2014年9月28日(日) 研修会
「安全作業について」および「地形と地質が決める植生分布」 (報告)
奥多摩レンジャー運営の標記研修会に参加し下記により概要を報告いたします。
1. 開催日時 : 平成26年9月28日(日) 12:50~16:30
2. 場 所 : 立川合同庁舎内 東京都多摩環境事務所 2階会議室
3. 参加者 :奥多摩SR会 35名、 東京都レンジャー 8名 高尾SR会 4名
4. 講習会の項目
1) 講習名 : 研修会 「安全作業研修」 12:50~13:20
内 容 : 奥多摩サポレン会による安全作業に関する研修
講師: 都レンジャー、奥多摩SR会 会員
「要 旨」
・2010年の共同作業(大雪による倒木被害調査と倒木処理)での事故を教訓に
「安全作業のためのルール」を作成し、全会員への周知徹底を図った。
・作業の監視役を作る.
・作業の決定はチームとして協議し、作業の決定はリーダーに委ねる。
・作業を目的とした活動では、より安全を期するため「ブリーフィング」(briefing)を実施
・「作業活動実施(事前ならびに現場)」チェックシート」を作成している。
・「みどりのボランティアあんぜん手帳」(森林保全ボランティア作業)(社)国土緑化推進機構発行
を参考に安全作業に努めている。
2) 講習名 : 研修会 「地形と地質が決める植生分布」 13:30~16:30
講師 : 小泉武栄 先生(前東京学芸大学教授) 自然地理学・地生態学
「要 旨」
①自然観察の意味と問題点
・自然に親しむ ・植物、鳥、昆虫などの名前を覚える
・森林や土壌、水の役割などが理解できる
⇒ 何れも大切だが、そこに止まっている観察会がほとんど
②「なぜ」(WHY?) と考えること
・植物がなぜそこに生えているのか
・なぜそこにしか分布していないのか
⇒ 参加者に問いかける。最初は戸惑うが、やがて頭を使って考えることの楽しさに目覚める
③ 2つの視点
◆植物からみる視点 (例えば、 タブノキは塩分に強く、寒さに弱い--→ 沿岸に多い)
( ウラジロガシは葉の表面がロウで覆われ寒さに強い--→山地に多い)
◆地形・地質からみる視点
例えば、 ケヤキは武蔵野台地、大きな農家の庭に良く見られるが 、自然状態では
河沿いの固い岩盤の部分に生育しているのがほとんど。秋川や多摩川の上流域では
両岸にケヤキが生育。
⇒ このような考え方をする分野を「地生態学(geoecology)」という。
・地質--地形‐-土壌--水--植物 と ボトムアップで考える。さらに昆虫、爬虫類
鳥類などと上乗せ可能。
・自然をそのままの形で理解する。 自然のつながりを把握するための1方法。
・自然は全てつながっているが、人間が理解しやすいように自然を分類してしまった。
・植物、動物、鳥、昆虫、 ・森林、草原、湿原、 ・地形、地質 ・気候、雪、風など
⇒ このため、自然の総合像が理解できなくなった。 分類は本来、統合するための
手段だったが忘れてしまった。
地質がベース、それが地形を決め、さらに土壌、水分条件を決めて、それが植生を決める。
植生は昆虫や鳥などの分布に関係する。自然の中に「つながり」を見出し、観察会や
研修に役立ててほしい。(講師からのメッセージ)
大変有意義な研修会ありがとうございました。 記録(SI)