
元シーウィンドのヴォーカリストであるPauline Wilson(ポーリン・ウィルソン)が、西海岸を中心に活動する日本人コンポーザー横倉裕をプロデューサーに迎え1992年に発表した一枚。作品のリリース時期がちょうど90年代初頭にあったAORリバイバル・ブームと重なるので、その頃からのAORファンならばリアルタイムで聴いていたという方も多いことでしょう。後に数年遅れでアメリカ本国でも発売されることになりますが、どうやら元々はポニーキャニオンから日本オンリーでリリースされていたようです。内容的にはこの時期らしいスムース・ジャズ。ミディアム~バラードの楽曲が中心となっており、音の質感も全体的に硬めなので、レアグルーヴ以降のリスナーからすると苦手な類の作風かもしれませんが、なんと言っても彼女の場合、天から授かったその素晴らしい歌声があるので、アレンジ云々は関係なくその声だけで聴かせてしまうものがあります。ソウルフルでいてアーバン、かつどこか儚げな女性らしさを感じる歌声は、恐らくレアグルーヴ世代でも嫌いな人はいないはず。冒頭M-1のWalking My Way To Youから始まりラストに至るまで余すことなく彼女のヴォーカルを堪能することが出来ますが、中でもレアグルーヴ好きと親和性が高そうなのはM-8のBack Again, Back In Love。フリーソウルの頃のオルガンバー・スイートに入っていても違和感なさそうなライトメロウ系のミディアムナンバーです。まるでデュエットでもしているかのようにポーリンのヴォーカルと寄り添い絡みつくアルトサックスが素晴らしく、前後の曲をうまく考えれば恐らくDJプレイの中に組み込むことも可能かと。ポニーキャニオンから発売されていたこともあり、それほど苦労せずに手に入れることが出来ると思うので、良かったら探してみてください。
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