今日は午前中の救急当番だった。92歳男性が嘔吐・下痢として救急搬入された。搬入されてみると黄疸があり、胃腸炎ではなかった。けっこうな黄色だが、気づかなかったらしい。
肝機能検査はAST307・ALT177・ALP2992・γ-GTP295・総ビリツビン24.4(直接ビリルビン19.8)だった。10年以上前に他院で胆嚢摘出術の既往があり、腹部エコーで著明な胆道系の拡張・主膵管の拡張・膵頭部の腫瘤があった。
腹部造影CTで膵頭部の腫瘤を確定して、MRCPで拡張した総胆管~肝内胆管を描出した。発熱はなく、バイタルは安定していたが、白血球数11500・CRP7.7と炎症反応上昇があり、胆管炎をきたしているのだろう。
意識清明で、年齢の割にしっかりしていて周囲への気配りもできる。自宅内は歩いているそうだ。癌治療の対象にはならないが、胆道ドレナージの適応が十分にある。家族にお話して、胆膵内視鏡処置のできる病院の消化器病センターに搬送した。処置が終われば当院転院になるはずだ。
それにしても、ここまで拡張した総胆管もなかなか見ない。時間をかけてゆっくりと進行したのだろう。