At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Midnight In Tokyo Volume One / Various Artists

2006-09-24 | Hard Bop & Modal
ここ日本におけるジャズLP黎明期の輝かしき記録。1956年末にそれぞれ別の場所で行われた6組のアーティストによるライブを実況録音し、それを半年がかりでまとめて67年にリリースしたという一枚です。驚くべきことに、本作とこれと続くVol.2(未聴です)を合わせて制作予算費は5万円だったそう。まだまだ一般にジャズが浸透していなかった時代の話ですけれどね。さて、そんな低予算で作られた本作ですが内容のほうは悪くなく、また当時の和ジャズ・シーンを知るための資料価値もあるということで、その筋の人たちの間では古くから結構な人気盤。年代柄ディキシーランドやスウィングをやっているバンドがあったりもして、今となっては時代を感じざるを得ないところも若干あるのですが、そこはまぁご愛嬌…。ここでの注目はA-3、A-4に収録された「渡辺明とエンバース・ファイブ」による演奏です。特にピアニスト兼アレンジャーである三保敬太郎のペンによるオリジナルA-3のStopperは、同時代におけるDon Rendell辺りのUK Jazzなんかと比べても遜色のない軽快なバップ・ナンバーで、今の耳で聴いても普通に格好いいと思える名曲。「鈴木章治とリズム・エース」によるA-1の「浜辺の歌」もクラリネット使いながら、それほど古臭い演奏ではなくむしろ夜ジャズ感満点で良い感じ。洒落てます。そして、僕の中で本作の魅力を高めているのは、何と言ってもこのジャケット。銀座や赤坂のネオンを切り貼りしただけのはずなのに、この夜感たっぷりな完成度の高さは何なのでしょう。以前どこかでジャケが掲載されているのを見た瞬間、ぜひとも欲しくなりました。ちなみにWaveから10年ほど前に再発LPがリリースされているのでご参考に。

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