竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
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万葉集 集歌3508から集歌3512まで

2022年08月15日 | 新訓 万葉集
集歌3508 芝付乃 御宇良佐伎奈流 根都古具佐 安比見受安良婆 安礼古非米夜母
訓読 芝付(しばつき)の御宇良(みうら)崎(さき)なるねつこ草(ぐさ)相見ずあらば吾(あれ)恋ひめやも
私訳 芝付の御宇良の崎に生えるねつこ草。その言葉のひびきの“私と寝つ子”ではないが、お前と共寝をしなければ、私はこんなに恋焦がれたりはしない。
注意 ねつこ草は一般に今日の翁草とされていますが、捩じ花ではないかとする説もあります。

集歌3509 多久夫須麻 之良夜麻可是能 宿奈敝杼母 古呂賀於曽伎能 安路許曽要志母
訓読 栲(たく)衾(ふすま)之良山(しらやま)風の寝(ね)なへども子ろが襲着(おそき)の有(あ)ろこそ良(え)しも
私訳 栲の衾のような白い之良山からの風が寒く寝られないように、今は共寝も出来ないけれど、私の妻の襲着(上着)があるのは嬉しいことだ。

集歌3510 美蘇良由久 君尓母尓毛我母奈 家布由伎弖 伊母尓許等杼比 安須可敝里許武
訓読 み空行く国にもがもな今日行きて妹に事問(ことと)ひ明日帰り来(こ)む
私訳 大空を雲が流れ行く故郷だったらなあ。今日出かけて行って愛しい貴女に日頃の様子を聞き、明日には帰って来られるのに。

集歌3511 安乎祢呂尓 多奈婢久君母能 伊佐欲比尓 物能乎曽於毛布 等思乃許能己呂
訓読 青嶺(あをね)ろにたなびく雲のいさよひに物をぞ思ふ年のこのころ
私訳 青嶺。その“吾を寝ろ”との言葉のひびきではないが、彼方で青く見える山波に棚引く雲がぐずぐずと漂っているように、なにか“私を抱きなさい”と云うことに躊躇してしまう。特にこの年の今頃では。

集歌3512 比登祢呂尓 伊波流毛能可良 安乎祢呂尓 伊佐欲布久母能 余曽里都麻波母
訓読 一嶺(ひとね)ろに云はるものから青嶺(あをね)ろにいさよふ雲の寄(よ)そり妻(つま)はも
私訳 一嶺。その“人寝ろ”との言葉のひびきではないが、一つの嶺と云われている彼方で青く見える山波にぐずぐずと漂っている雲が靡き寄るように、誰かと共寝をしろではないが、私と共寝をしてほしいと思いを寄せる愛しい貴女です。

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