漢字博士阿辻氏の最新刊。漢字の蘊蓄を存分に披露している。今回、本書の中で二点興味深く読んだ。一つは漢字の書き取りで、はねる・はねないの問題。たとえば木の縦棒ははねるのか、はねないのか。氏の結論はどちらでもよい。それを古今の漢字典を根拠に説明しているので、まぎれが無い。私もこの問題についてはどうでもいいと思っていたが、小学校や中学校ではかなり厳密に指導しているようで、高校入試にも書き取りの試験がある手前、表だって意見を表明できなかったが、この本で意を強くした。漢字は基本的に知識階級ののもので、それを大衆一般に拡げるためには相当の根気を要する。はねる・はねないなどと細かいことを言っている場合ではない。
中国大陸では漢字と似て非なる簡体字が普及していることをどう考えるのか。細かいことを言うから子どもは漢字嫌いになるのだ。そういう子どもは高校での漢文にマイナスの印象を持ってしまい。漢文の素晴らしさを享受することができない。困ったことである。
もうひとつは筆順の問題。著者によれば、戦後何人かの書家がどうやったらきれいな字を書けるかという観点から、筆順を定めたらしいが、これもどうでもいいとの結論を出している。私もまったく同感である。基本的には左上から右下に向かって流れるように書くのがいいとされているが、じゃあ左利きの人はどうなるんですかという問題が起こる。阿辻氏はそのことにも触れて、筆順の意味の無さを強く主張されている。
本家の中国では簡体字、韓国では漢字が絶滅の危機にある。台湾は大陸の共産党政権に対抗する意味で繁体字を使用しているが、東洋の文化遺産の漢字を守る役割を日本が背負っていることは確かだ。瑣末なことに気を取られ、漢字の面白さを子どもから奪うようなことになってはどうしようもない。再考を願うのみ。
中国大陸では漢字と似て非なる簡体字が普及していることをどう考えるのか。細かいことを言うから子どもは漢字嫌いになるのだ。そういう子どもは高校での漢文にマイナスの印象を持ってしまい。漢文の素晴らしさを享受することができない。困ったことである。
もうひとつは筆順の問題。著者によれば、戦後何人かの書家がどうやったらきれいな字を書けるかという観点から、筆順を定めたらしいが、これもどうでもいいとの結論を出している。私もまったく同感である。基本的には左上から右下に向かって流れるように書くのがいいとされているが、じゃあ左利きの人はどうなるんですかという問題が起こる。阿辻氏はそのことにも触れて、筆順の意味の無さを強く主張されている。
本家の中国では簡体字、韓国では漢字が絶滅の危機にある。台湾は大陸の共産党政権に対抗する意味で繁体字を使用しているが、東洋の文化遺産の漢字を守る役割を日本が背負っていることは確かだ。瑣末なことに気を取られ、漢字の面白さを子どもから奪うようなことになってはどうしようもない。再考を願うのみ。