庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

次世代のエネルギー政策をしっかりした論理で実効ある取組を。

2011-05-27 | 快適エネルギー社会問題
菅首相が発表した「4つの挑戦」は、一歩前進と言いたいところだが、伝えられる中身を分析すると、月並みでしかも曖昧な宣言となっていて、落第点に近いシロモノである。
原子力エネルギーの安全性への言及は、総論的な範囲で、しかも主催国のフランスに大きく遠慮をしている、甚だしく不徹底で月並み以下の発言となっている。

省エネルギー政策については、まったく新しい具体策もなく、タダつけたしに言っているだけで、熱意は全く感じられない。
化石エネルギーの「環境性」については、このブログで主張して書いた「天然ガスの特別普及施策」は一切触れられていない。
環境性を言うならば、温室効果ガス削減になる方向で、石炭や石油を天然ガス主体に転換することが有効な政策であるのに、全く言及もない。

一番の落第点は、自然エネルギーの普及促進、「実用性」への挑戦の課題である。
2020年代の早い時期に20%の普及を目指すと言っているが、実はこの中身には「大型ダム式の水力発電」が含まれている。
自然エネルギーと言うと、水力も含まれると思われるだろうが、環境保護活動をしている人からみれば、「大型ダム」は環境破壊の最たるものであり、今後は絶対に止めて行くべき対象である。

日本では、現状で7%の電力を大型ダム水力で発電している。
それは年々、ダム湖の水底にたまる土砂によって、ダムの水量が大幅に減っていくので、水源貯留としての機能が失われ、発電の為の水量は減少していく。
今後のダムの新規増設は、八ツ場ダムの紛争に見られる様に、自然破壊の防止の観点からは、中止に至ることは必須である。

この様に大型ダム式水力発電は、自然エネルギーとはいえず、再生可能でもないエネルギー源である。
これを除外すると、現在の自然エネルギー発電は2%程度で、2020年までに13%にする目標を言っているにすぎない。
いや、それも「2020年代の出来るだけ早い時期に」などと、目標達成の時期を曖昧にする姿勢には、取組が本気でないことをうかがわせる。

菅政権に対抗する野党の諸氏、政治家に期待したいのは、国の重要なエネルギーの長期政策に対して、曖昧でナマヌルイ取り組み姿勢を、厳重に追及すべきである。
同時に、対抗する具体的な政策を、化石燃料の環境性、省エネルギー政策を一層加速する具体的な政策を提示して、現政権の実行を迫るべきである。

東電のだらしのない報告をうのみにして、自民党総裁の質問では、政権への揚げ足取り追求の国会質問などは、見苦しいを通りこして、日本の政治家の恥さらしになっている。
野党の中にも、若手の毅然とした論理で追及する論客がいるのだから、老害としか言えない様な発言をする政治家は引退させて、活力のある日本を再生させるために世代交代をした方が良い。

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