なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

大腸憩室出血

2024年06月27日 | 消化器疾患

 6月25日に地域の基幹病院で消化器の研究会があったので出席した。その前日に感染管理の合同カンファランスで行ってきたので、2日間連続でおじゃますることになった。

 

 同院の若い先生が大腸憩室出血についてまとめて、文献検索も含めて発表された。司会をされていた同院のベテランの先生が、「大腸憩室出血は時間外に来ることも多く、消化器内科の勤務医にとっては非常にストレスのかかる疾患」、とおっしゃっていた。(当院は現在時間外の緊急内視鏡は行っていない。平日時間内でも紹介になる。)

 統計的には大腸憩室出血の7~8割は自然止血する。そうなると緊急内視鏡検査を行うか、待機的に内視鏡検査を行うかという問題になる。また多発性憩室で検査時に止血していたり、大腸が凝血塊で充満している時は出血源の同定困難、ということだった。

 ショックバイタルや輸血を要する病例では緊急の対応になるが、それ以外だとどう対応するか。腹部造影CTを行って、血管外漏出(extravasation)があれば、緊急内視鏡を行った方がいいという。

 止血はもっぱらクリップで行っているそうだ。EBL(endoscopic band ligation)はあまり行っていないという。行おうとすると、通常の内視鏡で出血源を同定して目印にクリップを付けて、いったん抜去してデバイスを付けての再挿入になる。

 以前は食道静脈瘤用のEVL(endoscopic variceal ligation)デバイスが使用されたが、現在は大腸憩室出血用のEBLデバイスが販売されている。

 フロアの開業医の先生から、「勤務医時代にはEBLで止血していた」、という発言があった。全例止血に成功したそうだ。司会の先生が詳しく内容を尋ねていた。

 

 当院で大腸憩室出血疑いの患者さんが来た時はどうするか。ショックバイタルの時はそのまま下部消化管出血として緊急搬送する。バイタルが安定している時は、腹部造影CTで出血の原因検索と造影剤の血管外漏出の有無を確認するかもしれないが、やはり搬送になるだろう。

 

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