庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

菅内閣の取組は一歩前進だが中身は全くナマヌルイ。メディアも。

2011-05-26 | 快適エネルギー社会問題
官首相がパリのOECD(経済協力開発機構)の会議に出席して、日本のエネルギー政策についての将来目標を表明する。
この中身は新聞報道によると、4つの挑戦となっている。
① 原子力エネルギーの「安全性」への挑戦。
② 化石エネルギーの「環境性」への挑戦。
③ 自然エネルギーの「実用性」への挑戦。
④ 省エネルギーへの「可能性」への挑戦。

この具体的な中身の例では、太陽光発電の発電コストを、2020年には現在の3分の1、2030年には6分の1まで引き下げることを目指す。としている。
昨年6月に決めた政府のエネルギー基本計画にある達成時期を10年程度、前倒しする計画である。
この様な計画の見直しによって、再生可能エネルギーの割合を「2020年代の出来るだけ早い時期に20%とする。」と数値目標を掲げている。

再生可能エネルギーの普及目標を具体的な数値で掲げたことは、今までの政府は触れて来なかったので、一歩前進といえる。
しかし、このブログで書いてきたが、日本の歴代の政府は、経済産業省の言いなりに、原子力偏重のエネルギー政策に埋没して、再生可能エネルギー(政府は新エネルギーと呼んでいる)の普及促進をさぼってきた。
その空白の15年を取り戻すには、10年程度の前倒し政策では、まったくナマヌルイ。

その具体的政策に踏み込むと、再生可能エネルギーの電力を「固定優遇価格買取り」制度は、大震災直前に、閣議決定して国会に提出しているが、まったく審議が進んでいない。
この制度は、普及促進の一丁目一番地の政策で、ドイツなどで大きな実績を上げている政策であり、これの実現ですら、もたついている様では、実行能力には大きな疑問符がつく。
他の再生可能エネルギーや、買取り制度など以外の普及促進と発電コストの引き下げに有効な技術開発への支援策などは、宙に浮いたままの夢想論、希望的な期待が飛び交うだけでは、目標倒れに終わる。

また、マスメディアの役割も大きいが、「再生可能エネルギー」の新技術や課題についての不勉強が多すぎるので、何かと間違った情報がメディアの前面にでて誤解をまねき、国民世論に対する啓発がお粗末な状況になっている。

再生可能エネルギーの中身をとっても、現状(2009年)の割合は、9%と数値を出している。
しかし、大型のダム式水力発電の7%を含む数値であり、その他の(政府が言うところの新エネルギー)本当の再生可能エネルギーは2%にしか過ぎない。

菅内閣のいい出している目標20%には、この大型水力発電は、除外している筈であるが、もし、含めているならば、本当の再生可能エネルギーの普及目標は、わずか13%ということになる。
この数値は、論外に低い目標であり、政府はマタマタ、経済産業省の官僚主導によるエネルギー政策に翻弄されることになる。

メディアの記者は大本営発表に対して、もっと賢くなってはどうか。