竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
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万葉集 集歌1937から集歌1941まで

2021年06月21日 | 新訓 万葉集
夏雜歌
標訓 夏の雑歌
詠鳥
標訓 鳥を詠う
集歌一九三七 
原文 大夫丹 出立向 故郷之 神名備山尓 明来者 柘之左枝尓 暮去者 小松之若末尓 里人之 聞戀麻田 山彦乃 答響萬田 霍公鳥 都麻戀為良思 左夜中尓鳴
訓読 大夫(ますらを)に 出で立ち向ふ 故郷(ふるさと)し 神名備(かむなび)山(やま)に 明けくれば 柘(つみ)しさ枝に 夕されば 小松し末(うれ)に 里人(さとひと)し 聞き恋ふるまで 山彦(やまひこ)の 相(あひ)響(とよ)むまで 霍公鳥(ほととぎす) 妻恋すらし さ夜中(よなか)に鳴く
私訳 立派な男子として出で立ち向かう、故郷、その明日香の甘樫丘の神名備山に、夜が明け来ると柘の小枝に、夕暮れがやって来ると小松の枝先に、里人が聴きたいと思うほどに、山彦が響きあうほどに、ホトトギスが妻を恋い慕うらしい。夜中にも「カツコヒ(片恋)、カツコヒ」と鳴いている。

反謌
集歌一九三八 
原文 客尓為而 妻戀為良思 霍公鳥 神名備山尓 左夜深而鳴
訓読 旅にして妻恋すらし霍公鳥(ほととぎす)神南備(かむなび)山(やま)にさ夜(よ)更(ふ)けて鳴く
私訳 家を離れていて妻を恋い慕っているのだろう、ホトトギスよ。明日香の甘樫丘の神名備山に夜が更けても「カツコヒ、カツコヒ」と鳴いている。
左注 右、古謌集中出
注訓 右は、古き謌の集(しふ)の中(うち)に出(い)ず

集歌一九三九 
原文 霍公鳥 汝始音者 於吾欲得 五月之珠尓 交而将貫
訓読 霍公鳥(ほととぎす)汝(な)が初声(はつこゑ)は吾(われ)にもが五月(さつき)し珠(たま)に交(か)へて貫(ぬ)かむ
私訳 ホトトギス、お前の「カツコヒ(片恋)」と鳴くその初声が私にもあったならば、あの人に贈る五月の薬玉と一緒にして紐を通そう。

集歌一九四〇 
原文 朝霞 棚引野邊 足桧木乃 山霍公鳥 何時来将鳴
訓読 朝霞たなびく野辺(のへ)しあしひきの山霍公鳥(ほととぎす)いつか来鳴かむ
私訳 朝霞が棚引くこの野辺に、葦や桧の生える山に棲むホトトギスよ、いつになれば来て鳴くのだろうか。

集歌一九四一 
原文 旦霞 八重山越而 喚孤鳥 吟八汝来 屋戸母不有九三
訓読 朝霞八重山(やへやま)越えて呼子(よぶこ)鳥(とり)鳴きや汝(な)し来る屋戸(やと)もあらなくみ
私訳 朝霞の八重山を越えて、呼子鳥よ、鳴きながらお前はやって来る。ここには恋心を伝える相手の家もないのに。
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