庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

産業界の主張が日本の経済停滞を慢性化させた。その愚に気付く時。

2011-05-02 | 経済問題
【ガマンの節電】が自分たちの生活をさらに圧迫して、経済停滞を長期化させる懸念が、今の日本を覆っている。
脱原発依存をやめて、「快適エネルギー社会への道」を進みだす機運が出来ても、肝心の経済的な力が損なわれては、机上の空論に留まってしまう。
今はなんとしてでも、経済活動の活性化を図ることが、最優先されるべきであろう。

そこで、「エネルギー問題」の重要なテーマを、もう一度おさらいをしてみよう。
まずは、エネルギーの安定的な供給。つまり、必要な時に必要な量が使えるインフラとしての電力供給である。
原発が安定供給を謳いながら、まったくその役は果たせないことは、この10年で充分に身にしみた筈である。

しかし、代替電力として取りざたされる「太陽光発電や風力発電」は、天候次第によって発電量は大幅に変動するので、主力の電源になりにくい。
そこで、蓄電池の設備や、必要時にバックアップ出来る火力発電設備などを、用意しておかなければ、大量の電力供給源にすることができない。
現時点では、その分の経費も含めると、大幅な電力コストの上昇につながる。

そこで、登場してくるのが、24時間体制で発電が可能な、「地熱発電」や「小規模水力発電」、「バイオマス発電」などの、従来からあるエネルギー源の有効利用である。
しかしながら、日本では経済産業省の政策的な誤りによって、せっかくの再生可能エネルギー技術を育てることを、軽視してきた。
原子力発電が安定する電源で、かつ、電力コストも安い(隠していた必要経費を意図的に除外していて)と信じ込ませていたので、将来に向けての再生可能エネルギーの技術など、国の政策に盛り込む必要はない。と判断していた。

その間に欧州などの火山国では、地熱発電は充分な電源として活躍するまでに、進化させている。
特に、「バイオマス発電」は北欧やドイツなどの森林資源国では、国の優遇政策が功を奏して、各地での木質バイオマスの有効利用が進み、今では有力な電力供給源となっている。

日本ではこの期間に産業界(電力消費量の多い業界)は、「再生可能エネルギー」を国策で優遇すると、その分の経費が電力料金に割り当てられるので、電力コストが上昇して産業の足を引っ張る。電力費アップは生産コストが上がるので、国際競争力を削がれてしまう、と強く主張した。
だから、電力コストの安い原子力発電を増設する方が、日本の産業界にとって必要な国策である。
この言い分が、間違っていたことで、日本は経済の停滞から抜け出ることができなかった。

その上に、原発依存体質を作り上げてしまったので、今さら原子力発電抜きでは、産業の通常業務すらあやしくなったので、東京電力管内から、製造拠点、営業活動の主力地を中部、関西に移転し始めている。
この先はマスマス、産業の海外移転が加速する事態に陥り始めて、経済衰退の道を進むであろう。