庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

電力を多量に消費する旧産業は負担に耐えるか、それとも転換か。

2011-05-04 | 快適エネルギー社会問題
日本での電力料金は現状よりも高くなることを覚悟して、経済の活性化、成長計画を検討すべきである。
これは誰も否定できない現実であり、1990年以来、産業界が執拗に求めて来た「価格競争力」の維持をエネルギー費用の抑制に求める時代の終焉である。

原子力発電に依存した分は、今や原発事故の賠償金の為に、2~3%の値上げ分を計上する。
さらに、廃炉の予定が先になる原発は、耐震性と津波対策に加えて、さらに非常用電源喪失に対応する設備などに、多くの経費を計上しなければならない。
この分の経費増加は、すぐに電力料金に反映して回収する必要がある。

その上、使用済み核燃料の処理費用、および、廃炉による高レベル放射性廃棄物の処分費用などが、膨大に膨れ上がっている。
今まで、この経費は既存の電力料金に上乗せして積み立ててある、と電力会社は言っていたが、実はそれでは大幅に不足し、現状ではすでに19兆円が不足している試算もある。
別の専門家による見方では、これでも積み立ては不足するので、上積みが必要だとしている。
この分は現世代の電力料金に追加して、責任を持って積み立てておかなければならない。

以上の様に、原子力発電に依存する分が多いほど、電力料金は高くせざるを得ないのが現実である。
沖縄電力は原発を一基も待っていないから、この値上げは必要ない。
東京電力は、今回の津波の大事故で、福島第一原発で6基を廃炉とし、さらに第2原発も停止したまま、廃炉の時期を模索する事になる。
大幅に原発依存が減るので値上げは、少なくて済むかもしれない。
その分の収益は、福島県の被害を受けた方々の故郷への復帰を、長期に渡って支援すべきである。

この様な経費の増加に比べたら、『再生可能エネルギー発電の固定価格買取制度』による電力料金への値上げの影響はわずかな額にとどまる。
この買取り価格を出来るだけ優遇すれば、再生可能エネルギーへの投資比率が増えて、原発を廃炉に出来る時期が早まる。
そうすれば、原発維持にかかる余分の経費を節約できるので、トータル的には有利になる。
産業界こそが、この再生可能エネルギーの普及促進に優先課題として取り組む必要があった。
1998年の京都議定書締結時が、その絶好のチャンスであったのに、優遇政策の足を引っ張って、日本を【再生可能エネルギー技術の後進国】にしてしまった。

2011年3月11日は、その愚かさに気付かされる『天命の下った日』である。
再生可能エネルギーは、地産地消型の地域に貢献する産業となり、分散型のメリットを生かして、多くの過疎地に産業を起こす。
これによって新たな雇用の創出が起こり、地域社会の活性化に大きく貢献できる。
価格の上がった電力でも、都会の人は大事故や停電の心配のない『快適エネルギー』による電力を安心して利用する事が出来て、【我慢の節電】に耐える必要はない。
一部の大量に電力を使用する旧時代産業は、悲鳴を上げるかもしれないが時代変化の要求である。