クラブにおける欧州ジャズブーム真っ只中、DJを中心に局地的にヒットし後にCelesteからCD復刻もされたラース・リーステットのJazz Under The Midnight Sun(Swedisc/1964)。その復刻CDにボーナス・トラックとして2種類のアウトテイクが収録されていたFanfar!のオリジナル・バージョンが収められているのが本作です。Jazz Recordsというスウェーデンのプライベート・レーベルから1962年にリリースされた作品で、何でも500枚のみのプレスだそう。10インチというマニア好きするフォーマットもまた収集欲をそそりますね。さて、そんな本作。まず聴きものはA-1のタイトル曲で、Jazz Under~にも収録されたThe Runnerのプロトタイプ的ナンバーです。本盤収録のオリジナル・テイクで既に充分その萌芽は感じられますが、Celeste盤収録のアウトテイクではその傾向がより顕著。特にソロ部分では同じフレーズが飛び出してきたりもしますので、The Runnerはおそらくこの曲をベースにより洗練度を高めていく内に完成した曲なのでしょう。なお演奏自体の完成度としては、やはりアウトテイクではなくこちらのオリジナルに軍配。まぁ当然と言えば当然ですが。続くA-2のSo Dareはブルージーなナンバーでこれもなかなかの佳曲。ソロを務めるレイフ・ヘルマン(ts)が抜群に格好いいですね。ちなみに2曲とも「子供」ことA Boy Full of Thoughtsで有名なベント・エゲルブラダ(p)の作品です。どうやらこのコンボにおけるエゲルブラダの存在はある意味でリーダーのリーステット以上に重要だったようで、B面ではリーステット不在の中、エゲルブラダのカルテット名義でLP裏面いっぱいを使いArctic Suiteなる実験的なナンバーを収録しています。もちろんこれもエゲルブラダ作。一曲の中で静と動が何度も交錯するタイプの曲で、先のロストヴォルドらによるVenusian Blueやコメダの諸作辺りにも通じる雰囲気ではあるものの、それほど難解と言うわけでもなくわりと聴きやすい仕上がりになっているため好感が持てます。一時期のレアリティが嘘のように頻繁に出てくるJazz Under The~やThe RunnerのEPとは異なりあまり市場に出回らない一枚ではありますが、見つけたら是非聴いてみてください。個人的にはこのArctic Suiteがエゲルブラダのナンバーで一番好きです。
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