参加者:3名+Ⅲ・Ⅳ期生3名
コース:JR高尾駅北口~小仏~景信山~堂所山(昼食)~関場峠~小下沢林道~日影バス停~JR高尾駅
今日は本格的な植物調査活動の為の試行として、「小下沢林道の植物調査」を行いました。将来、主に高尾山の指定植物・東京都レッドデータブック植物編・特定外来種および要注意外来種植物編の花マップ・フェノロジー作成・植生推定のための資料となるよう項目を決めた調査用紙とマップを携えての調査活動です。
まず、小仏バス停からすぐの宝珠院にある東京都の天然記念物に指定されているカゴノキを見学、小仏峠は経由せず直接景信山へと向かった。結構、急坂で久しぶりの参加者には少し厳しかったかもしれません。しかしながら、山道らしい山道でナガバノスミレサイシンが多く目を和ませてくれました。景信山で一休みの後、堂所山に向かい山頂にて昼食。この日はよい天気で暖かく、また山頂は間伐されていて眺望が良く陣馬山や醍醐丸・生藤山などが一望できました。昼食後は関場峠へ。いよいよ植物調査の開始です!
予定の到着時間より1時間遅れたので、調査対象は開花植物だけに限りました。ここは高尾山内よりも気温が低いのか、山内では盛りを過ぎたニリンソウ、ヤマルリソウ、ケマルバスミレなどの花々がピークを迎えているようでした。また、ミヤマキケマン、ヒトリシズカ、ラショウモンカズラなどがこれから満開となりそうに思われました。
やはり、観察には時間がかかり、関場峠から小下沢野営場跡地までの小下沢林道の半分しかできませんでした。小下沢野営場跡地から日影バス停までは40分の案内。それを4時43分のバスに乗るべく30分で下りようと急ぎ、バス道路に出たところで後ろからバスに追い立てられながら?いや、バスの前を邪魔しながら走ってやっと間に合いました。
小下沢林道の調査には日影から入って往復するしかないように思われます。(反省)
参加していただいたメンバーの皆さん!お疲れ様でした。そして走らせてごめんなさい。(SR/Sak)
山の木々の芽吹きが始まる頃、林床では小さなユリの仲間が花をつけます。チゴユリやホウチャクソウの仲間です。写真のかわいい花はチゴユリ。稚児という名の通り、茎の先端に1つの小さな花を咲かせます。秋には黒色の美味しそうな果実が1つ実ります。でも、一年に1つの果実しかつけられないというのは、少し効率が悪いと思いませんか?普通の樹や草は数十個、数百個あるいはそれ以上の果実や種子をつけます。チゴユリのように1つの果実しかつけないと、熟す前に虫に食べられたりした場合、子孫を残すことが出来ません。
しかし心配ご無用。チゴユリは不思議な方法で確実に生き残る術を持っているのです。チゴユリの仲間は、ランナーと呼ばれる匍匐枝を数本伸ばし、その先端に芽をつけます。ランナー自体は冬には枯れてしまいますが、芽の部分は次の春まで生き残り、そこから新しく茎をのばすのです。つまり、分身の術で自分のクローンを増やしているのです。光のあまり当たらない林内で、あれだけ小さい体を維持するためには並大抵の工夫では生き残れないのでしょう。そんな不利を逆転するための植物の工夫の一つがクローンを作るという生き方なのです。クローンというときわめて珍しいもののように思えますが、植物の仲間ではクローン作成能力に長けた種類が意外と多いようです。スミレの仲間やセンボンヤリなどは、閉鎖化という自分のクローンを作るための花を咲かせます。渓谷の崖に生えるフサザクラは、萌芽幹を何本も出し、がけ崩れなどによって主幹が倒れても、他の萌芽幹が次の主幹になりかわる、という戦略をとっています。生き残る為に、植物たちもすごい努力をしているんですね。
次に林内でチゴユリを見つけたとき、その周りをよく見まわしてください。きっと、分身の術の威力に驚くことでしょう。(都レK)