6月14日(金)に熱中症疑いの90歳女性が救急搬入された。一人暮らしをしていたが、別居の息子さんが自宅にカメラを設置していて姿が見えないのに気付いた。
自宅周辺を探して、畑で倒れているのを発見して救急要請した。暑い日に1時間くらい倒れていた可能性がある。
非常勤の外科医が救急外来を担当していた。搬入時は発熱(高体温)もなく、会話可能だった。血液検査もさほどの異常がなかったので、当初は点滴をして帰宅を考えていたようだ。
ところが画像検査で予想外の異常所見があった。頭部CTで右前頭葉に腫瘍があり、左前頭部に広がっている。腫瘤は単発だった。よくこれまで、ADL自立(認知力低下はある)だったと驚いた。
胸腹部CTで右肺下葉背側に腫瘤様の陰影があり、その周辺に浸潤影が広がっている。肺炎の一部なのか、腫瘤と浸潤影なのかすぐには確定できない。
肺炎の治療をすると腫瘤様の陰影も軽減するかもしれない。原発性脳腫瘍なのか転移性脳腫瘍なのか、確定はむずかしいかもしれない。
入院で週明けまで経過をみることになった。入院後は38℃の発熱があり、6月17日(月)の血液検査で炎症反応の上昇があって、肺炎として矛盾はなかった(腫瘍の影響もあるか)。
家族は、がんセンターへの紹介は希望しなかった。いったんは退院させたいというが、入院後は肺炎の発熱もあり、食事摂取は少ない。会話はできるが、閉眼していることが多い。脳腫瘍の症状が全面的に出てくると退院は難しそうだ。