10~14才の子供たち7人で結成されたハワイのキッズ・グループによる1986年のLP。情報がなく詳細は分かりませんが、裏ジャケットの解説を読むと歌うのが大好きな7人のハンサムな少年たちによるグループとあるので、おそらくジャクソン・ファイブ的なアイドル路線を狙って製作された一枚なのでしょう。リリース時期が時期だけにサウンドはAORっぽくソフィスティケイトされているものの、基本はいわゆるキッズソウル的作品になっており、聴いているとなんだか微笑ましい気持ちになる作品です。AOR的な観点での聴きどころはA-3のDonnaとA-5のFirst Love。どちらも既に変声期を迎えつつある年長組がメインヴォーカルを務めていますが、同じハワイ出身の(Fabulous)Krushに通じるアーバンメロウな作風で、彼らのメインターゲット層であろう同世代の思春期少女をときめかせる大人っぽいナンバーに仕上がっています。またキッズソウル~ソフトロック観点で言うならば、なんと言ってもA-2のShe Loves Youが白眉。曲自体は言うまでもなく初期ビートルズの代表作ですが、ここではそれを若干モータウンっぽいアレンジでカバーしており、そこに変声期前の子供声が乗るのだから、その破壊力はまさに推して知るべしと言ったところ。ビートルズのキッズソウル・カバーと言えば、ブラディー・バンチが取り上げたLove Me Doが有名ですが、それに勝るとも劣らないミラクルな完成度となっています。また少し雰囲気が違うものの、B-2のWhyもキッズソウル名演。元々はフランキー・アヴァロンによる1959年のヒット作品ですが、ここではそれをサバービア好みなソフトロックにリアレンジしており、渋谷系OB・OG諸氏ならばおそらく耳を奪われるはず。なお比較的新しい年代の作品なのでそれほどレアとは思えませんが、何せアーティスト名とタイトルがParadiseと一般的な単語一つのため、インターネットでレコードを探すのが当たり前な現代ではGoogle検索泣かせ。あれば、それほど高くなく購入可能と思いますので、気になる人は気長に探してみてください。年端もいかない7人の少年が半裸で並んでいるジャケのレコを血眼で探すというのも、それはそれで何か別の倫理的な問題がありそうな気がするので…(笑)
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