庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

日本経済全体に広がる雇用破壊の放射能を、どう防止するかが急務。

2011-05-14 | 核エネルギー・原子力問題
日本社会に多大な被害を及ぼした東京電力の原発大事故は、各方面に災害をまき散らして、これから各方面において被害が拡大する。
放射性物質の拡散の被害もひどい状況だが、経済活動の方に及ぼす悪影響は、これから本格的に広がっていく懸念がおおきい。
それは、雇用破壊と雇用創出の施策が、大きく遅れてしまうことで、地域社会を疲弊させる。

原子力発電はコストが安い、と偽って拡大してきたが、54基のうち運転できるのは、わずか20%程度に落ち込む。
このレベルすら危ぶまれるが、原発のコストは稼働率の高さに大きく左右されるので、衝撃的なココストアップが、そのうち明確にされるであろう。
今までの原発の発電コストは、稼働率78%の実績値によって公表されている。
これが、2010年度は、原発の平均稼働率は67%に低下している。
2011年度は、福島第一、第二の全原発が不稼働となるうえ、各地の原発再稼働が地元住民の承認を得られるまでに長期間を要するために、平均稼働率は劇的に落ち込むことは確実である。
この低下した稼働率による原発発電コストは、トンでもない価格に跳ね上がるであろう。

当然、このコストアップは、電力料金に跳ね返る。
電力多消費産業は、節電対策も先送りしてきた為に、コストアップは避けられない。
早くも電力料金の値上げを予測して、海外に生産移転を速める動きをはじめた企業も現れている。
浜岡原発の様に、全基停止による原発関連企業の地域の雇用喪失も表面化する。

トドのつまり、原発を大量に増設してきたツケは、雇用機会の喪失という、経済活動にとっての破壊的な作用が、放射能の様に各地に広がっていく。
この放射能は、そのままにしておくと、悪影響が拡大する性質を持っている。
原発事故の処理と被害者の補償、救済に時間をとられている間に、災害はさらに拡大する懸念がおおきい。

菅内閣は、2010年6月の決めたエネルギー政策を、白紙に戻して見直すと言いだしている。
原発増設を止めて、再生可能エネルギーの促進に力を入れる方向で検討するとしている。
それは間違いではないが、今回の大事故、人災は、エネルギー問題にとどまらず、経済活動全体に被害が広がるので、そんな悠長な取り組みでは、最大不幸社会が到来してしまう。
最優先で取り組む緊急課題は、雇用機会をいかにして早く、地域社会に大量に創り出すか。
これに全力を投入しなければならない。

電力会社は原発を停止しても、今までの関連企業の雇用を守ることに重点施策を講じるべきである。
今まで、あまり力をそそがなかった省エネルギー産業や、再生可能エネルギー産業への投資拡大を徹底的に優遇して、雇用創出を支援すべきである。
電力料金が上がるから生産拠点を海外に移そうとする企業に対しては、どうすべきか?
この様な企業の経営者を、日本にいられなくする運動を起こす必要がある。
平成の『国産品愛用運動』を、すぐにでも取り掛かる事である。
クールビズ運動などの暇はない。