庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

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電力も燃料も再生可能エネルギー転換。次世代『藻類バイオマス』

2011-05-19 | バイオ燃料・バイオマス
日本の電力エネルギーを原発に頼らない『再生可能エネルギー』の拡大普及に転換する計画は、既に政策的な促進の段階に差し掛かっている。
さらに、発電コストを引き下げる技術革新も、各企業の中で重点課題として人員と研究資金の投入が行われているであろう。
この様な潮流を知らないのは、既存の既得権に胡坐をかいてきた電力会社の旧時代経営者である。

そこで、次の課題は、電力以外のエネルギーは、どのような方向に進むべきかの問題である。
バイオマスエネルギーが本命だと説明してきたが、陸地の木質バイオマスを利用する方策は、大半を発電にまわして、その排熱を熱源とする『コジェネ(電力と熱利用の併用)』が主体である。
自動車用や船舶に使う燃料は、相変わらず化石燃料(ガソリン、ディーゼル燃料)に頼ることになってしまう。
もちろん、自動車も船舶も省エネルギー技術による消費燃料の削減に取り組む必要は大きいが、それだけでは限界がある。

一時期は、バイオ燃料として自動車のガソリンの代替に、「サトウキビやトウモロコシからつくる【エタノール】燃料」が話題になっていた。
それらは、食料の供給量を妨げることや、耕作地を奪うことで、世界的には普及させるには懸念がおおきい。
そこで、現在は、食料にならないセルロース系のバイオマスや、藻類(単細胞植物から水中の大型海藻までをまとめて呼ぶ)バイオマスを栽培して、エネルギー利用する研究が盛んになっている。

日本では、筑波大学の渡邉信教授が「ボトリオコックス」という淡水に生息する藻類に着目して、研究を重ねている。
その成果の一部は、『藻類バイオマスエネルギー技術の展望』との題名で概要が発表されている。
なぜ、この様な藻類が着目されるかと言えば、単位面積当たりの成長量が格段に大きく、収穫後の燃料の抽出量が圧倒的に多いことにある。

上記の資料(グーグルで、バイオマスエネルギーで検索すれば、一番に出てくる。)を引用すれば、
トウモロコシや大豆から採れる油の100倍以上、もっとも収穫効率の良い油ヤシよりも、8~20倍以上も生産できる。
条件を最適に設定したプールを造り、大規模に生産できる技術を開発すれば、日本の様に国土が限られている地域においては、燃料用の植物としては最先端の可能性を秘めた方策である。

この淡水藻類による栽培で、ディーゼル燃料を製造すると、現状の試算では155円/リットルで、
耕作放棄の30万ヘクタールを活用すれば、日本で現在消費しているディーゼル燃料の置き換えがすべて可能になる。
研究課題は、この製造コストをどこまで引き下げることができるか、それが優先課題である。
このほかにも、藻類を利用した化石燃料の代替燃料の研究が活発になるであろう。

いつまでも原発や石油に頼る依存症は、時代遅れになることは確実である。

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