この日は高尾SR会員の堀江洋司さんに講師をお願いして、自然観察チームの内部研修会を行った。
※ テーマ:生物多様性保全の視点で、高尾における虫達との出会いの楽しみ、記録、同定等を学び考える。
※ 観察コース:日影バス停~日影沢~森の図書館跡~水道みち~山頂(解散)
※ 観察できたもの:
[ 昆虫 ] チョウ・ガ類 : シジミチョウ(*) クロスジノメイガ ハイイロシャチホコ ナカシロオビエダシャク
トンボ類 : ハグロトンボ(*) ミヤマアカネ(*)
セミ・カメムシ類 : ホソヘリカメムシ エゾゼミ(S) ツマグロオオヨコバイ
バッタ・キリギリス類 : ヤマトフキバッタ サトクダマキモドキ
アブ・ハエ類 : ルリチュウレンジ(*) シマハナアブ(*)
[ その他 ] アズマヒキガエル サワガニ ジョロウグモ ザトウムシ
(*止まっている姿が撮影できない等同定が不確実なもの、S鳴き声)
※ ビジターセンターにて座学
【PC環境の紹介】
30インチ、24インチ、2台のモニターを1台のPCにつなぎ、参照しやすいようにアプリケーションを配置し、観察したものを調べて、ブログに
アップしている。モニターの1台は縦に設定して見やすくしてある。
【ブログの紹介】
「自然ウォッチング」livedoor
【自然との関わりの記事の紹介】
1) 永六輔さんの言葉より、1300種を超えるとされる高尾山の植物にも触れ、「高尾山を守ろうとする人なら、時間をかけて樹
木の半数の名前を半分くらい言えるようにしてほしい」。
2) 新聞の読者投稿「アスファルトのセミの死骸を土の上に」→共感の投稿→天声人語
身の回りの自然で起こっていることを発信していくことにより、世代を超えて共感の輪が広がることを大切にしたいもの。
【図鑑の紹介】
1) (『昆虫』『図鑑』をキーワードにWEB検索する)
デジカメ、情報インフラ等の進化で格段に生態写真が増え、準じてWeb図鑑(造語)が充実し始めている。その代表例が・全
成虫縮小画像一覧(注意:10,000枚以上あります!)
全幼虫など縮小画像一覧とうたわれている「みんなで作る日本産蛾類図鑑」があります。
蛾に特化したWikipediaといったところです。生態写真は色あせた標本写真と違い生き生きとした生命力と美しさを感じます。
2) 出版物:ヤマケイ野外ハンドブック「甲虫」 高尾・陣場山の蝶 長池公園トンボ図鑑 等
WEB :やさしいガの図鑑 福光村昆虫記 ちょうがの図鑑 昆虫エクスプローラ 等
【高尾山内の案内板の紹介】
案内板に登場する生きものについて、知識を深めようとの提案。
【観察記録の紹介】
1) オトシブミ(オトシブミの作成と交尾、産卵の様子)
2) ハイイロチョッキリ(散乱するドングリと穴、成虫)
3) エゴヒゲナガゾウムシ(エゴの実に開く穴、成虫)
4) シロオビアシナガゾウムシ(アジサイの枝を食いきって折ってしまう様子)
5) エダナナフシ・トビナナフシ・トゲナナフシ・ナナフシモドキ(形態の分化が様々)
6) クマゼミ(関西で騒音とされている。関東でも確認)
7) ニジュウシトリバ(鳥の羽のような翅)
8) ガ類(非常に種類が多く、多彩なデザイン!)
【観察者(堀江さん)からの声】
1) 性能が良いデジカメで写し取った映像からはフィールドでは気付かなかった多くのことに気づかされます。小さな虫についた
それ以上に小さいダニのような虫(例:セミヤドリガ)。
2) 同じ仲間と思っていた虫達に微妙な違いがありそれでいて種が異なる虫(例:ナナフシ)不完全変態の幼生と思っていた虫
が実は成体であった(例:フキバッタ)など、
多くの事を学んでいます。それもブログに掲載し調べる時間を持つからに他なりません。
3) 動画の紹介
YOU TUBE 「ニイニイゼミ」 (桜の樹で鳴く多数のセミが足でちょっかいを出したり、動き回る様子がユニーク♪ 検索上位
の人気動画)
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午前中にひとしきり降られてしまい、虫との出会いは多くはなかったのですが、盛りだくさんの内容に、あっという間に一日が過ぎてしま
いました。
今回は、堀江さんには、快く引き受けてくださり、骨身を惜しまず準備していただいた上に、丁寧にリードしていただきまして、こころより感
謝いたします。
10年にもわたる高尾近辺の自然観察を、自分のスタイルで記録しつつ、ブログにアップしている堀江さんに、自然から受ける喜びを自
分だけの満足に留めず、次世代へ贈ろうとする意思を感じました。
私達もより資質を高め、それを適正利用の推進と豊かな自然の保護・保全というサポレンの活動に生かすべく、導いて下さる方との出
会いも大切にしていきたいと思いました。