歌番号1329から1333まで

2024年06月06日 | 後撰和歌集 現代語訳

歌番号一三二九

原文 加部之

読下 返し

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 和可礼地者己々呂毛由可寸可良己呂毛幾礼者奈美多曽佐幾尓多知个留

和歌 わかれちは こころもゆかす からころも きれはなみたそ さきにたちける

読下 別路は心も行かず唐衣着れば涙ざ先に立ちける

解釈 私が貴女と別れて行く旅路は気が乗りません、唐衣を着る、その言葉の響きではありませんが、別れで縁が切れると思うと、まず、悲しみの涙が旅立ちよりも先に流れ立ちます。

 

歌番号一三三〇

原文 堂比尓満可利个留飛止尓於安布幾川可者寸止天

読下 旅にまかりける人に扇つかはすとて

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 曽部天也累安布幾乃可世之己々呂安良波和可於毛不飛止乃天遠奈者奈礼曽

和歌 そへてやる あふきのかせし こころあらは わかおもふひとの てをなはなれそ

読下 添へてやる扇の風し心あらば我が思ふ人の手をな離れそ

解釈 旅立つ貴方に歌に添えて贈る、この扇が作る風に、もし、感情があるのなら、私が恋慕う貴方の手から離れないでください。

 

歌番号一三三一

原文 止毛乃利可武寸女乃美知乃久尓部万可利个留尓川可者之个留

読下 友則が女の陸奥へまかりけるにつかはしける

 

原文 布知八良乃之計毛止可武寸女

読下 藤原滋幹かむすめ(藤原滋幹女)

 

原文 幾美遠乃美志乃不乃佐止部由久毛乃遠安比川乃也末乃者留个幾也奈曽

和歌 きみをのみ しのふのさとへ ゆくものを あひつのやまの はるけきやなそ

読下 君をのみしのぶの里へ行くものを会津の山のはるけきやなぞ

解釈 慕う君だけを偲ぶと言う響きの名を持つ、陸奥の信夫の里へ旅行くのに、逢うと言う言葉の響きに似た、会津の山が遥か彼方なのはなぜなのでしょうか。

 

歌番号一三三二

原文 徒久之部満可留止天幾与以己乃三与宇布尓遠久利个留

読下 筑紫へまかるとて、清子の命婦に贈りける

 

原文 遠乃々与之布留乃安曾无

読下 小野好古朝臣

 

原文 止之遠部天安比三留飛止乃和可礼尓者於之幾毛乃己曽以乃知奈利个礼

和歌 としをへて あひみるひとの わかれには をしきものこそ いのちなりけれ

読下 年を経てあひ見る人の別れには惜しきものこそ命なりけれ

解釈 これから先、何年も年月を送ってから逢えるでしょう貴女との旅の別れで、最も気を付ける事柄は、旅の無事での貴女の命であります。(ご無事でありますように。)

 

歌番号一三三三

原文 天者与利乃本利个留尓己礼可礼武万乃者那武計

之个留尓加者良遣止利天

読下 出羽より上りけるに、これかれ餞

しけるに、かはらけとりて

 

原文 美奈毛堂乃和多留

読下 源のわたる(源済)

 

原文 由久佐幾遠志良奴奈美多乃可奈之幾八堂々女乃万部尓於川留奈利个利

和歌 ゆくさきを しらぬなみたの かなしきは たためのまへに おつるなりけり

読下 行く先を知らぬ涙の悲しきはただ目の前に落つるなりけり

解釈 これから上京する貴方の旅の様子は判りませんが、別れでの涙を流す、その残念なことは、武士(つわもの)である私の目から人前に落ちることであります。

 

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